北朝鮮のハッカーが数億円相当の仮想通貨を中国人トレーダーと共謀し横領
北朝鮮のハッカーがアメリカで2つの仮想通貨取引所および複数企業をハッキングし、数億円相当の仮想通貨を盗んだことが明らかになりました。ハッカーらは中国人の仮想通貨トレーダーを通して資金のマネーロンダリングを行ったことが報告されています。
United States Files Complaint to Forfeit 280 Cryptocurrency Accounts Tied to Hacks of Two Exchanges by North Korean Actors | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/united-states-files-complaint-forfeit-280-cryptocurrency-accounts-tied-hacks-two-exchanges
U.S. seeks to seize 280 cryptocurrency accounts tied to North Korean hacks - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-usa-northkorea-crypto-idUSKBN25N39F
北朝鮮のハッカーらによって仮想通貨取引所がハッキングされたのは2019年7月のことで、ハッカーは、Proton Token・IHT Real Estate Protocolなど、27万2000ドル(約2900万円)相当の仮想通貨を横領。また、2019年9月にはアメリカを拠点とする複数の企業が同じハッカーによってハッキングされています。北朝鮮のハッカーは企業およびパートナー企業が所有する仮想通貨から250万ドル(約2億6500万)近くを盗み出したと報告されています。
事件はアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)およびアメリカ合衆国国土安全保障省、FBIの捜査によって明らかになりました。盗まれた資金は中国人トレーダーの手によって仮想通貨取引所でおよそ100以上のアカウントを使用し、数カ月かけてマネーロンダリングされていたとのこと。また、資金移動のために使われた経路やアカウントには北朝鮮と強い結びつきがあったと報告されています。
司法省国家安全保障局の司法長官補佐であるジョン・C・デーマーズ氏は「北朝鮮が破綻した経済・政治体制の資金源として、国際金融市場から資金を略奪することをやめることはないでしょう」と語っています。
また、司法省刑事部のブライアン・C・ラビット司法副長官代理は「今回の事件は北朝鮮のハッキング計画と中国における仮想通貨のマネーロンダリングネットワークとの関係を明らかにしています。我々は北朝鮮のサイバー攻撃者による犯罪ネットワークを暴き、不正に得た利益を追跡・押収することで、脅威に対抗するための継続的な取り組みを強化します」とコメントしました。
国連安全保障理事会の調査では、2019年の時点で北朝鮮は大量破壊兵器のためにサイバー攻撃を利用して銀行や仮想通貨取引所から情報を盗み出すことで、推定20億ドル(約2100億円)を得ていたことが報告されていました。北朝鮮政府は国連の主張を否定しており、「北朝鮮のイメージを傷つけるためのねつ造である」と主張しています。
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