過去に遊んだレトロゲームに新たな発見と冒険を生むMOD「ランダマイザー」とは?
暗記するほどに遊び尽くした昔のゲームに、初めてプレイするかのような冒険心や発見の喜びを「ランダマイザー」と呼ばれるMODで追加する取り組みが活発になっています。ランダマイザーがゲームに与える変化や普及に至るまでをArs Technicaのスコット・ホワイト氏が語っています。
How “randomizers” are breathing new life into old games | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2019/12/how-randomizers-are-breathing-new-life-into-old-games/
最も基本的なランダマイザーとして紹介されているのが、1991年に登場した「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」に用いられたもの。ランダマイザーにより、ゲームの中に隠されたアイテムの位置が変化したり、ダンジョンクエストからの報酬が変化したりします。また、多くのファンによって作成されたオプションで、リンクの見た目を変更することもできます。
以下の画像は「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」に登場するリンクの見た目をロックマンXシリーズに登場するエックスに変更したもの。
初めは小さなコミュニティで始まったランダマイザーですが、記事作成時点ではレトロゲームのジャンルの一部として進化しています。2016年にはビデオゲームランダマイザーの一覧を紹介するウェブサイトが作成され、何百ものゲーム用のランダマイザーや改造コードを得ることができるようになりました。メトロイド、黄金の太陽、Mother2、ファザナドゥ、Adventure Island、DOOMなど、さまざまなタイトル向けのランダマイザーが更新されるようになっています。
アイテムが見つかる場所のシャッフルや、スキルや能力などの変更はかなり標準的なランダマイザーです。見つかるアイテムそのものを変更してしまったり、ゲームのプレイ方法を完全に変えてしまうランダマイザーも存在します。特殊なランダマイザーの1つとして、2つのゲームを組み合わせて、1回のプレイで両方を進行しなければならないものが存在します。
たとえば、「スーパーメトロイド」と「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」を混ぜ合わせてしまうランダマイザーは、ゼーベスとハイラルの世界間を移動しながら冒険するという特殊なもの。本来ならリンクに剣と盾を託すおじさんがハイジャンプブーツを渡してきたり、ゼーベスの洞窟であるノルフェアでマスターソードが手に入ったりとカオスな世界が構築されています。
「ランダマイザーは、古く新鮮味のなくなったゲームに無限の可能性をもたらします」とホワイト氏は語っています。ランダマイザーによって改造されたゲームでは、MODを使用する前のベースゲームの深い知識が役立つとのことで、たとえば通常のプレイよりも貧弱な装備で強敵と戦う場面に出くわしたり、一撃で体力が大きく削られた場合でも、パーティーメンバーの特殊スキルを駆使したり、回り道を検討したりすることで、ゲームを進められるようになるとのこと。
ランダマイザーは、ほとんどは過去1〜2年のゲーム実況のような動画配信から拡散され普及したようです。個人の配信者や、Awesome Games Done Quick、RPG Limit Breakなどの大規模なチャリティーストリーミングイベントなど多岐にわたる方法でランダマイザーが広まりつつあります。
ランダマイザーを使用したトーナメントやレースが、ランダマイザーコミュニティで定番となり、Challongeのようなトーナメントイベントや、SpeedRunsLive、SpeedGamingなどの多数の主催者による大規模イベントが何度も開催されています。SpeedGamingのライブイベントでは、2019年10月に初めてランダマイザーを使用したゲームでのトーナメントを、3000ドル(約30万円)の賞金をかけて開催しています。SpeedRunsLiveでは、複数のランダマイザーを使用したレースが常に開催されており、最大のコミュニティである「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」のランダマイザートーナメントでは100人以上のプレイヤーが参加しました。
ホワイト氏は「ゲームに対して抱く懐かしさには強力なものがあり、ランダマイザーは私たちが愛するゲームで得た経験を完全に置き換えることはありません」と述べつつも、「私を含め、プレーヤー、開発者、イベント主催者、視聴者は全員、成長しつつあるランダマイザーが古いゲームに新しい命を吹き込むことに賛成しています。古いゲームを再びプレイし、毎回新しい冒険ができる技術は、オリジナルのゲームを初めて遊んだときの驚異と発見の感覚を再現してくれます」と語っています。
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