50種類もの新惑星を初めて機械学習アルゴリズムによる検証で発見したという報告
イギリス・ウォーリック大学の研究チームが、機械学習アルゴリズムによって50種類の惑星を発見したと報告しました。機械学習を用いて新しい惑星が発見されたのは、今回の研究が天文学史上初めてとのことです。
Exoplanet Validation with Machine Learning: 50 new validated Kepler planets | Monthly Notices of the Royal Astronomical Society | Oxford Academic
https://academic.oup.com/mnras/advance-article-abstract/doi/10.1093/mnras/staa2498/5894933
50 new planets confirmed in machine learning first
https://phys.org/news/2020-08-planets-machine.html
太陽のように自ら光を発する恒星は比較的簡単に観測できますが、光を発さない惑星を発見するのは困難です。新しい惑星は「惑星が恒星の前を横切って光を遮った際の輝度変化」を検証することで発見できますが、観測カメラのエラーや重力干渉による誤検知である可能性もあります。
そこで研究チームは、ケプラー宇宙望遠鏡やトランジット系外惑星探索衛星(TESS)によって収集された膨大な観測データで学習したアルゴリズムを使い、データに見られる輝度変化が本物の惑星によるものなのか、それとも単なる誤検知なのかを検証しました。
そしてアルゴリズムが惑星と判断したデータを望遠鏡で再度観測したところ、50種類の惑星が本物であることが確認されたとのこと。発見された惑星は公転周期が1日から200日までで、大きさは地球と同程度から、地球の4倍弱程度の直径を持つ海王星程度までさまざまだったそうです。
ウォーリック大学物理学部のデビッド・アームストロング教授は「これまで、惑星と疑われるデータを機械学習の手法で確率論的に検証したケースはありません。機械学習によるデータの検証は、将来的にTESSやPLATOといった宇宙望遠鏡と並ぶ方法となる可能性があります」と述べています。
また、アームストロング教授は「これまでに発見された惑星の約30%が1つの方法で検証されていますが、それは理想的ではありません。検証のために新しい方法を開発することが望ましいのです。トレーニングには時間がかかりますが、アルゴリズムであれば数万件のデータを一気に分析できます。アルゴリズムを利用した検証方法によって、システムは効率的に少ないステップで自動実行でき、プロセスが高速化されます」と語りました。
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