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GoogleやAmazonが「新型コロナウイルスの誤情報を広めるサイト」に25億円以上の広告費を払っているとの指摘


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に関連して、インターネット上では多数のデマや誤情報が飛び交っていることが指摘されています。誤情報を拡散するウェブサイトの調査や信頼性評価を行うGlobal Disinformation Index(GDI)は、「GoogleやAmazonなどのテクノロジー企業による広告配信で、誤情報を拡散するサイトに27億円近い広告収入が流れ込んでいる」と指摘しました。

Why is ad tech paying US$25 million to COVID-19 disinfo sites? – GDI
https://disinformationindex.org/2020/07/why-is-ad-tech-paying-us25-million-to-covid-19-disinfo-sites/

Google, Amazon Funnel Money to Virus Conspiracy Sites: Study - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-07-08/google-amazon-funnel-over-20-million-to-virus-conspiracy-sites

COVID-19のパンデミックに乗じた誤情報や陰謀論の拡散は大きな問題となっています。たとえば、アメリカやヨーロッパでは、5G用の電波塔がパンデミックの原因になっているというデマが発生して電波塔への放火事件が起きており、パンデミックに乗じる形でワクチン反対派が運動を活発化させているという指摘もあります。

新型コロナウイルスのパンデミックに乗じてワクチン反対派の運動が活発化しているとの指摘 - GIGAZINE


そこでGDIは、AmericanThinker.com、BigLeaguePolitics.com、TheGatewayPundit.com、RT.comなど、COVID-19に関する誤情報を強く拡散するウェブサイトに表示されている480件の広告について調査しました。その結果、家庭用電子機器メーカーや化粧品メーカー、ニュースメディアといった多くの一般的な企業の広告が、これらの有害なウェブサイトに表示されていることが判明したとのこと。

たとえば以下の画像は「BigLeaguePolitics.com」にキヤノンの広告が表示されているところを示しています。この広告はGoogleを通じて配信されたものです。


この画像では、化粧品メーカーのロレアルの広告がAmazon経由で表示されていることがわかります。この他にもAmazon PrimeやeBay、Microfost、ニュースメディアのBloomberg、歯磨き粉などを販売するCrest、医薬品メーカーのメルクアストラゼネカ、日産自動車など、さまざまな企業の広告がCOVID-19の誤情報を拡散するウェブサイトに掲載されていたとGDIは述べています。


広告主は、GoogleやAmazonのように広告配信サービスを提供している企業に広告費を支払い、広告掲載を委託しています。その費用の一部は上述のような形で、有害な誤情報を広めるウェブサイトに流入しています。

GDIが調査したところによると、COVID-19に関する誤情報を拡散するウェブサイトが得ている広告収入は2500万ドル(約27億円)に上っています。収益源となっている広告配信企業トップ5はGoogle、OpenX、Amazon、Xandr、Taboolaの5社で、特にGoogleからは1920万ドル(約20億6000万円)が支払われているそうです。


GDIは誤情報を拡散するウェブサイトに広告収益が支払われることにより、本来であれば信頼できるウェブサイトが得るはずだった広告収益の取り分が減少すると指摘。また、広告主からすれば、誤った情報を拡散するサイトに広告が掲載されることで「こんなサイトに広告を出している」と悪い印象を持たれることになります。そこでGDIは、広告配信企業が誤情報拡散サイトへの広告掲載を止めるまで、広告を引き上げることも検討すべきだと主張しています。

Googleの広報担当者はGDIの調査について問い合わせたBloombergに対し、「このレポートは何を誤情報と見なすべきか定義しておらず、広告収入の計算も透明性や現実性がないという欠点があります」と反論。しかし、GDIのレポートで示された10件の誤情報拡散サイトのうち5件から、広告収入を剥奪したとのこと。Googleの広報担当者は「Googleには、有害で詐欺的なコンテンツが収益化されるのを防ぐため、厳しいウェブサイト運営者ポリシーがあります」と述べ、COVID-19の有害な誤情報に積極的に対応していると主張しました。なお、AmazonはBloombergの問い合わせに回答しませんでした。

GDIの共同創設者であるダニー・ロジャーズ氏は、「企業が公に言っている『ヘイトスピーチや有害なコンテンツ、特にパンデミックを収益化させないための献身的な努力』は、現実に起きていることを伝える私たちのデータと一致しません」と指摘。広告配信プラットフォームは誤情報の拡散を防ぐため、さらなる取り組みを行うべきだと主張しました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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