メモ

ミニチュアの建築資材を販売して月200万円を売り上げるスタートアップが振り返る「成功へのノウハウ」


アメリカ・フロリダに拠点を置くMini Materialsは、コンクリートブロックやレンガ、木製パレットなど建築資材の「ミニチュア」を販売しているスタートアップです。ひょんなことから立ち上げたビジネスがほんの数年で成長してきた経緯が、スタートアップの成功ノウハウを訊くサイトStarter Storyに掲載されています。

Mini Materials - Starter Story
https://www.starterstory.com/mini-materials

Mini Materialsは、指でつまめるほど小さなコンクリートブロックのミニチュアからスタートした企業です。2015年3月にMat Hofma氏が立ち上げたビジネスは約3年にわたって成長し、月商は1万7000ドル(約180万円)にのぼっているとのことです。

Miniature Cinder Blocks – Mini Materials
https://www.minimaterials.com/


Mini Materialsで販売されているのは、コンクリートブロックのほかレンガやコンクリートバリアー、2x4材など建物などを建てる時に使われる代表的な建材のミニチュアです。セット価格で10ドル(約1100円)から50ドル(約5400円)という単価を考えると、月商180万円はなかなかの規模といえそう。


このような、パレットに積まれたコンクリート製のブロックや……


レンガのセットをラインナップ。


指で簡単につまめるほどの大きさですが、レンガらしい雰囲気が良く感じられる仕上がり。


パレットに透明なフィルムを巻き付けるだけでホンモノ感がグッとアップ。それもそのはず、ブロックの素材は実際のコンクリートをベースにしているそうです。


スロープを作ってミニチュアスケートボードで遊んだり……


コンクリートブロック製のスマートフォンスタンドを作ることもできます。


Hofma氏がこのビジネスを立ち上げるきっかけになったのが、オンライン掲示板「reddit」で見かけたある投稿だったとのこと。グラフィックデザイナーとして仕事をしていたHofma氏は、当時から自分のビジネスを立ち上げることに関心があったそうです。

果たして何を売ったら良いのか決めあぐねていた時に見かけたのが、あるユーザーが自分の趣味でミニチュアのブロックを作ったものをアップロードしたredditの投稿だったそうです。Hofma氏はその製品を購入したいとコンタクトを取ったのですが、そのユーザーはあくまで自分用のものなので販売するつもりはないと答えたとのことで、そこからHofma氏のビジネスが始まることになりました。

モノ作りの経験がないというHofma氏はまず、フリーの3D CADソフト「SketchUp」を使ってモデルを設計することから始めたそうです。SketchUpを使ったことがある人ならば良くわかると思いますが、このソフトウェアはかなりの部分までを直感的なマウス操作だけでモデリングする事が可能。Hofma氏はこのようにして作成した3Dデータを業者に渡し、3Dプリンターでの出力を依頼しました。そして、実際に作られたモデルを接着剤でくっつけ、量産用のシリコン型を作るための原型を作成しました。


これが、製品の基となるシリコン型です。


Hofma氏はこの型を使い、ミニチュアブロックの試作を開始。当初は本物のコンクリートだけを使って製作したのですが、あまりに「もろく」なってしまったため、Hofma氏は独自に発見したある素材を混ぜることで、耐久製のあるミニチュアの開発に成功したそうです。


製品の開発と並行してHofma氏は、自分の会社を立ち上げます。地元フロリダのSunbizを通じてLLC(有限責任会社)の法人を登記したHofma氏は、同時にプロモーション用のSNSアカウントなどを開設。ここまでにかかった費用は製品の試作を含めても1000ドル(約10万円)にも満たず、かなり費用を抑えた形で起業することに成功しています。

redditでも会社設立の経緯をリアルタイムに公開していたこともあり、サイトを立ち上げて販売を開始すると、程なくして注文が届き、順調に出荷を続けてきたHofma氏でしたが、販売開始から1カ月ほどである問題に直面したとのこと。それは、試作の段階ではよくわからなかった「製品の耐久性不足」で、作ってから1カ月もすると徐々に形が崩れてしまうことが判明。ここでHofma氏は製品の仕様変更を決断するとともに、既に製品を購入済みのユーザーに対しては無償交換を申し出たそうです。このおかげで、新しい素材でできたミニチュアブロックはわずか3.3cm×1.7cm×1.7cmという大きさでありながら、上に体重約120kgの大人が乗っても壊れないほどの頑丈さを備えることになりました。

◆どのようにして顧客を集めたのか?
いくら製品を作ったとしても、それを買ってくれるお客さんがいないと商売は成り立ちません。幸運なことに、Mini MaterialsはUncrateThe AwesomerLaughing Squidといったメディアに取り上げられたことから多くの顧客を獲得できたのですが、Hofma氏もSNSを通じたプロモーションに力を入れてきたとのこと。起業したその日にInstagramアカウントを開設し、毎日欠かさず更新を続けることで2年間で4万5000人のフォロワーをゲットしたそうです。Hofma氏がInstagramで行っているプロモーションの内容は以下のような感じだそうです。

・月曜日:Mini Materialsを使って自分で作った面白いモノを投稿
・火曜日:お客さんが作ったモノを投稿
・水曜日:何かクリエイティブなコンテンツを投稿
・木曜日:「#Throwbackthursday」として、過去のムービー作品を再掲
・金曜日~日曜日:さらにクリエイティブなコンテンツ(主にムービー)を投稿

特に、実際に何かを作ってみたコンテンツが最も反響が良いとのことで、Hofma氏はFacebookも併用しつつそのようなムービーの投稿に力を入れてきたとのこと。その他にも、プレゼント企画を実施することで注目をひきつけたり、サイトを訪れた人がルーレットを回してクーポンをゲットできるSpin-a-Saleを使うことで販売につなげるといった取り組みを行っているそうです。


このようにして徐々に規模を拡大してきたMini Materialsは、Hofma氏一人では運営が難しい状態になってきた模様。特に、Hofma氏はモノ作りは得意でも数字の管理がイマイチだったようで、その分野に強い親友の一人を迎え入れることで、それぞれの業務に専念できる体制を構築したとのことです。

また、顧客を集めるためにHofma氏は、最近になってGoogle広告を活用するようになったとのこと。当初は「果たして投資に見合うリターンを得られるのだろうか」と二の足を踏んでいたそうですが、実際にやってみるとキッチリと業績を上げることができたので、「早くやっておけば良かった」と考えているとのことです。

◆もう一度最初からやるとしたら?
これまでの軌跡を振り返り、もし同じビジネスをゼロから始めるとしたら、Hofma氏は「もっとメール対応に力を入れ、メルマガの発行を強化する」と考えているそうです。メールは注文が舞い込むツールである上に、顧客とつながる重要な手段となるために、今ではメール対応をおろそかにしてきたことを反省しているとのこと。

また、前述のように「広告を活用する」ことも強化すると述べています。アメリカ最大のセールシーズン「ブラックフライデー」の期間にGoogleで広告を出したところ、非常に良い結果を得られたそうです。

◆ビジネスを拡大するために重要だと学んだことは?
自身の経験を振り返り、Hofma氏は以下の5点を重要なこととして挙げています。

1.【メールを活用する】
今やHofma氏にとって、メルマガは売上げを生み出すために最も重要なツールになっているとのこと。また、前述のSpin-a-Saleを活用することも売上げアップに貢献するそうです。

2.【顧客とつながる】
Mini Materialsのようなビジネスの場合、製品を気に入って買ってくれている顧客とつながることは非常に重要です。そのため、いくら自分が疲れていたり、「もう製品なんか見たくない」という気分であっても、自社の製品を気に入ってくれている人からのコンタクトはおろそかにせず、同じ気持ちで興奮を共有することが重要、と述べています。

3.【リマーケティングを強化する】
実際に製品を購入してくれた顧客に再びアプローチを行うリマーケティングの活用も重要。

4.【コストをかけることをいとわない】
当初は広告にお金をかけることを躊躇していたHofma氏でしたが、実際に広告を使ったところ販売を拡大して元を取ることができたとのこと。適切なターゲティングなどの準備をしておけば、それに見合った利益を得ることが可能です。

5.【コンテンツの充実に力を入れる】
優れた製品を作ることと同じぐらい重要なのが、それを使ったコンテンツの素晴らしさを伝えること。「これが最も難しい」と語りつつHofma氏は「ボブの絵画教室」を例に出し、テレビで絵を描いて多くの人を魅了することでオリジナルブランドの絵の具を販売して成功したエピソードを紹介しています。

Mini Cinder Block Planter - YouTube


◆今後の展望は?
今後の展開について、Hofma氏は短期目標と長期目標を次のように述べています。

・短期目標
取扱商品のうち20~50製品をピックアップして、在庫プロセスを改善する。また、パッド印刷機を導入したので、販促物としてのMini Materials製品の活用の売り込みを強化する。これはまだ未着手の分野であり、大量注文が入ることも期待できる。

・長期目標
現在の主力商品であるブロックのミニチュアに匹敵する新製品を1年あたり1~2個開発する。これは容易なことではなく、これまでにない取り組み方も必要になってくると思われるが、すでに進行中のものもある。

◆ビジネスを行うにあたって活用しているプラットフォームやツールなど
Shopify:誰でも簡単にネットショップを作ることができるプラットフォーム
Shippo:Shopifyと連携して商品の出荷業務を行えるAPIおよびダッシュボード
Etsy:手作りのプロダクトを販売できるプラットフォーム。Mini Materialsの製品のいくつかは手作りしているものなので、Etsyで販売されており、Shopifyよりも手数料が低いのが魅力とのこと。
Amazon:Mini Materialsの製品はAmazonのフルフィルメントサービス上でも販売中。特にセール期間中などで、Prime扱いになると1000単位の注文が入る。
MailChimp:メール配信のために活用
Product Upsell:Shopifyのプラグインで、ユーザーが「カートに入れる」をクリックした時に関連商品を表示させ、売上げアップを図る
Spin-a-Sale - Interactive Email Popup:Shopifyのプラグインで、ルーレットを回させることでクーポンを発行し、ユーザーのメールアドレスをゲットできる
TaxJar:Shopifyのプラグインで、売上に伴う税金処理を肩代わりする。

◆これから起業している人や、起業したばかりの人へのアドバイス
自身の経験をもとに、Hofma氏は次のようにアドバイスを送っています。

「何ごとも、一夜にして成功を収めることはありません。Mini Materialsでは成功までに3年かかり、やっと全てがうまく動き出したと思えている状況です。もし何かをやろうと思っているとすれば、長い期間にわたって努力する必要があります。確固たるアイデアに長期間にわたってコミットすることで、結果は生まれます。良いワーク/ライフバランスを保つことを心がけてください。仕事がはかどらないために家族や友人をないがしろにすることがないように」

Love these miniature gnomes by @younevergnome

Mini Materialsさん(@minimaterials)がシェアした投稿 -

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
片手間状態で始めたWebサービスが年商500万円のビジネスに達するまでの成長録 - GIGAZINE

月間収益100万円を突破した「Candy Japan」のビジネス戦略の手法とは - GIGAZINE

スタートアップを成功させた企業創設者が絶対に言わない10のこと - GIGAZINE

人材派遣会社が最初の利用者1000人を獲得した方法を公開 - GIGAZINE

月収をゼロから3万ドルまで増やすための7つの教訓 - GIGAZINE

ゼロから起業を成功させるために必要な16の教訓 - GIGAZINE

in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.