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たった一言で約2000億円を失った伝説のCEOとは?

By f9photos

近年ではTwitterなどのSNSが普及した結果、CEOやタレントなどの著名人の気軽な発言を直に知ることができます。しかし、世の中には気軽に発言してしまった結果、たった一言で2000億円近くも失ってしまったCEOもいます。

How Gerald Ratner lost $1B in 10 seconds
https://thehustle.co/gerald-ratners-billion-dollar-speech

ジェラルド・ラトナー氏の波瀾万丈なビジネスキャリアは1965年、彼が15歳のときにグラマースクールから「愚かすぎる」という理由で放校処分を受け、父親の経営する小さなジュエリーショップで働き始めたことからスタートします。1984年の父親の没後、ラトナー氏が受け継いだRatners Groupはイギリス国内に120店舗を有していましたが、年間35万ポンド(記事掲載時点での日本円に換算して約6700万円)もの赤字を生み出していました。

ラトナー氏の優れた経営手腕が発揮されたのはこの時代のこと。ロンドンの露店市場で「最も声を張り上げ、最も人目を引く展示を行っている店舗が最も売れ行きがいい」と見抜いていたラトナー氏は、「ラストチャンス!『メガレッドスター』セール開催中!」「特大セール中:全品半額!」といった赤とオレンジの目立つポスターを全店舗に張り出しました。

by Billy Black

さらにラトナー氏は平均価格300ポンド(記事掲載時点での日本円に換算して約10万円)で庶民には手が出せなかったジュエリーの値下げを断行。イヤリング・ブレスレット・リングをわずか20ポンド(約6700円)で売り出しました。

その結果、Ratners Groupは大いに売上を伸ばし、1990年には店舗数2000店を達成。複数の企業買収も功を奏した結果、Ratners Groupはイギリスの宝石市場の約50%を占める一大企業となりました。「私は失敗するわけがないと感じていました」という、当時のラトナー氏の発言も記録に残されています。


後年に至るまで語り草となった伝説の事件が起きたのは1991年のこと。あらゆるジャンルの企業のCEOや上級役員などが交流して、ときには政策提言も行う組合であるInstitute of Directorsの年次総会での講演という大役を任されたラトナー氏は、講演内容についてコンサルタントに相談します。コンサルタントはラトナー氏に対して「ジョークを入れるべき」というアドバイスを行い、ラトナー氏はそれを真摯に聞き入れました。

1991年4月23日夜、ラトナー氏が行ったスピーチとは「品質の価値と消費者の選択、そして繁栄」と題されていました。問題の発言はそのスピーチの冒頭約3分あたりの冗談にありました。ラトナー氏は「Ratners Groupは成功者の代表というわけではありません。考えてみれば品質というものも成功を約束してくれるわけではありません。我が社では銀メッキのトレイに載せて6個のグラス付きのシェリー酒用デキャンターをセットで4.95ポンド(約1600円)で提供しています。『どうしてこんなにお安いのかしら?』とよく聞かれることがありますが、それは完全にガラクタだからです」と語っています。


ラトナー氏が実際に行ったスピーチは映像に残されており、以下から見ることが可能です。

Gerald Ratner speaking at the 1991 Institute of Directors Annual Convention - YouTube


翌朝、イギリスの高級紙サンデー・タイムズの見出しを飾ったのは、「ジュエリーCEOが自社の商品をガラクタと呼ぶ」という一文でした。その報道に続くかのようにRatners Groupの株価は80%も下落し、株式による損益はわずか数日で5億ポンド(記事掲載時点での日本円に換算して約1900億円)を記録。顧客はRatners Groupに対する不買運動を行い、何百店舗も閉鎖され、2万5000人いた従業員も大半が解雇されました。

1992年11月、Ratners GroupのCEOを解任されたラトナー氏は、自分の持ち株を全て売り払って約1400億円あった借金を全て返済。そして全財産を失いました。今日でも「Doing a Ratner(ラトナーする)」というフレーズは、イギリスでは「自社の顧客を失うようなことを言ってしまう」ということを意味しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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