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Microsoftがリモートワーク導入後の変化を分析した結果判明したこととは?

by Robert Scoble

Microsoftが、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として導入していたリモートワークにより同社の社員の働き方がどう変わったのか」についての分析結果を発表しました。

Microsoft Analyzed Data on Its Newly Remote Workforce
https://hbr.org/2020/07/microsoft-analyzed-data-on-its-newly-remote-workforce

アメリカでCOVID-19が猛威を振るう中、Microsoftは2020年3月上旬にリモートワーク制度を導入しました。Microsoftは、COVID-19が職場や教育現場にもたらした変化について「もう元には戻れない」と評しています。

新型コロナウイルスは働き方や学び方を永久に変えてしまったというMicrosoftの見解、「もう元には戻れない」 - GIGAZINE


Microsoftでマーケティングコミュニケーションマネージャーを務めるNatalie Singer-Velush氏は、リモートワークが職場に与えた影響を調べるため、MicrosoftのサービスであるModern Workplace Transformationに携わる350人の社員と、ほかの職場の社員の協力関係についてのデータを収集しました。収集されたデータの中には、匿名化された電子メール、スケジュール情報、インスタントメッセージ(IM)のメタデータなどが含まれていたとのこと。その結果、以下の4つの変化が浮かび上がりました。

◆1:会議が短くなった
Singer-Velush氏が特に驚いたのが、会議の在り方の変容です。具体的には、30分以下のミーティングが22%増加した一方で、1時間以上のミーティングは11%減少していました。また、1つ1つのミーティングの時間が減少した一方で会議の回数は増加しており、ミーティングに費やされた時間の総和は10%増加していたとのこと。Singer-Velush氏はこの結果について「廊下やコーヒーマシンのそばでの井戸端会議ができなくなったから」と見ています。

その上でSinger-Velush氏は、「会議の短時間化は上層からの命令ではなく、自発的な変化により発生しました。社員の感情を分析する調査の結果は、社員たちがこの変化を高く評価していることを示しています。今後、1時間にも及ぶようなミーティングは、本当にそんなに長い時間を使うのが賢明かについて厳しい目で見られるでしょう」と指摘しました。

◆2:管理職は苦労したが、部下にはいい影響があった
Singer-Velush氏によると、リモートワークへの移行がアメリカ本社より早期に行われた中国の職場では、管理職の通話時間が週7時間から週14時間に倍増していたとのこと。また、管理職がやりとりしたIMの数も115%増と、2倍以上の伸びを見せました。

アメリカでは、管理職が調整に時間を取られていただけでなく社員全体の労働時間も伸びていましたが、管理職と1対1のミーティングを多く行っている社員は、労働時間の伸びが有意に少なかったとのこと。

以下の図のうち、上のグラフは社員らが行った共同作業の時間の増加を、下のグラフは通常業務の時間の増加を週単位で集計した結果です。いずれのグラフでも、「管理職と1対1のミーティングを多く行った社員」を示す青色の棒グラフが、そうでない社員を示す黒色のグラフの半分程度しかないことから、管理職と頻繁にコミュニケーションを取っている社員はリモートワークによる勤務時間の増加が少なく抑えられたことが分かります。


Singer-Velush氏は「この結果は、管理職が優先順位付けや時間の節約を支援することで、リモートワークのネガティブな側面から部下たちを守っていたことを意味しています」と述べました。

◆3:仕事とプライベートの境があいまいになった
以下の図は、社員間で送受信されたIMの数と時間の関係を折れ線グラフにしたもので、灰色の線がCOVID-19発生前を、青色の線がCOVID-19によるリモートワーク開始後を示しています。赤枠で囲われた就業中の時間帯を見ると、リモートワーク開始前は昼休憩を挟んで午前と午後の2回に分けて大きなピークがあったIMの数が、リモートワーク開始後にはかなり平準化されていることが分かります。一方、リモートワーク開始後には、18時以降のIMも増えています。


この結果についてSinger-Velush氏は「パンデミック前は、昼休憩によりIMのやりとりが25%も減少したのに対し、今では10%程度しか減っていません。一方、18時から24時までのIMは52%増加しました。また、週末に行う共同作業の時間が10分未満である社員の数も3倍に増加しました。この変化は大したことではないように見えるかもしれませんが、意図していたわけでも望んでいたわけでもないワークカルチャーの変化です」と述べました。

◆4:社員同士のつながりは断たれなかった
リモートワークにより、社員が働く環境や仕事のリズムが変化したため、Singer-Velush氏は「社員のネットワークは大幅に減少するだろう」と予想していたとのこと。しかし、実際に全米で働くMicrosoft社員9万人の人間関係の広さを測定したところ、ほとんどの社員の人間関係は縮小していなかったとのこと。それどころか、多くの社員はむしろ人間関係を拡大させており、自分の職場だけでなく別の職場の社員とも交流するようになっていたとのことです。

リモートワーク中のMicrosoft社員が行っていた交流の中には、みんなで同じ時間にランチを食べるといったものから、「パジャマデー」や「ペットの見せ合い」といったユニークなものもありました。こうしたオンラインでの交流会の回数は、1カ月間で10%増加していたそうです。


Singer-Velush氏は「帰属意識は人間の核心的な欲求の1つであり、つながりを感じることはやる気に結び付きます。これが、仕事上の人間関係が非常に重要な理由です。強い社会的なつながりは、従業員をより幸せで健康的な気分にさせ、より強固なネットワークを構築するのに役立ちます」と述べました。

その上でSinger-Velush氏は、「今の私たちの働き方が、COVID-19の発生前やリモートワーク制度が導入される前とは永久に違ったものとなってしまったのかはまだ分かりませんが、こうした変化について学ぶことは、今後の数カ月間から数年間における組織の回復力の鍵となると確信しています」と述べました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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