GoogleはPixelやNest Miniの色をどうやって決めているのか？

Pixel 3aの「Just Black(ただの黒色)」「Purple-ish(紫っぽい色)」「Clearly White(明らかに白色)」や、Pixel Budsの「Clearly White」「Quite Mint(かなりミント色)」「Almost Black(だいたい黒色)」など、Google製品のカラーバリエーションはかなり個性的です。そんなNest MiniやPixelシリーズの色はどうやって決められているのかが、Googleの公式ブログで解説されています。

Inside the Google team that dreams up colors
https://blog.google/inside-google/working-google/pixel-buds-new-colors-design/

GoogleのColor, Materials, Finishチームを率いるイザベル・オルソン氏は、もともとは演劇のステージや衣装、ジュエリーをデザインしたり、人形の家具を作ったりする仕事についていたとのこと。また、美術学校で特に数学と物理学が好きだったことから、自分なりにクリエイティビティに問題解決能力を組み合わせる方法を身につけていたと語っています。

そんな中、かつては電機製品といえば白か黒かと決まっていたものの、実際には白だけでも何百もの色合いが存在していることから、電機製品も色を多様化するべきだと考えていたとオルソン氏。「色や素材、仕上げが人の健康に影響を与える」という考えに基づき、オルソン氏はGoogleではさまざまな製品の色やデザインを決める仕事に就いています。

オルソン氏はGoogle製品の色を決める上で、「人が皆の前で使っていて嬉しいもの、どんな花瓶と並んでも美しくフィットするものであり、ジャケットやバッグのような感覚で選ばれるものをデザインする」という目標を設定しているとのこと。Google製品のデザインや色の選定は、非常に短いサイクルで買い換えるファッションよりも、数年から10年単位で買い換える家具のデザインに近いものがあるとオルソン氏は語りました。

Google製品のデザインや色を決める上で、オルソン氏は自分たちがデザインする製品を生活の中で積極的に使うとのこと。「ただ何かをデザインして終わりなのではなく、さまざまなモノや色を生活に取り込むことで、今まで見えなかったものが見えてきます」とオルソン氏は述べています。

また、何度も実験を繰り返し、膨大な候補からデザインや色を絞り込んでいくとのこと。たとえば、ワイヤレスイヤホンのPixel Budsは耳に装着するため、常に装着者の肌の色や髪型、ファッションの近くに存在することになります。GoogleのColor, Materials, Finishチームは、大量のプロトタイプ作成と実験を行い、およそ100色にまで絞り込み、そこからさらに25色にまで絞り込んだとのこと。たくさんの人に装着してもらったところを写真に撮り、「テーブルの上に置いた状態」と「耳に装着した状態」を比較していったそうです。

Googleのカラーバリエーションの名前については、デザイン中は別の名前で呼ばれており、たとえばオルソン氏お気に入りの「Quite Mint」は「ピスタチオ」と呼ばれていたとのこと。Quite Mintは途中まで候補から消えていたものの、膨大な選定行程の中で復活したカラーバリエーションだそうです。

また、Pixel 3aの「Purple-ish」については「一部の条件では白く見えますが、だいたいの明るさの中では紫色に見えます。私はこのカラーバリエーションが好きでした」とオルソン氏は述べています。

オルソン氏は色の重要性について、「花の中にはミツバチを引きつけるために明るく見えるように進化した花があるように、色は生きる上での基礎です。色には私たちに生きていることを思い出させる何かがあります。また、色は非常に個人的なものであり、文化的にも私たちの置かれている環境や状況に固有のものです。気候によって、色の好みが異なります。たとえば暑い気候の人は、涼しい気候の人とは違う色を好むかもしれません」と語りました。