Zoomが暗号化技術のスタートアップKeybaseを買収、エンドツーエンド暗号化によりセキュリティが向上か
オンライン会議アプリ「Zoom」を手がけるZoom Video Communicationsが、2020年5月7日に暗号化技術を開発しているスタートアップKeybaseを買収したことを発表しました。これにより、セキュリティ上の問題がたびたび指摘されてきたZoomの安全性が向上すると期待されています。
Zoom Blog - The Video Communications Company
https://blog.zoom.us/wordpress/ja/
Keybase joins Zoom
https://keybase.io/blog/keybase-joins-zoom
Zoom buys Keybase in first deal as part of plan to fix security
https://www.cnbc.com/2020/05/07/zoom-buys-keybase-in-first-deal-as-part-of-plan-to-fix-security.html
新型コロナウイルスの影響によりユーザー数を急拡大させているZoomですが、ユーザーの許可なくカメラが有効化されたり、Facebookアカウントを持っていない人のデータがFacebookに送信されたりといったプライバシー上の問題や、パスワードで保護されていない通信が行われる「パスワード問題」や、暗号化キーの一部が中国のサーバーから発行されているなどのセキュリティ上の問題がたびたび取り沙汰されてきました。
セキュリティ&プライバシー関連の問題が相次ぐオンラインビデオ会議アプリの「Zoom」 - GIGAZINE
これによりZoomは、Googleから従業員による使用を禁止するアプリに指定されたり、投資家から集団訴訟を提起されたりといった厳しい評価を受けています。
Googleがオンラインビデオ会議アプリ「Zoom」の使用を禁止 - GIGAZINE
セキュリティ&プライバシー問題が続出のZoomが投資家に集団訴訟される - GIGAZINE
こうした批判を受ける中、Zoomは4月8日に「90日間のセキュリティ計画」を打ち出して、プライバシーやセキュリティ安全性の向上に注力する姿勢を見せていました。
さらに、ZoomのCEOであるEric S. Yuan氏は、5月7日にエンドツーエンドで暗号化されたビデオ通話技術を開発するスタートアップKeybaseを買収したことを発表しました。Zoomが他社を買収するのは、創業から9年の間で初めてのこと。なお、新型コロナウイルスの影響を考慮して、両社の買収交渉はZoomでのビデオ通話で行われたとのことで、買収額や条件などの詳細は明らかになっていません。
Yuan氏はKeybaseの買収の効果について、「近い将来Zoomは、すべての有料アカウントにエンドツーエンドで暗号化された会議モードを提供します。会議のホストによって生成された一時的な対称鍵は、クライアントの間で共有され、出席者リストに変更があり次第更新されます。暗号化された通信はホストによって管理され、ホストはどのクライアントがどのデバイスで会議に参加するかの許可を行うことができます」と説明しました。
また、Keybaseは「当面は、Zoomをより安全なものにすることを最優先に考えています。短期的な目標としては、これまでのKeybase製品よりも大きな製品の開発に取り組んで、セキュリティの大幅な改善を行うことですが、今まさに取りかかったばかりなのではっきりしたことはお伝えできません」と述べて、改善の具体像は今後明らかにするとの考えを示しました。
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