メモ

突然「暫定CEO」に就任して4カ月間会社を運営してわかったことまとめ

by JESHOOTS.COM

自分のキャリアは「大学時代のウエイトレス経験」と「ベンチャーキャピタル(VC)での融資経験」のみだというVC「Catalyst Investors」で働くMia Hegazyさんは、ある日突然、企業のCEOに任命されることになりました。Hegazyさんは投資家として従業員100人以上、エンドユーザー1万5000人以上という会社に初期投資から関わっていたのですが、この会社のCEOがやめてしまい、CEOを引き継ぐ人がいなくなってしまったというのがその経緯です。それまでフラットな職場・小規模なチームで働いていたHegazyさんが、100人以上の従業員を抱える会社で4カ月の暫定CEOとして試行錯誤する中で学んだ貴重が記録が公開されています。

What I learned as a VC filling in as a startup CEO for 4 months | VentureBeat
https://venturebeat.com/2019/05/19/what-i-learned-as-a-vc-filling-in-as-a-startup-ceo-for-4-months/

◆1:実行のカギは「明確な戦略」

by Pixabay

HegazyさんがCEOに就任した時、会社は「明確な戦略がないこと」に苦しんでいました。戦略が明確でなく優先順位がはっきりしていない会社は、マーケットの中に無限の成長可能性を見出せますが、一方で注意散漫になる可能性があります。そこで、Hegazyさんは自分の最優先事項を「北極星を見つけること」に設定しました。

Hegazyさんが会社を運営した経験のあるCatalystのメンバーを初めとする、あらゆる人々に助言を求めたところ、これらの人々は信じられないほど寛大にHegazyさんに対して時間を割き、助言を行ってくれたとのこと。Hegazyさんは人々の助言を聞き、「ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー」を読み、リード・ギャレット・ホフマンの起業家向けポッドキャスト「Masters of Scale」に耳を傾け、サイモン・シネックのムービーを見ることで、戦略を明確化するためのアプローチを作っていきました。

なぜから始めよう ― 優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか | サイモン・シネック | TEDxPugetSound- YouTube


そして就任から30日以内にHegazyさんは会社内のフィードバックを受け、会社の強みと重要課題を認識しました。経営陣は役員と共に重要課題に取り組み、ターゲット市場の再検討、ブランドの価値を定義づける「ブランド・プロミス」の明確化、ブランド・プロミスを実行するための各部署の目的の設定などを実施したとのこと。

この時、各部署がブランド戦略を考える際の3つの指針として提示された内容は、あらゆる成長中の会社が参考にできるものとなっています。

・どうすれば製品を革新できるのか?
・どうすれば成長し拡大するスピードを上げることができるのか?
・どうすれば成長・革新・卓越さの文化を育むことができるのか?

その後、各部署の目標やタイムラインについてのフィードバックを求め、それぞれの部署が戦略に対する尽力や業績、障害、可能性などをプレゼンできるミーティングを実施。1つの戦略に焦点を当てて組織を整理することで、それぞれの従業員が「カスタマーを幸せにする電話」「支払いを簡単にするコードを書く」「顧客を測定するモデルの作成」など、ブランド・プロミスを達成するための自身の日常業務を理解しやすくしました。同時に、従業員が測定可能な目標を自主的に設定することや、説明責任があることなどを高く評価しました。


Hegazyさんは投資家として働く中で、経営陣と協力して事業の将来を考える「戦略作業」自体は行ってきましたが、それを組織全体に伝えるという作業はまったく未知の部分だったとのこと。この伝達作業のために簡易化した「戦略スローガン」を各従業員に与えて、戦略に向けた職務に集中することを許したところ、従業員たちが仕事について話す時にスローガンについてたびたび言及するようになったそうです。戦略を伝える時に一貫性を持たせることと、ブランド・プロミスを日常的な業務に関係させていくことの2つが、戦略を会社に適合させるために役立ったとHegazyさんは述べています。

◆2:戦いの半分は「データ」

by Carlos Muza

投資家は測定基準を評価することと、価値創造に関する重要業績評価指標(KPI)を見直すことに多くの時間を割きますが、業務的意思決定においてこれらは投資家にとって以上に重要になります。最も大切なのは求めるデータを得ることであり、そのために目的とするデータを正確に集めるシステムの構築が重要になります。また従業員が測定基準を理解し、それに対して自信を持っていれば、経営陣が下す決定に対してもより自信を持つ傾向があります。

◆3:残りの半分は「人」

by Duy Pham

CEOに就任したHegazyさんが強く願ったのは、チームの信頼を得ること、そしてHegazyさんが会社・従業員・顧客にコミットしているということを信じてもらうことでした。会社や従業員をもっと成功させるというHegazyさんの目標を信頼してもらうべく、Hegazyさんはチームメイトとの関係を構築していったとのこと。創業者は人を率いるための「楽観的なリーダーシップ」を持っている必要がありますが、まったくの別畑からやってきたHegazyさんはこれを持っていなかったため、「データ主導のオリエンテーション」「実用主義」「説明責任」といった投資家のアプローチで信頼を築いていったそうです。

ここでHegazyさんが強調しているのが、投資家はデータや分析結果をもとに決断を下しますが、CEOの決断には「人間」の要素が重要であり、CEOは「共感」や「思いやり」が重視される役割ということ。ゆえにCEOは人事の事柄に多くの時間を割く、とHegazyさんは分析しています。

HegazyさんがVCで担当する会社のCEOがHegazyさんに送ったアドバイスに「偉大なリーダーは自信を持っており、かつ自分よりも賢く、経験があり、ビジョンを実現する優秀な人材を雇う謙虚さを持っている」というものがあったそうです。Hegazyさんはこのアドバイスに従い、会社の人々にイニシアチブを取らせる力を与えていきました。すると、彼らは大きな力を発揮することになったとのこと。チームに自律性を与え、戦略に関し協力する機会を提供したところ、クリエイティブな解決法が生まれたとHegazyさんは述べています。

◆4:CEOより役員の方が気軽

by Toa Heftiba

損益計算書の中には部署ごとの財務情報が絡み合って表示されています。それゆえにサービス料を引き下げて売上総利益率を上げるなどして1つの問題を解決すると、その決定による影響は会社全体に及ぶことになります。

会社を運営する中で、Hegazyさんは「CEOではない取締役のメンバーとして『売上総利益』を上げると発言すること」が非常に容易であることに気づいたとのこと。しかし実際にCEOとして考えると、何をトレードオフにするのか、犠牲になるものは何か、大きな戦略をどうやってサポートしているのか、短期の利益で長期の利益を犠牲にしていいのか?などを考える必要があります。

4カ月のCEO経験についてHegazyさんは「ストレスが多く孤独である一方で、自分を活気づけてくれる、やりがいのある仕事は目を見張る体験でした」と語っています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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