メモ

CEOには「平和時のCEO」と「戦時下のCEO」の2タイプがいるという主張、一体何が異なるのか?


Googleはラリー・ペイジセルゲイ・ブリンの2人が創業しましたが、2001年にラリー・ペイジはCEOの座をエリック・シュミットに譲りました。そして、その10年後である2011年1月20日、エリック・シュミットがGoogleのCEOを辞任し、ラリー・ペイジが後任に就きました。この交代劇に関して、「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」などの著作でも知られる起業家のベン・ホロウィッツ氏は、「エリック・シュミットという平和時のCEOがラリー・ペイジという戦時下のCEOに置き換わるという出来事だ」と指摘し、その戦略や強みの違いについて解説しています。

Peacetime CEO/Wartime CEO - Andreessen Horowitz
https://a16z.com/2011/04/14/peacetime-ceowartime-ceo-2/

ホロウィッツ氏が主張する「平和時のCEO」と「戦時下のCEO」の違いは、それぞれ行動規範にあります。ホロウィッツ氏は、平和時のCEOを「さまざまな目標に対して幅広い創造性を推奨し、自社が持つ機会を最大化するだけでなく拡張することのできる人物」とし、一方で戦時下のCEOを「1つの目標に対して一丸となることを強いる人物」と対照的に定義。それぞれのCEOがどのように行動するのかについて、以下のように表現しました。

・平和時のCEOは勝つ方法を知っているが、戦時下のCEOは勝利の方法にあえて反することもある
・平和時のCEOは全体像に焦点を当てて従業員がさまざまな決定を下すことを許すが、戦時下のCEOは逐一指示を出す
・平和時のCEOは人材の登用に焦点を当てるが、戦時下のCEOは人材の登用だけでなく人材の解雇にも焦点を当てる
・平和時のCEOは訓練に時間を割くが、戦時下のCEOは戦争で訓練させる
・平和時のCEOは不測の事態が発生しないように腐心するが、戦時下のCEOはときにはハイリスクハイリターンが必要なことを理解している
・平和時のCEOは「大きな強み」の扱い方を知っているが、戦時下のCEOは偏執的になる
・平和時のCEOは暴言を吐かないよう努力するが、戦時下のCEOはあえて暴言を吐くことがある
・平和時のCEOは他の会社と直接競争することはないだろうと考えているが、戦時下のCEOは競争というものが突然襲いかかってくるものだと考えている
平和時のCEOは市場の拡張に目を向けるが、戦時下のCEOは市場シェアを制することに目を向ける
・平和時のCEOは努力と創造性次第で計画からの逸脱も大目に見るが、戦時下のCEOは一切大目に見ない
・平和時のCEOはめったに声を荒げることはないが、戦時下のCEOは普通のトーンで喋ることはめったにない
・平和時のCEOは対立をなくすように努めるが、戦時下のCEOは対立をあえて強調する
・平和時のCEOは幅広い同意が得られるように努力するが、戦時下のCEOは賛同意見も反対意見も気に掛けない
・平和時のCEOは大きな目標を設定するが、戦時下のCEOは忙しすぎて目標を立てる気にすらならない
・平和時のCEOは「1位か2位になれないビジネスは終わらせる」というルールを持っているが、戦時下のCEOは1位か2位になっているビジネスを持っていないのでそのようなルールに従えない


ホロウィッツ氏は一人の人間が平和なCEOと戦時下のCEOの両方になるのは困難だと主張。その好例としてスティーブ・ジョブズを挙げて、「ジョブズはApple最長の平和期である1980年代にAppleを離脱したが、まさに破産直前という戦時下のタイミングでAppleに戻っている。ジョブズが部下に対し『自身の立てた計画に厳密に従うこと』を求めた点は、まさしく戦時下のCEOだ」とコメントしました。

自身も起業経験を持つホロウィッツ氏は、「平時と戦時に要求される経営手法はまるで異なる」と述べて、「経営に関する本のほとんどは平和時のCEOがどうすべきかについて解説したもので、戦時下のCEOがどうすべきかについて論じたものはほとんど存在しない」と指摘。「ほとんど全ての手引き書に『他人の面前で部下を叱るな』と書いてあるが、一例として、Intelの会長兼CEOも勤めたアンドルー・グローヴは会議で遅刻した社員を大勢の前で罵倒していた。しかし、グローブはそれでも部下の能力を引き出す天才として知られていた」とコメントしました。


以上の平和時のCEOと戦時下のCEOという概念は、ホロウィッツ氏が2011年4月14日に唱えたものです。その後、2015年10月2日、ラリー・ペイジは辞任し、サンダー・ピチャイが後任となり、2019年12月3日にはピチャイはGoogleだけでなくGoogleの持株会社AlphabetのCEOも兼任することとなりました。

ラリー・ペイジの就任以降、Googleは多数のサービスを開始しましたが、全てのサービスが成功したわけではなく、中には惜しまれながら提供を終了したものもあります。シアトルにあるGoogle社屋には、失敗に終わったGoogleサービスの「墓」が実在します。

Google社屋に「終了したGoogleサービス」の墓が本当に登場 - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
産休からオンラインショップの経営を始めて年商2600万円の企業に成長させた女性 - GIGAZINE

ADHDと失読症のCEOはどうやって会社を経営しているのか?という実例 - GIGAZINE

世界中に従業員を抱えるWordPressの独特な採用プロセスに学ぶ経営者の目指すべき雇用論 - GIGAZINE

ディズニーを事業不振から立て直してエンターテインメントの巨人に育て上げたボブ・アイガーCEOとはどんな人物なのか? - GIGAZINE

「ジョブズが生きていればAppleとディズニーは合併していたかもしれない」とディズニーのCEOが明かす - GIGAZINE

たった一言で約2000億円を失った伝説のCEOとは? - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.