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Amazonはマーケットプレイス上の販売データを基に取扱製品を決めていると報じられる


世界最大級のオンラインショッピングサイトであるAmazon上には、サードパーティの販売業者が商品を販売できるAmazonマーケットプレイスが存在します。Amazonは自社の販売する商品とAmazonマーケットプレイスに出品される商品を平等に取り扱うために、「サードパーティの販売データにアクセスしない」としています。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によると、Amazonはサードパーティの販売データを使用してプライベートブランドの商品開発を行っているそうです。

Amazon Scooped Up Data From Its Own Sellers to Launch Competing Products - WSJ
https://www.wsj.com/articles/amazon-scooped-up-data-from-its-own-sellers-to-launch-competing-products-11587650015

Amazon reportedly used third-party seller data to research and launch its own products – GeekWire
https://www.geekwire.com/2020/amazon-reportedly-used-third-party-seller-data-research-launch-products/

Amazon reportedly accessed third-party seller data to develop private-label products - The Verge
https://www.theverge.com/2020/4/23/21233121/amazon-employees-seller-data-private-label-products

Amazonは「Amazonベーシック」などのプライベートブランドを展開しています。これらのプライベートブランドの運営チームで働いた経験のある元従業員20人へのインタビューと、内部文書をウォール・ストリート・ジャーナルが調査したところ、Amazonはサードパーティの販売データを用いて新製品の発売や商品の価格を決めていることが明らかになりました。


Amazonはプライベートブランド商品とサードパーティ業者の商品を同じように取り扱っていますが、ここに不平等がないかを、アメリカや各国の規制当局が長らく監視しています。これは独占禁止法に関する違反がないか疑われているためです。2019年夏にはAmazonの弁護士であるネイト・サットン氏が反トラスト法に関する審議会の中で「Amazonは個々の販売業者専有のデータは収集していないものの、複数の販売業者が取り扱う製品の統計データについては収集しています」と証言し、Amazonがサードパーティの販売データを個々に収集していないことを明言しました。

加えて、サットン氏は「Amazonは顧客にサービスを提供するためにデータを使用しています」「個々の販売業者のデータを直接使用し、サードパーティの販売業者と競合することはありません」と述べています。しかし、今回のウォール・ストリート・ジャーナルの報道はサットン氏の証言とは異なり「Amazonが個々の販売業者専有のデータを収集していた」ということになります。


ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によると、Amazonはプライベートブランドの商品開発や価格設定などのために、サードパーティの販売データを利用しているとのこと。その一例として挙げられているのが、同じカテゴリの競合製品を発売する前に、サードパーティの販売業者の販売データから「徹底的な調査レポートを作成する」ことです。

小売業者が店舗で人気の高い商品に関する情報を使用して、プライベートブランドから同一の商品を販売するということはよくあります。日本でもショッピングモールやホームセンターで、プライベートブランド商品とサードパーティブランドの商品が並んで販売されている光景は頻繁に見られます。Amazon側はこれと同じことを行っているだけと主張していますが、ウォール・ストリート・ジャーナルは「Amazonがサードパーティの販売業者から収集できる販売データは、より広範かつ詳細なもの」と指摘しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに答えた元従業員の1人によると、Amazonが設定した「サードパーティの販売データを使用しない」というルールは広く破られていたそうで、「出席した会議の中では公然と議論される一般的な慣行として『サードパーティの販売データを使用すること』が挙げられていました」と語っています。また、別の元従業員はサードパーティの販売データを扱うことはポリシーに違反したものであると理解していたと語っており、「しかし、同時に我々はAmazonブランドの商品を開発しており、それらを販売したいと考えていました」と当時の心境を述べています。


なお、テクノロジー系メディアのGeekWireがAmazonにコメントを求めたところ、「非公開の販売業者固有のデータを使用して販売するプライベートブランドの商品を決めることは社内で固く禁じられています」と回答があり、同時に社内調査を行っていることも明かされたそうです。

別メディアのThe VergeがAmazonに回答を求めたところ、「他の小売業者と同様に、我々は顧客に可能な限り最高の体験を提供するために販売と店舗に関するデータを収集しています。しかし、我々は従業員が非公開のサードパーティ販売データを使用し、ブラウベートブランドの商品を開発することを固く禁じています。我々はウォール・ストリート・ジャーナルの報道内容が正確なものであるとは考えていませんが、これらの申し立てを非常に真剣に受け止め、内部調査を開始します」と報道内容に異議を申し立てたそうです。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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