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在宅勤務時に仕事モードとプライベートモードを切り替えるにはどうすればいいのか?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を機に在宅勤務を導入した人も多いはずですが、「自宅で仕事をしていると仕事とプライベートの切り替えが難しい」と感じている人もいます。そこで、イギリス・バーミンガムにあるアストン大学で組織心理学の講師を務めるWladislaw Rivkin氏が、仕事とプライベートの切り替えの重要性と、在宅勤務時に仕事モードとプライベートモードを切り替えるヒントについて解説しています。

Working from home? Why detachment is crucial for mental health
https://theconversation.com/working-from-home-why-detachment-is-crucial-for-mental-health-135986


Rivkin氏はCOVID-19の流行以前から在宅勤務を行っていたそうで、友人からはよく「朝からジンを飲んで、パジャマのまま仕事をしているんじゃない?」といったジョークを言われていたとのこと。しかし、COVID-19のパンデミックによって多くの人々が在宅勤務を余儀なくされた人々の中には、「在宅勤務は想像していたような優雅なものではなく、自宅で仕事をするのは大変だ」と実感した人も多いとRivkin氏は指摘。

オフィスなどの環境は多くの従業員にとって効率的に仕事ができるように作られていますが、自宅は一般的にプライベートのための空間です。そのため、自宅で仕事をする上では仕事と関係のない思考や行動、感情を抑制する高度な自己制御能力が必要とされます。Revin氏によると、自宅で仕事をするために必要な自己制御能力は、ダイエット中にチョコレートバーを食べるのを控えたり、マラソン大会に向けてトレーニングを欠かさず行ったりするときの自己制御能力と似ているとのこと。


自己制御はキャリアの成功や安定した人間関係といったメリットをもたらしますが、Rivkin氏は自身が2016年に発表した(PDFファイル)研究で、あまりに厳格な自己制御を強いることはメンタルヘルスや幸福度に悪影響を及ぼす可能性があると明らかにしています。心理学者らは自己制御が精神的な負担になる理由について、筋肉を使うと肉体が疲労するのと同様に、自己制御を行うことは精神的なエネルギーを消費するからだと主張しているそうです。

在宅勤務をするには、新たなテクノロジーやコミュニケーション形態の変化に適応し、家族やペット、日常の家事といった気を散らす物事に抵抗し、その気になればいつでも自由に外へ出られるという誘惑に打ち勝つ必要があります。しかし、在宅勤務をするには厳しい自己制御を課さなくてはならない一方で、自己制御は精神的なエネルギーを消費してしまうという問題があるとRivkin氏は指摘しました。


Rivkin氏は、「精神的エネルギーを補充して自己制御の悪影響を軽減する重要な要素は、『心理的分離』と呼ばれるものです」と解説。心理的分離とは、休みの時には精神的に仕事のスイッチをオフにすることを意味しており、仕事に関する全ての活動と思考をしないことが要求されます。たとえばオフィスで仕事をしている場合、「仕事を終えた後にオフィスの外に出る」という行為が心理的分離の役に立ちますが、在宅勤務時にはこの切り替えが困難になってしまうとのこと。

そこでRivkin氏は、在宅勤務時に心理的分離を実現するためには「作業時間とそれ以外の時間を積極的に管理すること」が重要だと考えています。リモートワーカーはオフィスワーカーと比較して長時間労働する傾向があるため、あえて仕事に関するコミュニケーションを遮断し、集中力を必要とする趣味に没頭するなどして、仕事とプライベートの境界線を明白にすることが役立つとRivkin氏は主張しています。


また、Rivkin氏は在宅勤務時の精神的健康と幸福を高める上で重要な、10個のヒントを挙げています。

◆01:邪魔が入らない専用の作業場所を確保する。
◆02:集中して作業する時間と休憩を含む仕事のスケジュールを作成する。
◆03:可能であれば、育児やペットの世話は仕事中に行わない。
◆04:メールの返信などに費やす専用の時間を確保する。
◆05:コーヒーブレイクや簡単な日常のタスクから仕事を始めるなど、シンプルなルーチンを確立する。
◆06:最初に定めた仕事や余暇の時間を厳守する。
◆07:仕事を終えるタイミングとして、「この仕事が終わったら」といった思いつきの期限を設定しない。
◆08:可能な場合は余暇を過ごす部屋と仕事をする部屋を分け、特に寝室での仕事は避ける。それが無理であれば、仕事が終わったら仕事を想起させる全てのアイテムを片付ける。
◆09:勤務時間外には、あらゆる種類の仕事に関するコミュニケーションを遮断する。
◆10:仕事の後は、運動や料理、マインドフルネス、子どもやペットとの遊びといった魅力的な活動に従事する。


一般的に、在宅勤務などの新たな環境に適応するには自己制御が必要不可欠ですが、ロックダウン中には自分の精神的なリソースが使い果たされていないかどうか、意識して確認する必要があります。仕事をしている人は心理的分離を含む体験を通じて、定期的に精神的なリソースを回復する必要があるとRivkin氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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