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Amazonの国外版を「悪質な偽造品市場」とアメリカ政府組織が認定

by Ivan Radic

大統領直属の政府組織であるアメリカ通商代表部(USTR)が2020年4月29日に発表した「知的財産保護に関する年次特別報告書」で、Amazon.comの運営するアメリカ国外のウェブサイト5件が「悪質な偽造品市場」として初めてリストアップされました。

USTR Releases Annual Special 301 Report on Intellectual Property Protection and Review of Notorious Markets for Counterfeiting and Piracy | United States Trade Representative
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2020/april/ustr-releases-annual-special-301-report-intellectual-property-protection-and-review-notorious


Trump administration lists some of Amazon's foreign websites as 'notorious' counterfeit markets - POLITICO
https://www.politico.com/news/2020/04/29/trump-administration-amazon-foreign-websites-220766

US cites Amazon's foreign platforms over counterfeit goods
https://techxplore.com/news/2020-04-cites-amazon-foreign-platforms-counterfeit.html

リストに加えられたのはイギリス版Amazon.comである「Amazon.co.uk」やフランス版の「Amazon.fr」、ドイツ版の「Amazon.de」、カナダ版の「Amazon.ca」、インド版の「Amazon.in」。USTRは年次報告書で、これら5カ国のAmazonでは「誰が商品を販売しているのかを容易に判別できない」「Amazon側が販売者を十分に調べていないため、誰でも簡単にAmazonで販売者になることができる」「偽造品をサイトから削除するための手続きが長く面倒な場合がある」と述べています。


USTRがAmazonを悪質なサイトとして報告したのは、2019年にアメリカアパレル&フットウェア協会(AAFA)からの要請に応えたもの。AAFAの元CEOであるリック・ヘルフェンバイン氏は「Amazonは世界の小売業界のリーダーとしての役割を果たし、多くのブランドにとって重要な販売パートナーであるにもかかわらず、偽造品に関する大きな課題を抱えています」とコメントしました。

アメリカ大統領府の貿易顧問であるピーター・ナバロ氏は「Amazonのジェフ・ベゾスCEOは、Amazonにおける偽造行為の助長を一瞬で完全に阻止することができます。1人の個人が偽造品問題に大きな影響を与えることができるというのは非常に珍しいことです。しかし、これまでのところ、ベゾスCEOは悪を見ないふりをしています」と、AmazonとベゾスCEOを強く批判しています。

by Steve Jurvetson

一方、Amazonは「合法的な製品のみを確実に取り扱うための企業努力」が無視されているとして、USTRの認定に強く反対。また、Amazonがメンバーとして参加するインターネット協会は「権利者との連携を含め、偽造品の販売を阻止しようとでIT業界全体で取り組んでいる」とAmazonを擁護しています。

トランプ政権とAmazonの対立はこれが初めてではありません。かねてよりトランプ大統領はTwitterなどでAmazonへの非難を繰り返してきました。

I have stated my concerns with Amazon long before the Election. Unlike others, they pay little or no taxes to state & local governments, use our Postal System as their Delivery Boy (causing tremendous loss to the U.S.), and are putting many thousands of retailers out of business!

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump)


2020年2月には、アメリカ国防総省が防衛インフラ事業でAmazon Web ServicesのライバルであるMicrosoft Azureに発注した件で、Amazonは「入札プロセスにトランプ大統領が不当に介入した」と主張し、連邦請求裁判所に受注差し止めを請求。裁判所はAmazonの訴えを認め、国防総省に事業の一時停止を命じています。

Amazon「トランプ氏は法廷証言を」 政府入札の裁判で (写真=ロイター) :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55504560S0A210C2000000/


今回のUSTRによる認定について、Amazonの広報担当者は「今回の認定は純粋に政治的な行為であり、トランプ政権がAmazonに対する個人的な報復を進めるために政府組織を利用している例です。Amazonは、悪質な販売者や偽造品の疑いがある製品を検知して取り扱いをストップするための技術やプロセスに多大な投資を行っています」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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