生き物

「人間が白亜紀末以来の大量絶滅を引き起こしている」と研究者が主張

by _Marion

地球上に生命が誕生したのはおよそ35億年前といわれていますが、それ以来実に多くの生物が繁栄し、多様化してさまざまな生態系を形作ってきました。もちろん新たな生物が誕生する裏には絶滅する生物も存在しますが、ある時期に大量の生物が同時に絶滅することは特に「大量絶滅」と呼ばれています。そんな大量絶滅が、人間によって引き起こされていると研究者が主張しています。

What is a 'mass extinction' and are we in one now?
https://theconversation.com/what-is-a-mass-extinction-and-are-we-in-one-now-122535

大量絶滅は通常、「280万年未満」という地質学的にいえば短い期間において、地球全体に住む生物種の75%以上が絶滅する事態と定義されています。「カンブリア爆発」によって生物の多様性が大きく広がった5億4000万年前以降で考えると、この大量絶滅の基準を満たした事例が5回あるとのこと。

過去5回の大量絶滅は平均しておよそ1億年ほどの間隔で発生していますが、発生するタイミングに特定のパターンはなく、絶滅が進行する期間も5万年~276万年とさまざまです。最初の大量絶滅といわれているのが、約4億4400万年前に発生したオルドビス紀末の大量絶滅です。この時は全生物種の85%が絶滅したそうで、地球が氷河期に突入したことなどが原因とみられています。

2回目の大量絶滅は約3億7400万年前に発生したデボン紀後期の大量絶滅であり、この時は熱帯の海底に生息する無脊椎動物を中心に、生物種の75%が絶滅しました。この期間には海水面の上昇や気温の変化、乾燥した地帯で植物が増え始めて大気中の二酸化炭素濃度が減少するなど、さまざまな環境変化が発生していたそうです。

by Free-Photos

3回目の大量絶滅は約2億5100万年前に発生したペルム紀末の大量絶滅であり、これは生物種の95%が絶滅した、地球の歴史上最大規模の大量絶滅であったといわれています。大量絶滅の原因としては、火山活動による温室効果ガスが地球環境を激変させたという説や、大気中の二酸化炭素が増加して海洋の酸素が欠乏したといった説があるとのこと。

ペルム紀末の大量絶滅から5000万年後に発生した三畳紀末の大量絶滅は、大西洋を形成した大規模な地殻変動やそれに伴う火山活動などにより起きたとみられており、生物種の80%近くが絶滅しました。

最も有名な大量絶滅として知られる白亜紀末の大量絶滅では、恐竜を含む76%ほどの生物種が絶滅しました。この大量絶滅の原因として最も有力なのが、メキシコ・ユカタン半島付近に衝突した小惑星といわれています。このように、地球には何度も大量絶滅の危機が訪れていたことがわかります。

by Wutthichai Charoenburi

一見すると、こうした大量絶滅は地球環境の激変を伴う大規模な事態であり、現代の地球には当てはまらないように見えます。しかし、フリンダース大学の研究者であるFrédérik Saltré氏をはじめとする研究者たちは、近年の地球では人間の活動によって大量の生物種が絶滅していると指摘し、「地球における6回目の大量絶滅になり得る」と考えています。

今の地球が大量絶滅の最中であるかどうかは、「大量絶滅の時期ではない、通常時の生物の絶滅率」と比較することで調べることができます。化石記録などを用いて、過去にどれほどの生物が自然に絶滅してきたのかを研究者らが推測したところ、ある程度の幅を見積もって「1年間で絶滅する生物種は、生物100万種あたり0.1~2つ」という割合が導き出されました。

こうして導き出された「通常の状態における絶滅率」に、近年の絶滅率を当てはめると、ここ数百年では実に10倍~1万倍もの割合で生物が絶滅していることが判明したとSaltré氏は指摘。

by Pixabay

2014年の研究によると、1500年以降に絶滅した陸に住む脊椎動物は322種であり、およそ2年で1.2種が絶滅している計算になります。また、生物が絶滅する前には常に大幅な個体数および分布地域の減少がみられるため、多くの動植物が絶滅の危機に瀕しているといわれる現代において、「生物の生息数」という意味ではより深刻だとのこと。1970年以降で見ると、脊椎動物の個体数が地球全体で60%も減少したとの報告もあります。

生物学者らは、現代の絶滅率がどれほど通常の状態における絶滅率を上回っているのかについて議論していますが、かなり保守的な推定値でさえ、大量絶滅に典型的な生物多様性の損失を明らかにしています。こうした結果から、Saltré氏は「6回目の大量絶滅はすでに進行中です」と主張しました。

by Tom Swinnen

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
工業化された農業によって地球は「第六の大量絶滅期」を迎えると科学者が警鐘を鳴らす - GIGAZINE

「人類のせいで100万種の動植物が絶滅の危機にある」という報告書が発表される - GIGAZINE

「昆虫は絶滅の危機に瀕している」ことがアマチュアグループの長期的調査のデータから明らかに - GIGAZINE

恐竜が絶滅したように何度もあった地球上の「大量絶滅」 - GIGAZINE

ネコが大量の野生動物を殺してしまい希少な動物たちが絶滅の危機に瀕している - GIGAZINE

地球に残る「恐竜の大量絶滅を引き起こした巨大隕石の痕跡」とは? - GIGAZINE

絶滅したと思われていた「ウサギサイズで鹿のような動物」が再発見される - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.