Instagramで偽の「いいね」を自動的につけるソフトウェア開発元をFacebookが提訴、その狙いとは?
Instagram上で偽の「いいね」を自動的につけていくソフトウェアの開発元と、Facebookアカウントから個人情報を抜きとるソフトウェアの開発者を、Facebookが提訴したことが判明しました。
Taking Legal Action Against Those Who Abuse Our Services - About Facebook
https://about.fb.com/news/2020/06/automation-software-lawsuits/
Facebook sues to curb data scraping, fake Instagram likes from outside developers
https://www.cyberscoop.com/facebook-instagram-buy-likes-followers/
Facebook Files Suits to Block Unauthorized Automation Software - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-06-18/facebook-files-suits-to-block-unauthorized-automation-software-kbkyksve
2020年6月18日の発表によると、訴えられたのはソフトウェア開発者のMohammad Zaghar氏と、ソフトウェア販売会社であるMGP25 Cyberint Services。
Zaghar氏は、Facebookユーザーにユーザー名とパスワードを要求し、ページ内にある個人情報をこっそり抜き取るMassroot8というソフトウェアを開発していた人物。Massroot8は、これまでに5500人のFacebookユーザーからユーザー名とパスワードを取得したとされています。Zaghar氏は過去にFacebookから警告を受け取っており、Facebookアカウントも停止されていますが、個人情報の抜き取りをやめなかったとのこと。
一方、MGP25 Cyberint ServicesはInstagram上で偽の「いいね」やコメントを自動的に残すソフトウェアを販売していました。このソフトウェアは、実際に存在する第三者のInstagramアカウントに接続し、コードを実行することで、偽の評価を生み出していたとのことです。MGP25 Cyberint ServicesもZaghar氏と同様にFacebookから警告を受け取った後も活動を続けました。
2019年9月の連邦裁判所の判決によると、ソーシャルメディアサイトから公開データを取得することはコンピュータ犯罪取締法に違反しません。2017年にLinkedInの公開情報をスクレイピングで活用したとしてスタートアップのhiQ Labsが訴えられましたが、裁判所はこの利用を「問題ないもの」と判断しています。
スクレイピングでLinkedInの公開情報を活用することに問題はないと裁判所が判断 - GIGAZINE
by big-ashb
ただし、hiQ LabsはMassroot8と異なり、ユーザー名とパスワードを収集していなかったという違いがあります。
Facebookは近年、同様の訴訟を立て続けに起こしており、これは「Facebookが詐欺行為を容認せず、取り締まっている」というメッセージを送ることで規制を回避する狙いがあるとみられています。
Facebookの行動についてメディア学者のシバ・ヴァイディヤナサン氏は「もし彼らが本当に人々のデータを気にかけていたら、2005年、2007年、2010年にも利用規約に違反した企業を訴えていたでしょう」と述べ、Facebookが訴訟を起こすこと自体は間違っていないものの、「戦略の1つ」だという見方を示しました。
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