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高級時計の代名詞「ロレックス」が高い理由とは?


高級腕時計と言えば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「ロレックス」です。しかし、「なぜ、ロレックスは高いのか?」と人から聞かれても正確に答えられる人は少ないはず。そんな疑問に答えてくれるムービーがYouTubeで公開されています。

Why Are Rolex Watches So Expensive? - YouTube


「世界の最高級腕時計=ロレックス」と考える人は山のようにいて、日本だけでなく世界中のほとんどの人が同様の認識を持っています。過去にはオークションでロレックスの腕時計が約1700万ドル(約19億円)で落札されたこともあり、価値の高さは言うまでもありません。では、なぜ「ロレックス」に高い価値があるのか歴史を振り返ってみましょう。


ロレックスは1905年にドイツ人のハンス・ウィルスドルフ氏によって創業され、当時は「ウィルスドルフ&デイビス」という名前の会社で、部品を外部から取り寄せて、時計の製造と販売を行っていました。この当時、一般に販売されていた腕時計は極めて不正確で正しい時間を指すのが難しかったのですが、ウィルスドルフ氏は「いつか正確なだけでなく、見た目もエレガントな腕時計を作りたい」という夢を持っていたそうです。


ウィルスドルフ氏は、夢の実現に向けスイスのビエンヌにある時計製造工房が作る小型のムーブメントを使用した腕時計を作るようになり、この部品を使って製造した時計には「ロレックス」というブランド名を付けるようになりました。


その後、ウィルスドルフ氏はムーブメントの品質にこだわるようになり、徹底的に時計の精度を上げる試みを続けていくことになります。1910年にビエンヌにあるクロノメーター検定協会(COSC)から「ロレックスが精密な時計である」ことが認められて、腕時計で初めてクロノメーター認定を受けました。その後も、同氏はムーブメントの精度向上を続けた結果、1914年には最も厳しい時計の検定を行うキュー天文台で「A評価」を受けることになり、「ロレックスの腕時計=高品質」というイメージを多くの人に植え付けることになりました。


1915年になると、ウィルスドルフ氏は第一次世界大戦でドイツ人名があると売上に影響するのを恐れて「ロレックス」に社名を変更。その後も勢いは止まることなく、1926年には防水性に特化した腕時計「オイスター」が登場。その翌年の1927年にはイギリスのテレビ放送で競泳選手のメルセデス・グライツ氏がオイスターを身に付けて、ドーバー海峡の横断にチャレンジすることになりました。グライツ氏がドーバー海峡を泳ぎ切るまでに10時間ほどかかりましたが、身に着けていたオイスターは壊れることなく、多くの人に「ロレックスの信頼性の高さ」を知らしめることになりました。


ロレックスは、その後も高所に腕時計を持ち込んだり、非常に速いスピードで走る車に載せたりして、ブランド評価を高めるという宣伝戦術を続けていきます。そして、1953年には後にSir(サー)の称号を得ることになるエドモンド・ヒラリー卿がロレックスを身に付けて、エベレストを登頂。これによって、「ロレックス=達成者の象徴」というイメージが定着することになりました。


2000年になると、ロレックスがムーブメント Cal.4130を開発したことで、部品の数を通常のクロノグラフよりもはるかに少ない290個に抑えることに成功します。このことからわかるように、同社は創業から100年以上たった2018年時点でも高い技術力を維持し続けており、腕時計市場のトップを走り続けています。


もちろん、ロレックスで製造される時計は、現在でも非常に厳しい検査を通過しなければならず、試験をクリアできなければ出荷されることはありません。また、出荷検査も厳しいのですが、その後に検査機関のCOSCでテストが行われるため、不正が起こる心配もありません。なお、ロレックス製の腕時計は「Superlative Chronometer(高精度クロノメーター)」の認定を受けており、「1日あたり-2秒~+2秒のずれ」であることが実証されています。この基準は通常でも厳しい検査基準とされる「1日あたり-4秒~+6秒のずれ」よりも高精度となっていて、いかにロレックスが高品質な時計かを物語っています。


ロレックス並に高精度な時計のムーブメントを開発するには、「長い年月」と「お金」が必要です。そして、腕時計の部品自体も非常に小さく、製造時の歩留まりが低くなる傾向があり、製造原価が高くなってしまいます。さらに、時計の組立ては全て手作業で行う必要があることと、スイスの労働単価が世界一高いことから時計の製造だけでも、非常に高いコストがかかってしまいます。


ロレックスは材料にもこだわっており、通常の高級腕時計でも扱われないような「904Lステンレス」と呼ばれる見た目が良くて、非常に硬いことでも知られる高価な素材を使用しています。もちろん、硬い素材であることから、加工するために特別な機材を用意する必要があり、同じ高級腕時計メーカーのオメガやタグホイヤーよりも原価が高くなってしまうそうです。


ロレックスの腕時計は「ブランド力」「高品質」「高い材料コスト」を実現するために、非常に高い金額となりますが、これはデメリットではありません。メリットとして、値崩れしにくい点が挙げられます。仮にロレックスの腕時計を1万ポンド(約144万円)で購入して、1年ほど身に着けた後に売却しても、購入時とほぼ同じ価格で取引することができます。


さらに10年以上たって、そのモデルが人気モデルとなっていれば、購入金額よりも高い金額で取引される可能性があります。この例のように元値の1.5倍の価値になることは極めてまれですが、絶対にないとは言い切れません。


このように、ロレックスは長い年月をかけて、業界をけん引する製品を作り続けています。同社は「ただ人に時間を伝えるだけの実用的なもの」を作っているのではなく「エンジニアリングと芸術を融合したもの」を作り続けることによって、ブランド価値を日々高め続けています。


つまり、「高い製造コスト」「高度な技術を実現するための研究費」「高い材料費」「これまで高め続けてきたブランド価値」がロレックスの腕時計の価格を大きく高めているというわけです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log