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ドイツ新政権が「公共の場での生体認証による監視の禁止」を発表、監視の規制が欧州全体に広がる可能性も


2021年11月24日に連立政権の樹立が決定したドイツ社会民主党・緑の党・自由民主党は連名で、公共の場で顔認証などの生体認証技術を用いた監視や追跡を行うことを禁止する公約を打ち出しました。公約には、欧州全体に対する要請が含まれているため、EUの人権擁護団体であるEuropean Digital Rights(EDRi)らは新政権を歓迎する声明を発表し、差別につながるとの懸念がある監視技術撤廃の支持を表明しています。

SUCCESS! New German government calls for European ban on biometric mass surveillance - Reclaim Your Face
https://reclaimyourface.eu/new-german-government-calls-for-european-ban-on-biometric-mass-surveillance/

ドイツで連立政権を樹立したドイツ社会民主党・緑の党・自由民主党は11月24日に、「(PDFファイル)Mehr Fortschritt wagen – Bündnis für Freiheit, Gerechtigkeit und Nachhaltigkeit. Koalitionsvertrag(もっと進歩を:自由・公正・持続性のための同盟)」と題した声明を発表し、その中で「私たちは欧州AI規制法案を支持し、リスクベースのアプローチによりデジタル市民権、特に差別を受けない権利を保護し、責任の所在に関するルールを定め、イノベーションを妨げるような事前規制を回避します。公共の場での生体認証の使用はもちろん、AIによる国家的な格付けシステムなどはヨーロッパ全体の法律により排除されなければなりません」と述べました。


これに対し、EDRiが主導する反生体認証キャンペーンのReclaim Your Faceは11月25日に、「ドイツの新政権は顔認証をはじめとする生体認証技術をヨーロッパ全体で禁止することを求めています。これは、EDRiが推進しているReclaim Your Faceの主要な要求と一致しています」と述べて、ドイツの新政権の公約を支持しました。

2020年の発足以来、関係者に対して積極的に圧力をかけてきたというReclaim Your Faceによると、今回の共同声明では映像を用いた監視や監視目的での生体情報の使用が包括的に禁じられているとのこと。また、ドイツ国内のみならずEU諸国に対しても同様の対応を求めていることから、生体認証技術の公共の場での使用規制がヨーロッパ全体に波及することが期待されています。


ドイツを拠点とするハッカーグループでReclaim Your Faceにも加盟しているChaos Computer Clubの広報担当者であるMatthias Marx氏は「ドイツ政府の声明に、生体情報による監視のないヨーロッパの実現を求める私たちの要請が盛り込まれたのは、Reclaim Your Faceキャンペーンの大きな成果です。しかし、これだけでは不十分です。言葉はすぐに行動によって裏付けられ、法律によって規定されなければなりません」とコメントしました。

また、同じくReclaim Your Faceの加盟団体であるDigitalcourageのKonstantin Macher氏は「これは、人々の人権と自由を守るという私たちの目標にとっての大きな節目となります。各国の政府が私たちの顔や体をデータ化することに対する強い反対意見を踏まえて、すべての人を犯罪者扱いしたり、大規模なプライバシーの侵害をしたり、差別を増幅させる大量監視をしたりすることを拒絶することを期待しています」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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