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デジタル広告のサプライチェーンは「よく言って不透明、悪く言って詐欺」、サイト運営側は約50%しかお金を受け取っていないことが明らかに


ウェブサイトに表示される広告は、広告主とウェブサイトの運営者だけでなく、その間に存在する広告代理店など多くの組織が携わっています。このサプライチェーンの仕組みをイギリスのマーケティング業界団体ISBAが調査したところ、ブランド側が支払った広告費のうちウェブサイトに届くのは約半分であることなどが明らかになりました。

'There is a big hole in the value chain': Brands lose 50% of the money they invest in programmatic ads
https://www.marketingweek.com/programmatic-advertising-supply-chain-brands/


調査では、大手スーパーマーケットチェーンの「Tesco」から消費財チェーンの「ユニリーバ」、航空会社「ブリティッシュ・エアウェイズ」など15のブランドと、8つの広告代理店、12個のウェブサイト運営者からデータが収集されたとのこと。これらの広告主・広告代理店・ウェブサイト運営者によって、イギリス国内で合計1億ポンド(約130億円)がプログラム広告費として支払われていました。

調査の結果まずわかったのは、ウェブサイト運営者は広告主の支出のうち、51%しか受け取っていないということ。残りの支出のうち7%が代理店、8%がDSP手数料、別の8%がSSP手数料、10%がテクノロジープロバイダーへの手数料となっており、サイト運営者以外への支出のうち実に3分の1を占める15%もの支出がサプライチェーンに帰属していない謎の領域へ支払われていることとなります。


なお、この数字は「最良の結果」であり、実際にはこの数字がもっと高い可能性もあるとみられています。例えば、イギリスの大手新聞The Guardianは、2016年に広告主の支出のうちウェブサイト運営者が受け取るのはわずか30%だと発表しています

また、今回の調査において、広告主とウェブサイト運営者がプログラム広告のデータを共有するまでには9カ月を要しており、これは「組織性の欠如」と「サプライチェーンの複雑さ」を表しているとISBAは指摘しています。


PwCでメディア保証業務を担当するSam Tomlinson氏は、デジタル広告のサプライチェーンが広告主とウェブサイト運営者の間でのデータのやり取りを阻害している点を指摘しており、「広告主とウェブサイト運営者がデータの共有を望んでいるため、その間に存在する人々は共有を促進すべきです」とコメント。さらに、 Tomlinson氏はDSP側のデータとSSP側のデータのフォーマットに一貫性がない点も問題であると指摘しました。また、DSPが取得したインプレッションのデータはSSPが取得したデータと一致しないことがあるとのことです。

今回の調査は、データ共有や透明性、そして「不明なデルタ」のさらなる調査を促進するためのテクノロジー上、あるは契約上の規格化が必要であることを示すものとなっています。

このようにデジタル広告のエコシステムの一掃が呼びかけられたのは、ISBAの調査が初めてではありません。P&Gの最高ブランド責任者であるMarc Pritchard氏も2017年に、デジタル広告のサプライチェーンが「よく言って不透明、悪く言って詐欺」であり、透明性や基準の確立が必要だと述べました

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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