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サッカーにおける「PK」は試合に強い影響を及ぼしすぎているという指摘


by ÁLVARO MENDOZA

日本が初のワールドカップベスト8入りをかけて世界の強豪ベルギー代表チームと激闘を繰り広げ、世界中で大きな称賛を受けたように、ワールドカップは普段観ない人にもサッカーに興味を持ってもらう絶好の機会といえます。そんなタイミングでサッカーに強く惹かれたというのが、長年Bloombergで記者として活躍し、現在はニュースメディアのQuartzで働くオリバー・ステイリー氏。ハードなタックルや華麗なパスワーク、新しく導入されたVARなどワールドカップの見どころはさまざまですが、ステイリー氏は特にペナルティーキック(PK)の不合理さに不満を感じているとのことです。

World Cup 2018: The problem with penalty kicks — Quartz
https://qz.com/1319419/world-cup-2018-the-problem-with-penalty-kicks/

サッカーにおいてPKが数々のドラマを生み出してきたのは事実であり、そこに疑問を挟む余地はありません。1994 FIFAワールドカップの決勝ではワールドカップ史上初となるPK戦が行われました。このPK戦では最後の最後にイタリア代表のエースであるロベルト・バッジョがボールを大きく蹴り上げてしまい、イタリア代表が敗戦します。PKを外した際のバッジョの姿と、「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」という言葉は今でも多くのサッカーファンの心に残っているはず。

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しかし、ステイリー氏は「得点の入らない試合ではPKが最終的な試合結果に大きな影響を与え過ぎている」と指摘しています。例えば、2018 FIFAワールドカップの決勝トーナメント1回戦で行われた、優勝候補の一角・スペインと開催国・ロシアの試合は、延長戦でも決着がつかずPK戦にまでもつれこみ、最終的にロシアが勝利しました。最終的な試合の勝者を決める方法としてPK戦が行われること自体は別の問題として、ロシア代表が試合中に奪った得点がPKによるものであったことをステイリー氏は問題視しています。

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PKは、ゴール前に存在するペナルティエリアと呼ばれるエリア内で相手選手によるファウルが起きた場合に与えられるもので、特徴はGKとキッカーの1対1でキックが実行される点にあります。PKはゴールから12ヤード(約10.97メートル)の位置にあるペナルティスポットから行われるため、攻撃側のキッカーが圧倒的に有利です。実際、通常のシュートが決まる確率が11%であるのに対して、PKの成功率は76.8%という数字も出ています。これを考慮すれば、多くの選手にとって通常のシュートよりもPKの方が得点する確率が高いであろうことは明らかです。

話はロシア代表とスペイン代表の試合に戻ります。スペイン代表のジェラール・ピケ選手がPKを与えるハンドを冒したシーンで、ハンドを誘うヘディングを打ったのはロシア代表のアルテム・ジューバ選手でした。このヘディングしたボールがゴール方向へ飛んでいたのか、もしそうならばGKはセーブできたのか、などを知ることはできませんが、「PKは失われた得点機会よりも過剰に高い得点機会だ」とステイリー氏。


PKは得点機会を防ぐようなファウルが行われた際に与えられるものですが、実際にファウルを受けた選手がキックを行うわけではなく、チームで最もキックが上手い選手が蹴ることが可能となるため、「PKは攻撃側がより有利になる」とステイリー氏の目には映る模様。さらに、チームでPKのキッカーを任される選手は普段からPKの練習をし、試合でもPKを蹴っているため、「プレッシャーに慣れており、効果的に本番でのキックを行える」とステイリー氏。実際、プレミアリーグ所属のレスター・シティで活躍するジェイミー・バーディー選手は2017/2018シーズンにリーグで20得点していますが、そのうち5点はPKによるもの。

2017/2018シーズンのプレミアリーグでは試合の総得点数が3点以下というケースが多くあったそうです。そういった試合でもしもPKが与えられてしまえば、PKがそのまま決勝点となり試合の行方を決定づけてしまう可能性は十分にあります。また、成功率の高さからもわかるとおり、PKは選手にとって大きな報酬であり、現代サッカーではこのPKを得るために審判を欺くようなプレーが多く行われるようになっているという事実もあります。これを防ぐために近年登場しているのがVARですが、VARの導入により2018 FIFAワールドカップではPKの判定が過去最高ペースで飛び出しているというデータもあり、これにより試合の行方が思わぬ方向にねじ曲げられてしまうことをステイリー氏は心配しているようです。

そんなサッカーにおいて、PKによる不合理さを正すための解決策の一つとして、ステイリー氏は「ペナルティスポットをゴールから15~20ヤード(約13.7~18.3メートル)まで遠ざけ、PKの難易度を上げること」を挙げています。さらにスマートな解決策としては、「ペナルティエリア内でのファウルを2種類に分類し、過度な暴力的行為やゴールを妨げるようなプレーはPKとし、それ以外の明白な悪意のないファウルにはペナルティエリア内での間接フリーキックを与えること」を挙げています。この場合、ファウルを受けたチームは明白な得点チャンスを得られるものの、PKよりも明らかに成功率は低くなるため、ゲームへの影響力はPKほど劇的に高いものにはならないのでは、とステイリー氏は予測しています。

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in メモ, Posted by logu_ii