サイエンス

土星の衛星が新たに62個発見されて合計145個に、木星を抜いて「太陽系で最も衛星が多い惑星」の座に返り咲く


カナダのブリティッシュコロンビア大学などの国際的研究チームが、新たに「土星を周回する62個の衛星を発見した」と報告しました。これによって土星の衛星数は合計145個となり、木星の95個を抜いて太陽系の惑星で最多となりました。

Saturn now leads moon race with 62 newly discovered moons | UBC Science - Faculty of Science at the University of British Columbia
https://science.ubc.ca/news/saturn-now-leads-moon-race-62-newly-discovered-satellites


Scientists discover 62 new moons around Saturn, raising total to 145 — the most in the solar system | Live Science
https://www.livescience.com/space/saturn/scientists-discover-62-new-moons-around-saturn-raising-total-to-145-the-most-in-the-solar-system

Saturn regains status as planet with most moons in solar system | Saturn | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/may/12/saturn-regains-status-as-planet-with-most-moons-in-solar-system

2023年2月、アメリカのカーネギー研究所のチームが「木星を周回する衛星を新たに12個発見した」と報告し、それまで最多だった土星の83個を上回り、太陽系で最多の衛星を持つ惑星となりました。その後も木星の衛星は追加され、記事作成時点では95個の衛星を持っているとされています。

ところがブリティッシュコロンビア大学の研究チームは、土星で新たに62個の衛星を発見したと報告しました。これによって土星の衛星数は合計145個となり、再び木星の衛星数を上回って太陽系で最多となりました。


国際的な研究チームは、2019年から2021年にかけてハワイのマウナケア山頂にあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡が観測したデータを分析し、未発見の衛星を探したとのこと。

小さいか暗いせいでこれまで発見することができなかった衛星を特定するため、研究チームは3時間かけて撮影した多数の連続画像を少しずつずらしながら重ね合わせる「シフトスタック法」という手法を用いました。2年以上にわたってさまざまな夜に検出された物体を照合した結果、研究チームは新たに62個の新しい衛星を発見しました。今回発見された衛星の中には、幅わずか2.5kmほどの非常に小さい衛星も含まれていたそうです。

ブリティッシュコロンビア大学在籍中に研究を開始し、記事作成時点では台湾の中央研究院天文及天文物理研究所の博士研究員であるエドワード・アシュトン氏は、「土星の月を追跡していると、子ども向けの『点つなぎゲーム』を思い出します。なぜなら、データの中にあるこれらの月のさまざまな姿を実現可能な軌道に結びつけなければならないからです。しかし、同じページに約100種類ものゲームが並んでいて、どの点がどのパズルに属しているのかわからないのです」とコメントしました。


新たに発見された62個の衛星はすべて、惑星を遠く離れた楕円(だえん)軌道や、惑星の自転に逆行した軌道を持つ不規則衛星と呼ばれる種類のものです。

土星の不規則衛星は軌道の傾きに基づいていくつかのグループに分類され、それぞれ北欧神話ガリア人の神話、イヌイットの神話にちなんだ名前が付けられています。今回発見された衛星も、最終的にこれらの神話にちなんだ名前が付けられる予定だとのこと。

同様の軌道を持つ土星の不規則衛星のグループは、約1億年前に崩壊した大きな衛星に由来するものと考えられています。ブリティッシュコロンビア大学の天文学教授であるブレット・グラッドマン氏は、「現代の望遠鏡の限界に挑むにつれ、土星を逆方向に周回していた中型の月が約1億年前に吹き飛ばされたことを示す証拠が増えています」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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