大量絶滅がすでに起こっていることがマルハナバチの研究から明らかに
by Sandy Millar
ある時期に多種類の生物が同時に絶滅する大量絶滅が気候変動によって起こっていることが、マルハナバチの研究から示されました。また研究チームが開発したモデルにより、気温や降水量が許容範囲を超えると種の絶滅リスクを高める可能性があることが示されています。
Climate change contributes to widespread declines among bumble bees across continents | Science
https://science.sciencemag.org/content/367/6478/685
Bumblebees' decline points to mass extinction – study | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2020/feb/06/bumblebees-decline-points-to-mass-extinction-study
ミツバチ科の昆虫であるマルハナバチがヨーロッパや北アメリカで個体数を劇的に減少させていることを、オタワ大学の博士課程学生であるPeter Soroye氏らの研究チームが発表しました。Soroye氏によると、マルハナバチは気温の上昇が確認される場所で減少しているとのこと。場所によっては、人間の一世代によって約30%のマルハナバチが減少しており、「この減少率は大量絶滅のそれと一致します」「減少がこのペースで続けばこれらの種の多くが今後数十年の間に消えてしまうでしょう」と研究者は述べています。
Soroye氏の研究結果は科学誌Scienceで発表されました。この研究において、チームは北アメリカやヨーロッパに生息するマルハナバチのうち66種について、過去115年間にわたるデータを集め、「気候の混乱」というシナリオをシミュレートするモデルを開発しました。このモデルによって場所ごとの個体数が時間によってどう変化していくのかが比較されたところ、既に気候変動がマルハナバチの減少を引き起こしており、今後数年で気候変動が加速すればさらに多くの個体が失われることが示されたそうです。マルハナバチの多様性を保つためには気候変動を小さくする努力が必要とのこと。
by Pilat666
マルハナバチはトマトやほうれん草、ベリーなどの受粉で大きな役割を果たします。研究者は今回開発した方法によって、絶滅リスクを測定したり、種の保存に取り組むべき場所を特定したりといったことが可能だと述べています。
研究に参加した上級著者のJeremy Kerr教授は、「この研究は、植木・低木・斜面といったマルハナバチが暑さから逃れられる場所を提供することで、気候変動が他の生き物に与える影響を抑えることを示唆しています」と述べつつも、「最終的には、我々は気候変動問題そのものに取り組まなければならず、そのために排気放出物を減らす行動が役立つでしょう」と環境問題へのアクションを呼びかけました。
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