メモ

低レベルなエンジニアの粗製乱造によって工学系の大卒学歴がインドで無価値になっている


生まれついての身分制度が人生を左右し、職業も生まれつき決められることもあるというカースト制度が重視されるインドでは、カースト制度に関係なく就職できるITエンジニアの職業が非常に人気があります。しかし、エンジニア志望の学生が急激に増えた結果、インドではもはやエンジニアとして十分な業務をこなせないエンジニアが増えてしまったといわれています。

How the most prized degree in India became the most worthless - Rest of World
https://restofworld.org/2020/india-engineering-degree/


1991年にインドが海外投資の制限を緩和し、欧米企業が何千人ものインド人技術開発者を採用したことで、インドのIT業界は急成長しました。インドでソフトウェアエンジニアになることは成功の証でした。しかし、好待遇で雇用されるのはおおむねインド工科大学(IITs)出身者に限られています。


IITsに入学するため、毎年100万人以上の学生が毎年4月に実施される合同入学試験を受験しますが、競争率は50倍。入学志望者数に対する定員があまりにも少ないという問題を解決するため、インド政府は2000年代初頭に規制を緩和し、新しい工学部や工科大学の設立を認可しました。

その結果、インドには3500校を超える工科大学や工学部が設立されましたが、本人の素質やスキルは重視されず、「お金さえ支払えば入学できる」という状況を生んでしまいました。この「お金さえ支払えば入れる」入学枠が、IITsなども含めたインド全体の工学系の入学枠のうち、およそ3分の1を占めるようになり、1万5000ドル(約160万円)から3万5000ドル(約370万円)という高額な入学費が科されるようになった一方で、大学の教育水準が大幅に低下してしまい、卒業生のおよそ90%がソフトウェアエンジニアとして働くために必要なプログラミングスキルすら習得できていないとのこと。

「インド人のITエンジニアは優秀」という風潮は正しくないという研究結果 - GIGAZINE


こうした事態を受けて、2020年2月中旬にインド技術教育評議会は、2022年まで新しい大学の認定を停止すると発表しました。

政府組織で働くエンジニアのアナンド・ナイア氏は「インドでは、やりたいことをやる前に『伝統的な学位』が必要です」と語り、インドでエンジニアの仕事を得るためには伝統と実績のある大学を卒業する必要があると述べました。

また、エンジニアの数が増えすぎたことにより、新人エンジニアの平均年収はおよそ4500ドル(約48万円)にまで落ちてしまっているとのこと。さらに、近年では工学系の大学を卒業しても、エンジニアになれずに販売営業やマーケティング、人事、コンテンツ管理といった仕事に就職する人が多く、極端なケースではフルタイムのUber運転手やUber Eatsの配達人といった仕事に就く人もいるとのこと。

工学系の大学や学部が乱立したことによって大学の定員割れも起こしており、2017年にはインド国内にある大学で入学定員に達したのはわずか半分だけ。2016年から2019年までの4年間で500校以上の大学が廃校に追い込まれたそうです。

by ben dalton

ベンチャーキャピタリストのNitin Sharma氏は「私の感覚では、雇用に適さないエンジニアの多さが底辺層に影響を与えています」と述べ、レベルの低い大学が相次いで廃校になる流れを歓迎しています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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