デザイン

「世界で最も醜い色」は何のために生み出されたのか?

by Anna Kolosyuk

色が持つイメージは人の心理に影響を与えるといわれ、芸術やデザインだけではなく、商品戦略にも応用されることがあります。「楽観的」「親しみやすさ」「調和」などさまざまな色のイメージがある中、「世界で最も醜い」という不名誉なイメージを与えられた色が存在し、実際に商品デザインに応用されています。

Does this colour turn you off?
https://www.theage.com.au/national/does-this-colour-turn-you-off-20120816-24bf4.html


Stylewatch: Is Pantone 448C really the ugliest colour in the world? | Fashion | The Guardian
https://www.theguardian.com/fashion/2016/jun/08/stylewatch-pantone-448c-ugliest-colour-world-opaque-couche-australian-smokers-fashion


世界で最も醜い色が以下の「PANTONE 448 C」と呼ばれる色。RGBは「74、65、42」で、CMYKは「33,43、80、82」、ウェブカラーコードは「#4A412A」になります。


オーストラリア政府は市場調査企業のGfk Bluemoonと協力して、「たばこのパッケージの色」を策定するにあたって「最も人に嫌悪感を持たせる色」を策定するため、16歳から64歳までの喫煙者およそ1000人を対象とした研究を行いました。

その結果に選ばれたPANTONE 448 Cは、「死」「汚物」「たばこのタール」「赤ちゃんの排せつ物」というイメージを人に与える色であることがわかりました。なお、他の候補としては白、ライムグリーン、ベージュ、ダークグレー、マスタードイエローがあったそうですが、「最も目立たず、健康被害のイメージを強く与える」という点で、PANTONE 448 Cが選ばれたとのこと。


オーストラリア政府はこの色を当初「オリーブグリーン」と呼んでいましたが、オーストラリアオリーブ協会からクレームが入ったため、「くすんだダークブラウン」という呼び名に変更。2016年からオーストラリアの紙巻きたばこのパッケージにはこの色を使うことが法律で定められました。

実際のオーストラリアのたばこのパッケージはこんな感じ。本来は赤いパッケージが特徴の「マールボロ」という銘柄ですが、PANTONE 448 Cに染まった箱に、肺気腫でボロボロになった肺の写真がプリントされています。


イスラエルのメディアであるFrom the Grapevineによると、PANTONE 448 Cを用いた新パッケージの効果は予想以上だったようで、オーストラリアで実際にPANTONE 448 Cがたばこのパッケージに利用されてすぐに喫煙者から「新しい箱のたばこは、従来のたばこよりもまずく感じる」という意見が出たそうです。

PANTONE 448 Cはオーストラリアのみならず、フランス・イギリス・ノルウェー・サウジアラビア・イスラエルなどの国でたばこの包装に使われるようになりました。2020年1月にはトルコでもPANTONE 448 Cをたばこの包装に使うように定める法律が成立しました。

なお、「PANTONE 448 C」という名前は、世界で広く使われている色見本帳のメーカーで、毎年トレンド分析をもとに1年のテーマカラーとなる「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表しているPANTONEで通用しているコードネーム。PANTONEのエグゼグティブディレクターであるリートリス・アイズマン氏は「PANTONEはすべての色を平等に考えています。最も醜い色というものはありません。PANTONE 448 Cは深みのある豊かな土壌を思わせる色で、ソファや靴で人気が出るかもしれません」と述べています。

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in デザイン, Posted by log1i_yk

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