サイエンス

椎間板ヘルニアをパンク修理のように修復する治療法が登場


椎間板ヘルニアへの対応は「安静」が第一で、症状がひどい場合には手術も行われますが、どれだけしっかりとした対応をしても再発の危険性が伴います。コーネル大学のローレンス・ボナッサー教授が率いる共同研究チームの編み出した「パンク修理のように機能を修復する治療法」は、従来の手術と併用でき、かつ、これまでの縫合よりしっかりと手術箇所をつないでくれるものです。

Combined nucleus pulposus augmentation and annulus fibrosus repair prevents acute intervertebral disc degeneration after discectomy | Science Translational Medicine
https://doi.org/10.1126/scitranslmed.aay2380


Like patching a flat tire: New fix heals herniated discs
https://medicalxpress.com/news/2020-03-patching-flat-herniated-discs.html

背骨は33個の椎骨で構成されていて、椎骨同士の間には線維輪と髄核でできた「椎間板」というクッションのような組織が挟まっています。この椎間板の中の髄核が、何かのはずみに背骨内部の脊柱管のほうへ漏れ出して、炎症と痛みを引き起こすのが「椎間板ヘルニア」です。


髄核が飛び出していても痛みがないケースでは特に問題がないため、特別な治療は行われませんが、痛みが強い場合は鎮痛剤や神経ブロックが行われます。下肢のしびれや排尿障害が出る場合は、漏れ出た髄核を取り除く手術をする場合があります。しかし、髄核を除去する手術を行っても、再度の髄核漏れを防ぐことはできません。

コーネル大学のローレンス・ボナッサー教授が率いる共同研究チームは、10年かけて、光活性ビタミンB誘導体のリボフラビンを組み込んだコラーゲンゲルを開発しました。

髄核除去手術後に、このコラーゲンゲルでパッチをして光を当てると、リボフラビンが活性化します。その結果、化学反応によりコラーゲンの繊維が結合し、ゲルが固体化します。このとき、ゲルは新たな組織を成長させるための土壌となるので、縫合糸よりもしっかりと穴を塞ぐことができるとのこと。

この手法はわずか5分~10分で行えるので、髄核除去手術の場合だけではなく、他の椎間板変性への対応や、脊髄治療にも用いることができると期待されているとのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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