都市封鎖は人々の飲酒習慣をどのように変えたのか、制限解除後にお酒を飲む時に気をつけるべきこととは?


日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の緊急事態宣言が2020年5月25日に全国で解除されたことによって、制限の解除を喜んで晴れ晴れとした気持ちでお酒を飲めるお店に向かった人もいたはず。しかし、COVID-19のパンデミックは人々の飲酒習慣を変えており、都市封鎖などの制限解除後にお酒を飲む際には注意が必要だと、オーストラリアのニューカッスル大学カーティン大学の研究者らが指摘しています。

Getting back on the beers after lockdown? Here's what you should know
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COVID-19のパンデミックによる生活習慣の変化に焦点を当てたいくつかの研究は、「人々の飲酒習慣がCOVID-19対策の都市封鎖などで変化した」ことを示しています。都市封鎖によって外出できなくなってしまった人々の中には、お酒を飲むことで気晴らしをしようと考える人も多かったようで、アメリカでは都市封鎖によってオンラインでのアルコール販売量が243%も増加したことが指摘されています。

オーストラリア・コモンウェルス銀行は、オーストラリアでは都市封鎖が始まって最初の数週間で、人々のアルコールへの支出が20%増加したことを報告しました。また、Foundation for Alcohol Research and Education(アルコール調査・教育財団)の調査によると、オーストラリア人の70%が「以前より飲酒量が増えた」と自覚しており、お酒の飲み過ぎを心配している人は30%に達するそうです。

また、COVID-19のパンデミックで飲酒量が増えたのは、男性よりも女性の方が多いとの指摘もあります。オーストラリア統計局モナシュ大学の調査では「COVID-19のパンデミックで飲酒量が増えた」と回答した人の割合が、男性よりも女性の方が多いことが判明しています。

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男女間のCOVID-19のパンデミックに伴う飲酒量増加の違いは、男性が「社会的な状況や自身に対する報酬」として飲酒する傾向であるのに対し、女性が「ストレスに対処する方法」として飲酒する傾向が強いという点が原因の一つと考えられています。加えて、学校が閉鎖されたことにより育児の負担が増した点も、女性のストレスを増やして飲酒量を増加させた理由かもしれないとのこと。

都市封鎖中の飲酒量増加はメンタルヘルスの問題や家庭内暴力、アルコール依存症の増加を引き起こす懸念が指摘されており、日本でも外出制限によるストレスや生活の乱れによってアルコール依存症のリスクが増していると報じられています。アルコール依存症に苦しんでいる人々をサポートする断酒支援団体も、定期的な例会の開催が中断され、参加者がアルコールに手を出してしまうのではないかという懸念を表明しています。


COVID-19のパンデミックは人々の飲酒習慣に大きな影響を与えましたが、この影響は都市封鎖が解除された後も続く可能性があります。研究者らは、都市封鎖中に飲酒量が増えた人々の「アルコール耐性」が増加し、気分向上を味わいたい場合に必要なアルコールの量がパンデミック以前よりも増えているかもしれないと指摘。そのため、以前と同じ気分になるまでお酒を飲んでいると、知らないうちに飲酒量が増えてしまう危険があると述べました。

たとえ1杯あたりのアルコールによる気分向上の効果が薄れても、アルコールは確実に脳の機能に影響を与えているため、当然ながら車の運転などは厳禁です。また、同じ量のアルコールで得られるメリットが減少するということは、アルコール依存症の第一歩でもあります。

もちろん、「ロックダウン中にはアルコールを提供しているお店に行けなかったので、普段よりも飲酒量が減った」という人もいます。こういうケースでは普段よりもアルコール耐性が低くなっているため、以前と同じ分のお酒を飲むと酔っ払いすぎてしまう危険があると研究者らは指摘。いずれのケースに当てはまるとしても、ロックダウン解除後にお酒を飲む場合は自分が飲んでいる量を注意深く監視し、飲み過ぎないようにする必要があるそうです。


研究者らが教える「飲み過ぎないようにするヒント」は以下の通り。

◆1:上限を設定し、飲んだ量を数える
飲み始める前に「今日はこの量までしか飲まない」と上限を決め、それ以上は飲まないように気をつけることが重要です。

◆2:飲み物と水を交互に飲む
お酒を1杯飲むごとに水または砂糖が入っていないドリンクを1杯飲むことで、飲酒のペースを落としてお酒を飲み過ぎることを防ぎ、厄介な二日酔いに悩まされる危険も減少します。

◆3:飲酒前と飲酒中に料理を食べる
飲酒の最中にご飯を食べることによってアルコールの吸収を遅くできるほか、自分がどれほどの量を飲んでいるのか把握しやすくなるとのこと。


また、お店でお酒を飲む場合は友人や同僚たちと連れ立って行くケースも多いはずですが、都市封鎖が解除された後もCOVID-19に感染するリスクをできるだけ抑えることが重要です。そのため、研究者らは「お互いに1.5m以上の社会的距離を保つ」「洗っていない手で目や鼻、口に触れない」「手洗いなどの衛生習慣を維持する」「スマートフォンに新型コロナウイルス感染追跡アプリをインストールする」などのガイドラインを守るように訴えています。

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in , Posted by log1h_ik

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