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テスラの最先端テクノロジーを結集した人工呼吸器が完成、「テスラの全額負担で病院に配備する」とイーロン・マスクCEO


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化すると、回復するまで人工呼吸器を必要とする場合があるため、世界各国で人工呼吸器の不足が問題となっています。この問題に対して、電気自動車メーカー「テスラ」や宇宙開発企業「Space X」のイーロン・マスクCEOは、Twitterで人工呼吸器の開発と生産を宣言。そして、実際にテスラの電気自動車のパーツを使った人工呼吸器の開発に成功したことが2020年4月6日に発表されました。

Tesla previews ventilator powered by Model 3 tech - The Verge
https://www.theverge.com/2020/4/6/21209370/tesla-ventilator-coronavirus-covid-19-model-3-car-parts


発端は、2020年3月19日にマスクCEOが1人のフォロワーから「(一時閉鎖した)工場を再利用して、可及的速やかに人工呼吸器を開発してください」とリプライされたことでした。マスクCEOはこのリプライに対して「人工呼吸器が不足しているなら作ります」と明言しました。


そして「今まさに人工呼吸器が不足しています」という声に対して、マスクCEOは「テスラの自動車は洗練された空調システムを搭載しています。また、Space Xは宇宙船に搭載するために生命維持装置を製造しています。すぐには生産できませんが、人工呼吸器を作ることは難しくありません」と回答。


すると、ニューヨークのビル・デブラシオ市長が「(人工呼吸器が生産されれば)ニューヨーク市が購入します」と、生産されれば人工呼吸器を購入する意思を表明。これを受けて、マスクCEOは宣言通りに人工呼吸器の開発をスタートさせました。


そして、マスクCEOは2020年4月1日に、アメリカ食品医薬品局の特別承認を受けた人工呼吸器の開発に成功したと発表しました。


テスラのテクノロジーが結集した人工呼吸器がどんなものなのかは以下のムービーで見ることができます。

Tesla Ventilator - YouTube


人工呼吸器の開発が行われたのは、テスラのエンジニアリングルーム。


白いボードに示されているのが、人工呼吸器の大まかな設計図で。赤い部分がテスラの自動車で使われているパーツ。人工呼吸器の部品の多くを自社製品でまかなえるため、「信頼性の高い部品を大量に確保可能で、すばやい生産が可能」とテスラの開発スタッフは述べています。


ムービーで公開されている人工呼吸器はプロトタイプだとのこと。


病院の医療ガスから供給された酸素と空気を混合するチャンバー部は、テスラのモデルSで使われているエアサスペンションを流用しているそうです。


空気を送る圧力と体積のパターンを作成する部分は、空気流量のセンサーや圧力センサーで構成されています。


そして、実際に空気を送るポンプ部分はこんな感じ。


システム表示画面に使われているのは、モデル3に取り付けられているタッチスクリーン型のセンターティスプレイ。


人工呼吸器のシステム制御には、モデル3の車両制御を行うコンピューターを流用しています。


さらに、テスラのバッテリーと酸素タンクで構成されたバックアップシステムもあり、患者を移送する場合でも20分から40分であれば人工呼吸器を継続使用することが可能だとのこと。


マスクCEOは「人工呼吸器をすぐに現場に投入すること」「受け取って倉庫にしまわないこと」を条件に、開発した人工呼吸器とその送料をすべてテスラが負担した上で、テスラの配達地域内にある病院に発送することを約束しています。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by log1i_yk

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