FIFAが「サッカーの試合におけるビデオ判定」にAIを組み合わせることを計画
サッカーの国際競技連盟である国際サッカー連盟(FIFA)が、サッカーの試合中に審判の判定をサポートするために用いられる「VAR(ビデオアシスタントレフェリー)」に、人工知能(AI)を実験的に採用していると報じられています。
FIFA experiments with AI for more accurate offside calls
https://thenextweb.com/neural/2020/02/11/fifa-experiments-with-ai-for-more-accurate-offside-calls/
サッカーは「広いフィールドで何十人もの人間が小さなボールを追いかけるスポーツ」であるため、審判が細かい判定を下すのは難しい場面も存在します。かつてFIFAは「サッカーの判定は人間がするもの」と述べ、試合の流れを妨げるとして機械判定を否定していました。
しかし、2016年頃からFIFAはVARシステムの導入を検討。2018年にロシアで開催された2018 FIFAワールドカップでは、ワールドカップ史上初めてVARシステムによるビデオ判定が導入されました。また、各国のサッカー連盟主催の試合でも、VARシステムが導入されており、日本でも2020シーズンからVARが正式導入されることが発表されています。
ワールドカップで新導入された「VAR」はどれくらい効果を発揮しているのか? - GIGAZINE
VARシステムが特に活躍するのは、オフサイドの判定です。オフサイドでは攻撃側の選手がどこにいるかのラインを見極めるために、フィールド内にいる審判とは別にVARシステムによるビデオ判定が行われます。ただし、これまでのVARシステムではオフサイドポジションにいるかどうかのラインは手動で書き込まれるため、ミリ秒単位という本当に微妙な場合ではどうしても議論の余地がありました。
今大会もVARが大活躍。
— J SPORTS????フットボール公式 (@jsports_soccer) June 1, 2019
アメリカのオフサイドがVAR判定によりPKに。
2位抜けアメリカの次戦はグループステージ全勝のフランスと。
FIFA U-20 ワールドカップ
ノックアウトステージ1回戦 フランス vs. アメリカ
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Forbesによれば、AIをVARシステムに組み合わせ、半自動的にオフサイドの判定を行うシステムにFIFAが注目しているとのこと。VARシステムでは、カメラで撮影された選手の手足を15~20箇所のポイントで追跡し、どの足がもっともゴールラインに近いのかを判断することができます。そしてボールがプレーされている瞬間を検出し、AIがオフサイドラインを映像上の正しい位置に作成します。
FIFAは既にカタールで行われた試合でAIを使ったVAR FIFAシステムを実験的に採用しています。FIFAのフットボールテクノロジー&イノベーションディレクターであるヨハネル・ホルツミュラー氏によれば、その結果は「非常に有望だった」とのことで、従来のVARシステムに比べてチェックにかかる時間が短縮される上に、精度もより上がると語りました。
ホルツミュラー氏は、FIFAは2020年前半に試合でのテストを繰り返すことで、「可能な限り正確で、可能な限り素早く、可能な限り自動的なAI」にトレーニングする予定だと述べ、「その技術を信頼すればするほど、その技術が目的のために十分なものであることを確実にしなければなりません。AIは、私たちの普通の生活と同じように、今後のサッカーに最も大きな影響を与える技術の1つであることは明らかです」と語りました。
・おまけ
なお、VARでのオフサイド判定については世界中で議論されており、イングランドのプレミアリーグでは2020/2021シーズンからオフサイド判定に使用されるバーチャルラインを「太い線」に変更することが協議されています。
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