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Amazonは命の危険につながる禁止品・リコール品・偽造品を販売し続けているという指摘

by Christian Wiediger

世界最大級のオンライン通販サイトであるAmazonの躍進を支えてきたのが、Amazon以外の第三者が出品した商品を販売する「Amazonマーケットプレイス」です。このマーケットプレイス上で、一般消費者が商品を購入する際に目安とする認証マークや安全基準などの情報を偽った「偽造品」や、安全性に問題があるということでリコールされた「リコール品」、さらには一度は販売が禁止された商品も販売されているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。

Amazon Has Ceded Control of Its Site. The Result: Thousands of Banned, Unsafe or Mislabeled Products - WSJ
https://www.wsj.com/articles/amazon-has-ceded-control-of-its-site-the-result-thousands-of-banned-unsafe-or-mislabeled-products-11566564990

Hundreds of “banned” goods still for sale on Amazon, report finds | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/08/report-finds-more-than-4100-unsafe-or-recalled-listings-on-amazon/

ウォール・ストリート・ジャーナルが独自に行った約1カ月におよぶ調査の中で、Amazon上では偽造品やリコール品、販売を禁止されている商品などが4100個以上販売されていることが明らかになっています。この4100個の商品のうち、少なくとも2000個は子どもを深刻な危険にさらす可能性のある玩具や薬だそうです。


調査の中では、アメリカ食品医薬品局(FDA)の認証を得ていると偽っている商品が116個見つかっています。たとえば、乳児用の「Sleeping Wedge」として販売されているクッションのうち80個は窒息を引き起こす危険性があり、Amazonが過去に販売を禁止したはずのものだったそうです。そのほか、偽のUL認証マークを使用した電子機器が1412個、連邦政府により定められている「窒息の危険性を警告する表記」を含まないおもちゃが2324個も販売されてたことが確認されています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは実際にAmazon経由でこれらの「本来は販売されるべきではない商品」を10個ほどを購入しテストしたそうです。なお、購入した商品の多くには「Amazon’s Choice」のラベルが付いていました。テストの結果、10個中4個は連邦政府の安全基準を満たしていなかったとのこと。

Amazon’s Choiceラベルは「良い商品」についているわけではない - GIGAZINE


他にも、窒息の危険性についての警告表記を含まない風船が4500個発見されており、ウォール・ストリート・ジャーナルはこれをAmazonに連絡。しかし、その数週間後に同じように警告表記を含まない別の風船2200個がAmazon上で販売されているのが見つかったとしています。

これらを含めた「Amazon上で販売されている問題のある商品リスト」をウォール・ストリート・ジャーナルはAmazonへ送ったそうです。しかし、リストの中に登録されていた1万870個の商品のうち、サイト上から削除されたのは83%だけ。つまり約1800個の商品はそのまま販売され続けているとのこと。

また、ミズーリ州在住の男性がAmazonで購入したバイクのヘルメットは「アメリカ運輸省の安全基準を満たしたヘルメット」となっていましたが、男性が衝突事故で死亡した際に連邦政府が調査を行ったところ、安全基準を満たしていなかったことが発覚しました。その結果、ヘルメットはリコールされましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査委によると、ヘルメットは引き続きAmazonで販売されていたとのこと。

by NeONBRAND

ウォール・ストリート・ジャーナルが連絡を入れたところ、Amazonからは一時的に商品ページが消滅。しかし、2週間以内に少なくとも130個以上の「問題のあるヘルメット」がAmazon上で再び販売されるようになったことをウォール・ストリート・ジャーナルは確認しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、「Amazonは特定の苦情やメディアからの指摘などがない限り、サードパーティによるマーケットプレイスへの出品内容をほとんど確認することはない」と指摘しています。Amazonがマーケットプレイス上に出品されている商品を厳格に取り締まらない理由は、Amazonの売上高の約60%をマーケットプレイスが担っているためと考えられています。

海外メディアのArs TechnicaがAmazonにコメントを求めたところ、Amazonの公式ブログへ誘導され、そこには「規制機関、業界組織、ブランド、顧客に対して、カスタマーサービスチームは安全性の問題を報告するためのいくつかの方法を提供しています。レポートを受け取れば、カスタマーサービスチームが迅速に顧客を保護し、安全でない商品を店舗から取り除き、調査します」と記されていたそうです。

Amazonで安全基準を満たしていないヘルメットを購入したためバイク事故で死亡してしまった男性の家族は、Amazonおよび事故の加害者である自動車の運転手、ヘルメットを販売した業者の3者を訴えました。ヘルメットを販売した業者は190万ドル(約2億円)の賠償金の支払いを命じられたものの、Amazonの不正行為は認められず、わずか5000ドル(約53万円)の支払いで裁判は終結したそうです。これについてAmazon側の弁護士は、「基本的に、第三者がAmazonを掲示板代わりに使って商品を宣伝・販売しただけ」と、Amazon側に責任はないと主張しています。

ただし、2019年7月にAmazonは自社のプラットフォーム上で第三者が販売した製品についても法的責任を負う必要があるという判決が下っており、マーケットプレイス上で取り扱う製品について「これまで通りの運用」とはいかなくなりそうです。

Amazonはサードパーティ業者が販売する製品についても法的責任を負う必要があるという判決 - GIGAZINE

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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