新型コロナウイルス感染拡大のシミュレーションから分かる予防策とは?
新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の拡大を抑制するため、イベントの自粛や学級閉鎖など、「人との接触を避けること」が推奨されています。いかに「人との接触をなるべく避けること」が重要であるかについて、ワシントンポストのジャーナリストであるハリー・スティーブン氏は接触による感染拡大の傾向をシミュレーションで再現して解説いています。
Why outbreaks like coronavirus spread exponentially, and how to “flatten the curve” - Washington Post
https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/world/corona-simulator/
新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の拡大は、感染者が指数関数的に増加していることが指摘されています。スティーブン氏は「感染拡大の傾向が指数関数的な増加を続けると、アメリカでは2020年5月までに感染者が1億人を突破する可能性がある」と述べています。
以下からの図は、水色が病気にかかっていない「健康な人」、赤が「病気の人」、紫が感染から一定時間経過して「回復した人」を表しています。病気の人が健康な人に接触することで感染が広がるという条件で、200人が自由に動き回る空間で感染が広がる様子をシミュレーションしています。最初は感染している人は1人でしたが……
接触により感染が広がり、回復した人がいないまま、病気の人が一気に100人以上まで増加しています。
以下が時間の経過に対する回復した人(Recovered)、健康な人(Healthy)、病気の人(Sick)の変化を表すグラフです。最終的に、回復した人が現れる頃には全員が感染しているという有様でした。
感染により入国者などに強制検疫や隔離を課した状態を再現したシミュレーションでは、隔離された人の中に1人だけ感染者がいるという想定でシミュレーションされています。以下は二重線の左側が隔離された状態を意味します。
隔離されていた人たちが検査で陰性だったことを受け、隔離が解除されると以下のようになります。隔離された人には回復者もいますが偽陰性の人もいたため、緩やかではありますが、じわじわ感染が広がっていきます。
グラフを見ると、最終的には全員が感染してしまうという結果になり、隔離だけでは感染は抑制しきれないということが分かります。
「人との接触をなるべく避けること」が望ましいとはいえ、「仕事や買い物などのためにどうしても外出しなければならなかったり、事態を楽観視して外出をやめない人がいるため、感染の拡大は避けられない」とスティーブン氏は述べています。
そこで、200人のうち、50人は動き続け、150人は動かず「人との接触をなるべく避けること」を実施した場合どうなるかをシミュレーションで再現しています。200人全員が動き回ると短い時間でほぼ全員が感染していましたが、多くの人が「人との接触をなるべく避けること」を実施すると、感染の速度がかなり遅くなっているのが分かります。
最終的に、全体の感染者数は150人前後で収束していることが分かり、健康な人も残っていました。
200人のうち、150人は動かず、残り50人のうち8人に1人がランダムで動く、より「人との接触をなるべく避けること」が徹底されている状態でのシミュレーションでは、より感染の広がりが緩やかになります。
全体の感染者数は半分以下の70人前後で収束しており、感染を封じ込められていることがわかります。
シミュレーションは単純なもので、実際の感染拡大とは異なります。しかし、「家族や職場など、身近な人と人との接触を通して感染が拡大しており、シミュレーションのように1人の人間から多くの人に感染が波及する可能性は高い」とスティーブン氏は述べています。
実際のシミュレーションは以下のページからアニメーションで確認することができます。
Why outbreaks like coronavirus spread exponentially, and how to “flatten the curve” - Washington Post
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