サイエンス

ネココロナウイルスの治療薬が新型コロナウイルス感染症に効果を発揮することを示す研究結果


コロナウイルスは人間以外の哺乳類や鳥類にも感染し、ネコに感染するものはネココロナウイルスと呼ばれています。新たにカナダにあるアルバータ大学の研究者が、ネココロナウイルスの治療薬は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にも効果を発揮する可能性があると発表しました。

Feline coronavirus drug inhibits the main protease of SARS-CoV-2 and blocks virus replication | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-18096-2

Antiviral used to treat cat coronavirus also works against SARS-CoV-2
https://medicalxpress.com/news/2020-08-antiviral-cat-coronavirus-sars-cov-.html

この治療薬はプロテアーゼ阻害剤と呼ばれるもので、ウイルスの複製能力に干渉します。プロテアーゼは薬のターゲットとしては一般的で、これまでも高血圧、がん、HIVの治療などで利用されてきました。

アルバータ大学の化学者であるJohn Vederas氏と生化学者であるMichael James氏は、2003年のSARS流行を受けて、ネコの病気を治すプロテアーゼ阻害剤の研究を開始しました。そして2020年にCOVID-19が流行しだした後、2カ月かけて研究を行ったところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を阻害することに対してもネコ用のプロテアーゼ阻害剤が効果を発揮することが示されたとのこと。


この研究にはVederas氏とJames氏のほか、分子生物学者のHoward Young氏とJoanne Lemieux氏、 カナダ王立協会のLorne Tyrrell氏らの協力のもと行われました。Lemieux氏によると、Vederas氏が化合物を合成し、Tyrrell氏が試験管と細胞株で合成物に対するSARS-CoV-2の反応をテストしたとのこと。また、Young氏とLemieux氏が率いるグループはタンパク質と結合する際の薬の結晶構造を明らかにしました。これにより、さらに効果的な薬の開発が可能になったとLemieux氏は述べています。

通常であれば研究室内での実験を経て、動物実験を行い、その後に臨床試験へと入りますが、今回の薬はすでに動物に対する安全性が証明されているため、次の段階は臨床試験となっています。「この薬は人間に作用する可能性が非常に高く、COVID-19患者への抗ウイルス薬として効果を発揮するとみています」とLemieux氏は述べました。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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