世界最大の人権保護団体がインドでの活動を停止
ノーベル平和賞を受賞し、国際連合との協議資格を持つ世界最大規模の人権保護団体・アムネスティ・インターナショナルが、インド国内での活動を停止することを発表しました。アムネスティ・インターナショナルは、活動停止に至った理由を「インド政府による弾圧行為」と説明しています。
Amnesty International India halts its work on upholding human rights in India due to reprisal for Government of India | Amnesty International
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2020/09/amnesty-international-india-halts-its-work-on-upholding-human-rights-in-india-due-to-reprisal-from-government-of-india/
Amnesty International halts India operations after 'freezing' of its bank account - CNN
https://edition.cnn.com/2020/09/29/india/india-amnesty-international-freeze-intl-hnk/index.html
アムネスティ・インターナショナルの銀行口座がインド政府により完全凍結されたことを受けて、同団体はインドで活動を行っていた一部のスタッフを解雇し、インド国内でのキャンペーンや調査活動を停止しました。
以前からアムネスティ・インド支部は、ナレンドラ・モディ首相が2019年にジャンムー・カシミール州に対して自治権を剥奪したことや、2018年に州全体に対してインターネット封鎖を実施したことから、インド政府を強く非難してきました。インド政府による銀行口座凍結は、政府の透明性を高めるよう要請したことに対する弾圧であるとアムネスティ・インド支部のアヴィナシュ・クマール事務局長は主張しています。
アムネスティ・インド支部は過去にもインド政府によって一時的に銀行口座を凍結されていました。口座凍結だけでなく、インド内務省および財務省傘下の調査機関である執行局によって約10時間におよぶ強制的な家宅捜索も行われています。家宅捜索により執行局がアムネスティ・インド支部の不正を発見することはありませんでしたが、一時的に人権保護活動は停止し、メディアによる中傷も始まったとアムネスティ・インターナショナルの国際事務局は報告しています。
ニュース配信メディアであるCNNは銀行口座凍結の理由についてインド政府の執行局に問い合わせましたが、記事作成時点でコメントは得られていません。
クマール事務局長は「不正を糾弾する声を上げた際のインド政府による仕打ちは、反対意見を凍りつかせるようなものです」と指摘しました。
また、銀行口座の凍結について、アムネスティ・インターナショナルの事務局長代理であるジュリー・バーハール氏は「これはインド政府による甚だしく恥ずべき行為であり、我々はインドにおける人権活動を当分の間中止せざるを得なくなりました。だからといって、インドにおける人権のための闘いへの関与が終わるわけではありません。私たちは、今後何年にもわたり、インドの人権運動の中でどのように役割を果たし続けることができるかを、確固たる決意で見守っていきます」とコメントしています。
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