Instagramを使って「おこづかい稼ぎ」をする10代の若者が増加中
多くの人にとって「Instagram」といえば友人や知人と楽しい写真を見せ合うためのプラットフォーム。しかしアメリカでは、フォロワーの多い10代のInstagramユーザーがお金を受け取って広告をアパレルブランドなどの商品を紹介する「おこづかい稼ぎ」をするケースが増加しているようです。
Posting Instagram Sponsored Content Is the New Summer Job - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/technology/archive/2018/08/posting-instagram-sponsored-content-is-the-new-summer-job/568108/
学校が長期間にわたって休みになる夏休みの時期には、アルバイトなどでおこづかい稼ぎをする10代の若者が増えます。アメリカの場合、多くの少年少女はスーパーで働いたり、知人などの赤ちゃんの面倒を見るベビーシッターなどを行うことで給料を手にしますが、SNS全盛の現代ならではのおこづかい稼ぎが出現しています。
その「仕事」というのは、特に若者向けのファッションやコスメなどの商品を取り扱っているブランドから数十ドル(数千円)のお金を受け取って、そのブランドの商品を使っている様子をInstagramに投稿するというもの。この仕事にありつくためには「多くのフォロワーを抱えている」という条件を満たす必要がありますが、数千人レベルのフォロワーを持つアカウントであれば十分に対象になることができます。
ペンシルバニア州に住む13歳の女の子は、「仕事をする時にはいっぱい訓練をする必要があって、職場に行って1日何時間も仕事しなくちゃならない。でも、これ(Instagramの仕事)なら全然時間をかけずに投稿するだけで、50ドル(約6000円)ぐらいもらえるの」と語っています。氏名非公表を条件にThe Atlanticの取材に答えたこの少女には8000人のフォロワーがいて、「仕事」を始めて約1カ月で数百ドル(数万円)の収入があったそうです。
若者にとって、条件の良い仕事にありつくことは容易ではありません。近年はアメリカでも大学を卒業していないとロクに仕事を見つけることができないため、若いうちは学業に時間をとられて働く時間を見つけることも簡単ではないとのこと。また、12歳前後の少年少女を雇用することは法律上の問題もあるために、いわゆる「ローティーン」と呼ばれる世代が自分でお金を稼ぐ手段を見つけることは難しい状況です。そんな中で出現したのが「Instagramで小遣い稼ぎ」という方法で、ローティーンの女の子を中心に広がりを見せているとのことです。
そのような世代が「仕事」にありつけるのは、SNSを活用しているブランド側から話を持ちかけられるケースと、若者側からブランドに「売り込み」を行うケースの両方が存在するとのこと。やり取りのほとんどはInstagramのダイレクトメッセージ上で行われ、きちんとした契約書が存在しないケースも少なくない模様です。
女の子向けファッションブランドのBoogzel ApparelのCEOであるHelen Boogzel氏は、日常的に女の子たちからのオファーを受け取っていると語ります。特に設立から日が浅いブランドにとって、10代を対象にしたマーケティングは重要であると語るBoogzel氏は、「ブランドの中にはお金を出して『いいね』を集めたり、ファッション誌への露出を狙ったりすることがあります。しかしそれはフェイク(偽物)であり、ブランドをダメにします。ティーンエイジャーとダイレクトにつながり、ブランドに対する正直な意見を聞く方がベターです。当社の商品は若者の文化やインターネットからインスパイアを受けています。若い人たちがこの文化を作っているのです」と、SNSを使ったブランディングの効果を語っています。
10代の若者をブランディングに組み込むことにはもう一つのメリットがあるといいます。それは、「費用が抑えられる」という点。フォロワーの数にもよりますが、投稿一件あたりに支払う費用は5ドルから20ドル(約600円~2200円)と、タレントやセレブと呼ばれる人たちに数百ドル(数万円)を払うことに比べて格段にコストが少なくて済み、しかも「広告くささ」を抑えられることもメリットであるとのこと。
ニューヨークに住む「Kim」と名乗る13歳の少女は、ブランドに対して通常の投稿だと20ドル(約2200円)、24時間で消去される「ストーリーズ」であれば10ドル(約1100円)で仕事を請け負っているとのこと。Kimさんは「夏休みの間にお金を稼ぐ良い方法だと思ったの。いつも家でゴロゴロしているだけだし。私ぐらいの年齢の子どもは仕事を見つけるのが簡単じゃないので、この仕事は私にとって最高の選択肢ね」と話しています。
10代の若者にとっては、「有名人による広告」よりも「友だちからの紹介」の方が影響力が強いというのも、Instagramを使ったマーケティングが広がりを見せている要因の一つであるとのこと。テレビやネットで見る広告はどうしても「広告くささ」がついて回ってしまうものですが、Instagramで一般ユーザーを使ってマーケティングを展開することによって、実質的には広告でありながらも、より効果的な宣伝効果が得られるというメリットが存在します。
若者の中には、単なる「おこづかい稼ぎ」から脱却して「ビジネス」とも呼べるレベルに高まりを見せているケースもあるとのこと。14歳の少女たちで結成されたグループでは、自分たちの「エージェント」を形だけでも立ち上げ、ロゴや「ビジネス用メールアドレス」などを用意することで、より良い条件をブランドから引き出そうとする試みを実施しています。
このように「プロ」として活動するに至ることで、若者の中には写真編集や営業、マーケティング、予算確保、ワークフロー管理など、「大人のビジネス」の世界と変わらないレベルのスキルを身に付ける者も現れているようです。そうなるともう「素人」の良さをウリにするInstagram広告の趣旨から外れてくる気もしますが、中にはそれほどのプロ意識を持ってチャンスを生かそうとする若者も存在する様子。
ただし、この取り組みは法律のグレーゾーンをつく戦略であるため、さまざまな問題を抱えていることも事実であるとのこと。2018年夏には、ファッションブランド「so aesthetic」が若者に対して支払いを拒否するという事件が起こっており、記事作成時点でも実際の支払いが行われていないという状況が生じています。
しかしそれは稀(まれ)なケースであり、多くの場合は問題なく取引が行われているとのこと。中には、親の公認のもとで「事業」を展開する子どももおり、SNS世代ならではのお金稼ぎがまた一つ誕生しているようです。
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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log
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