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ADHDと失読症のCEOはどうやって会社を経営しているのか?という実例

By US Coast Guard Academy

アメリカの研究グループが、わずか6問で大人の注意欠陥・多動性障害(ADHD)を発見することを可能にする質問項目を作成しました。これにより、大人になっても症状が残っている人をより簡単に診断できるようになるわけですが、もしも「大人のADHD」と診断されても心配する必要はありません。世の中にはADHDと診断されてもめげずに大活躍している人が多数おり、会社を経営するバリバリのビジネスマンまでいます。

How a CEO With Dyslexia and ADHD Runs His Company - WSJ
https://www.wsj.com/articles/how-a-ceo-with-dyslexia-and-adhd-runs-his-company-1494952535


電子メールを使ったり、メモを読んだり、会議に参加したりせずに会社を運営するというのは夢のような話に聞こえるかもしれませんが、イリノイ州エルジンにある調理機器販売メーカーの「Middleby」でCEOおよび会長を務めるセリム・バスールさんにとっては、それが当たり前となっています。

現在60歳のバスールさんは、失読症およびADHDを患っています。しかし、幼少期にこれらの症状を患っていると診断されることはなかったため、多くの苦労を味わってきたとのこと。バスールさんがノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院に在学していた時、教授からテストを受けるように提案され、その時初めて自身が失読症とADHDを患っていることを知ったそうです。

バスールさんは、電子メールのような気を散らす行為を避けることが、7500人の従業員を抱える時価総額78億ドル(約8700億円)の企業を経営する際に役立っていると語っています。また、電子メールの処理などを一切行わないことでできた時間を「職場の従業員や顧客の元に訪れるための時間」や「自身が運営する難民支援団体であるBassoul Dignity Foundationのための時間」として使っているとのこと。


失読症を患ったことで、バスールさんは物事を詳細ではなく概念的に取り扱うようになったそうです。特定の用語ではなく一般的に考えることで、詳細部分で立ち止まるのではなく物事を大局的に進めることができるようになったとのこと。失読症に対処するために、バスールさんは物事の細部や技術的な部分を他の人に頼り、その代わりに自身は優れた人格の裁判官となって、自分の周りに最高のチームを構築しました。

また、ADHDをも患っているバスールさんは、ADHDの影響で落ち着かなくなることがあるそうですが、これが何かしらの行動への大きなモチベーションとなることもあるそうです。ADHDの影響でオフィスから外に出たくなった時は、バスールさんは顧客や現地事務所、製造工場などを訪問することにしているとのこと。バスールさんは顧客に対するオペレーションが他の従業員よりも優れているそうで、これはADHDがきっかけでたくさんこなしてきた外回りのおかげに他なりません。

つまり、失読症やADHDというハンディキャップを抱えるバスールさんですが、それでも他の人々と同じように目標を達成するために、普通とは違う取り組み方を学んでいったというわけ。


バスールさんは自身のチーム管理方法について、「伝統的な方法でグループを管理するようなことはしない」とコメントしています。バスールさんのチーム管理方法は、個々のメンバーに焦点を当て、各自のスキルをいかせるように1対1で取り組むというものだそうです。

失読症により文字を読んだり理解したりすることができないバスールさんですが、メールや資料などを使わずに重要な情報を入手する方法については、「私はいつも、工場へ行ったり販売員や顧客と話したりすることで、多くのものを見ています。もしも周りの人々があなたが電子メールを読めないと知っている場合、人々はメールを送ってこなくなるでしょう」と語っており、自分の足で社内の情報を集めているとのこと。また、財務担当とCFOから毎週自社の資金に関する報告を受けているとのことです。


Middlebyはバスールさんが創業した企業ではないので、いち従業員として勤務していた時代もあったとのこと。その時にバスールさんが気づいたのは、「多くの会議で議題が正しく設定されていない」ということ、そして、会議のために多くの従業員が何日間も準備を行っており、会議が終われば次の会議の準備に移るという状況があったそうです。そういった環境は会社にとって生産的とはいえないと考えたバスールさんは、自身が会社のトップに立つ際にはこういった非効率な会議を極力減らそうと考え、現在のMiddlebyではそれを実現しているとのこと。

バスールさんはADHDの影響からか、落ち着きがなくせっかちな面があり、その結果として仕事はかなりスピード感のあるものになっているそうです。また、失読症があることから、基本的には書類なしで仕事をしているとのこと。こういった性分が原因で、一時は部下や同僚との間に問題が起きることもあったそうですが、忍耐強いバスールさんと共に長い時間仕事をこなしてきたことで、現在のMiddlebyはすっかりバスールさんのやり方に慣れ親しんでいるとのことです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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