原子が「結合・分離・再結合」する様子が初めて映像で捉えられる
by Raphaël Biscaldi
複数の原子が結合することで分子となり、分子を構成する原子の数や種類が変化すると、分子の特性も大きく変化してきます。化学における基本のひとつである、原子同士が結合したり分離したりする様子が、世界で初めて映像として記録されました。
Watch the first-ever video of individual atoms bonding and breaking
https://www.inverse.com/article/62367-watch-first-video-of-atoms-bonding-breaking
原子の結合・分離の過程は、これまで映像で記録することができていませんでした。その理由は、原子同士が結合する際の「化学結合」が、人間の髪の毛の幅の約50万分の1という非常に小さなスケールで発生するためです。
しかし、この非常に小さなスケールで起こる化学反応を、国際的な研究チームが映像として捉えることに成功しました。映像の撮影方法および映像そのものは、科学誌のScience Advances上で公表されており、これによると「原子の結合・分離のプロセス」をリアルタイムで撮影したのは、これが初めてのことだそうです。
研究チームによると、直径1~2nm(ナノメートル)程度のカーボンナノチューブの中に2つのレニウム原子を閉じ込め、ここで原子の結合・分離する様子を撮影しています。なお、撮影には標本に電子線をあてて視覚化することで画像を作成する透過型電子顕微鏡(TEM)が用いられています。
原子の結合・分離プロセスを映像として記録したのは、ノッティンガム大学のアンドレイ・クロビストフ教授が率いる研究チームです。
カーボンナノチューブ内でのレニウム原子の結合・分離の様子は以下の映像で確認できます。
Atoms bonding caught on camera - YouTube
赤枠部分にあるのが、結合・分離を繰り返す原子です。
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