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「ジェフ・ベゾスCEOが成功した鍵は素早く決断を下す能力にある」と元Amazon従業員が語る

by James Duncan Davidson

Amazonのジェフ・ベゾスCEOは、ゼロからAmazonを創業して世界有数の大企業へと成長させたやり手の実業家として知られています。9年間Amazonに勤めた元従業員であり、現在は作家や起業家としても活動するBuster Benson氏が、ベゾス氏が成功した鍵は「素早くスマートな決断を下す能力」だったと述べています。

How billionaire Jeff Bezos makes fast, smart decisions under pressure
https://www.cnbc.com/2019/11/14/how-billionaire-jeff-bezos-makes-fast-smart-decisions-under-pressure-says-ex-amazon-manager.html

仕事や人生において成功するためには、時に厳しい状況でも自分が選択する道を選び取る決断力が必要となります。しかし、このスキルは必ずしも簡単に習得できるものではないとのこと。Benson氏は、重要な決断を下さなければならない場面においては、思考に使える十分な時間や情報がないことが多いため、時には手持ちの情報やバイアスに基づいて決定を下さなければならないと指摘しています。


もちろん、十分な情報や時間がなく、バイアスに基づいて下した決断は、間違っているケースが少なくありません。ところが、ベゾス氏は意志決定に関する情報や時間を節約することに熱心であり、バイアスに基づいた決断を下すことをむしろ推奨していたそうです。

Amazonのウェブサイト上でも公開されている「リーダーシップの原則」の中には、「Bias for Action(行動のためのバイアス)」という項目が記されています。ここでは、スピードがビジネスにおいて重要なものであると主張されており、多くの決断には詳細な研究が必要なく、失敗しても後からやり直しが可能だとも述べられています。つまり、失敗するリスクを考慮しつつ、バイアスに基づいてでも「スピード感のある決定を下すこと」が、企業の成長にとって重要だとベゾス氏は考えているのです。

by Free-Photos

また、ベゾス氏の考え方として広く知られているものに、「Day 1 companies(創業初日の企業)」の考えがあります。ベゾス氏は毎年株主に送る手紙の最後を「今日はまだ創業初日」という言葉で締めくくるほか、本社ビルの名前を「Day 1」にするなど、創業初日という概念に強くこだわっているとのこと。

ベゾス氏が2016年に株主へ宛てた(PDFファイル)年次書簡の中で、「創業2日目とは静止状態です。不適切な物事や、耐えがたく、苦痛に満ちた低下が続きます」と述べ、創業間もないころのスピード感を失い、停滞した状態を非常に嫌っていることがわかります。この考えこそが、ベゾス氏が成功した鍵であり、Amazonの成長を止められないものにしているとBenson氏は主張しています。

by Steve Jurvetson

ベゾス氏は創業1日目の企業が持つスピード感を好んでおり、たとえ質の高い意志決定を行うことができたとしても、ゆっくりと行われる意志決定には問題があると考えています。そこで、ベゾス氏が高速かつ高品質な意志決定を行うために設けた「4つのルール」が以下。

◆1:「どんな場合にも上手くいく厳重な意志決定プロセス」を使わない
多くの人は、意志決定プロセスの際に「決して間違わないようにしよう」と思いがちですが、ベゾス氏は多くの決定がやり直しのきくものだと考えています。そのため、意志決定プロセスをあまり面倒なものにしすぎないことが、スピードアップのために重要だと主張しています。

◆2:ほとんどの決定は欲しい情報の70%が得られた時点で行うべき
「何かを決定する前には徹底的に情報を集める」という主義の人もいるはずですが、もしも全体の90%の情報を得ようとすると膨大な時間がかかります。そのため、欲しい情報の70%程度が集まった時点で、もう決断を下すべきだとベゾス氏は主張しています。間違った選択をしてもやり直しができる場合、間違えた物事をやり直すよりも、決定があまりにも遅くなることの方がデメリットが大きいとのこと。

◆3:「合意していないがコミットする」という言葉で説得する
相手の同意が得られていないものの、自分の決定に確信があるという場合には、「私たちが合意していないのは知っていますが、それでも私に賭けてくれませんか?」という口説き文句が有効だそうです。行動を起こす前に確信が持てる人は少ないため、自分の決定に同意してくれていない相手を説得するには、こうした言葉が有効だとベゾス氏は考えています。

◆4:お互いの認識違いを素早く認識し、ただちに拡大する
複数のチームの間で合意ができない場合、お互いの目的や認識に根本的な相違があるケースがあります。こうしたすれ違いは議論によって解決することが難しいため、エネルギーを使い果たす前に擦れ違いを認識して決定を下し、ビジネスの拡大を目指すことが重要です。

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Benson氏は「全ての情報を考え、全ての決定に関連する全ての人間を納得させる時間的余裕はありません」と述べ、ベゾス氏の設けたルールを参考にして時間を節約することを推奨しています。特に大企業のトップに立ち、数万人の従業員を雇用している場合、決断が1日早まることは数万人の従業員が1日早く行動できることを意味します。そのため、時間の節約には十分なメリットがあるとのこと。

決定に関するスピード感を重視するのは、Amazonに限った話ではありません。Facebookのモットーには「Move fast and break things(素早く動き、破壊せよ)」というものがあり、シリコンバレーの名高い格言には「Fake it till you make it(上手くいくまでは、上手くいっているふりをせよ)」「Fail fast(早く失敗せよ)」があります。

これらの言葉は全て、決断におけるバイアスを強化しようとするものです。ビジネスの世界においては、決断が遅れてしまうよりは、不確実性を残しつつも迅速に決断を下した方が優れているケースがほとんどだとのこと。そのため、ベゾス氏のような成功を収めたいのであれば、不確実な状況でも決断を下して行動する必要性を認めるべきだとBenson氏は主張しました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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