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「新型コロナウイルスの影響でインターネットトラフィックがどう変化したのか?」をCloudflareが公開


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大する国や地域では、不要不急の外出を控える動きが強まっており、場所によっては一帯を丸ごと封鎖して感染拡大を防ごうとする試みも実施されています。そんな中、外部との連絡を取ったり娯楽を求めたりするためにインターネットの需要が高まっているとのことで、コンテンツデリバリネットワークや分散型DNSサーバーを提供するCloudflareが、「新型コロナウイルスの影響でインターネットトラフィックがどう変化したのか?」という情報を公開しています。

On the shoulders of giants: recent changes in Internet traffic
https://blog.cloudflare.com/on-the-shoulders-of-giants-recent-changes-in-internet-traffic/

CloudflareのスタッフであるLouis Poinsignon氏はブログ記事の中で、多くの都市が封鎖措置や非常用措置を実施するにつれて、インターネットが友人や家族と連絡を取るための主要な手段になっていると指摘。また、世界中の企業でリモートワークを実施する試みが急増していることにも言及し、家庭用ブロードバンドネットワークからのトラフィックが増加する一方で、大学や企業からのトラフィックが減少するなどの変化が現れているとのこと。

トラフィックが大きく変化することは、必ずしも珍しい現象ではありません。たとえばオリンピックやワールドカップといった世界的なスポーツイベント、巨大な音楽フェスティバルなどの文化的イベント、さらにイスラム教のラマダーン(断食)などでも、頻繁にトラフィックが変化します。「インターネットは絶えず変化する環境に対処するために構築されました。事実、インターネットは変化する負荷パターンに対処するように設計され、作成され、テストされ、デバッグされました」と、Poinsignon氏は指摘。

新型コロナウイルス感染症の影響で世界中が大きな変化を迎えている記事作成時点の状況でも、Cloudflareのネットワークオペレーティングセンターは完全に稼働しているそうで、200以上の都市で変化するトラフィックのパターンを監視しているとPoinsignon氏はコメント。ブログ記事の中で、新型コロナウイルス感染症の流行によって過去数週間のトラフィックがどのように変化したのか、グラフ付きで解説しています。


アメリカは2020年3月13日(金)に国家非常事態を宣言し、新型コロナウイルスへの対応に伴い、最大で5兆円余りの財政出動を可能にしました。国家非常事態が宣言された直後から、アメリカのデータセンターでは通常時よりも20%トラフィックが増加したとのこと。以下のグラフでは、灰色の線が前日までのトラフィックを示しており、赤い線が13日のトラフィックを示しています。13日のトラフィックは夜になると急増しており、多くの人々がインターネットにアクセスし、トランプ大統領の国家非常事態宣言に注目していたことがわかります。


また、オランダ政府は3月15日(日)の現地時間の17時30分、協定世界時(UTC)の16時30分から非必須事業の閉鎖を宣言しました。以下のグラフを見ると、灰色で示された通常時のトラフィックと比較して、赤い線で示された15日のトラフィックは協定世界時の16時過ぎから急激に減少している様子がうがかえます。


また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は3月12日(木)と16日(月)の現地時間20時、UTCの19時に新型コロナウイルス感染症に関する全国的なTV演説を行いました。ピンク色で示された12日のトラフィックと赤色で示された16日のトラフィックを見ると、全国発表が行われたUTC19時付近でトラフィックが大きく減少し、その後急激に跳ね上がっていることがわかります。


イタリアでは封鎖措置が全土に拡大された3月9日(月)以降、1日のインターネットトラフィックが20~40%増加しているとのこと。


新型コロナウイルス感染症対策として、各地の大学で閉校や休校、オンライン授業への切り替えなどが実施されていますが、これに伴って大学からのトラフィックが大幅に減少しているそうです。以下のグラフを見ると、灰色の線で示された通常時のトラフィックと比較して、赤色の線で示された16日のトライフィックが週末と同じレベルにまで低下していることがわかります。閉校措置は土曜日である14日から実施された場所が多いため、このような結果になった模様。


インターネットサービスプロバイダインターネットデータセンターを相互接続するインターネットエクスチェンジのトラフィックに注目すると、2020年3月ごろから急激にトラフィックが増加していることがわかります。


ロンドンでのトラフィックを見ると、2月15日~3月8日まではほぼ一定の周期でトラフィックが変動していたものの、3月9日ごろから全体的にトラフィックが増加していました。


封鎖措置が実施されているイタリアのミラノにおけるトラフィックの変動を示したグラフが以下。封鎖が始まった3月9日から、トラフィックが40%近く増加しています。


香港のトラフィックを見ると、1月23日に中国・湖北省で封鎖がスタートしたことに伴って、トラフィックが急激に増加している様子がうかがえます。


Poinsignon氏は「新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態は、インターネットサービスと私たちの生活に無視できない影響を及ぼします。トラフィックの増加を正確に定量化することは困難ですが、地域や政府がとった対応により、10~40%のトラフィック増加を観測しています」とコメント。開発の遅延や封鎖措置などに伴う困難により、個々のアプリやウェブサービスが停止する可能性はあるものの、インターネットの中核は堅牢なため、インターネットそのものが使えなくなることはないだろうと述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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