サイエンス

生まれながら手がなく足で描く画家は足の指を自由に動かせるように脳が再マッピング済み

by pxhere

生まれながらにして手がなく、足で筆を握り絵を描く画家の脳を調査した結果、「足の5指が脳の特定領域と個別に対応するように、脳が再マッピングされている」ということが判明したと報告されています。

Organized Toe Maps in Extreme Foot Users: Cell Reports
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(19)31061-7

Brains of People Who Paint With Their Feet Show a Brilliant Neurological Adaptation
https://www.sciencealert.com/if-you-paint-with-your-feet-your-brain-ends-up-mapping-your-toes-as-fingers


ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、生まれながら手がなく、足で絵を描く2人の画家の脳をfMRIでスキャンし、両手を生まれ持った21人のスキャン結果と比較しました。

その結果、生まれながら手がない画家の脳は、足の5指と個別につながっていることが明らかになりました。生まれながら手がない画家は、「まるで手のように足の5指を自由に動かす」という人間の脳では通常不可能なタスクを実行可能だったというわけです。また、生まれながら手がない画家は、対照群に比べて足の指を小刻みに動かすことは得意ではない代わりに、足の指の感覚知覚が優れていることがわかりました。


ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの神経科学者であるダーン・ウェッセリンク氏は「ほとんどの人は、脳のごく一部で手の指を制御していますが、足の指は脳内で個別に制御することはできません。しかし、足の指をいつも使っているヒト以外の霊長類では、手の指と足の指の両方を脳内で明確に区別して制御することができます」と語っています。

以下の画像のうち、上の図が、生まれながら手がない画家の足の指と脳の対応を示した図。通常は下の図のように対応する部位が存在しないのに対して、生まれながら手がない画家の脳では、わずかな部位が足の5指それぞれに個別に対応しています。


足の5指に対応する脳の領域は、通常だと手の動きを制御するのと同じ領域だったとのこと。これは、研究チームが以前から主張していた「脳の手を制御する領域は何らかの身体障害をサポートできる」という説を支えるものともいえます。

研究チームは「脳の再マッピングは誰にでもできることかもしれません、ただし、私たちのほとんどが脳の再マッピングを行う必要がないだけです」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「音楽で感動できるタイプ」かどうかは脳内部位の連携の活発さに左右されていることが判明 - GIGAZINE

宗教によって活性化する脳領域はギャンブルのものと同じと判明 - GIGAZINE

読書によって脳の機能が強化されることが判明 - GIGAZINE

ポルノ画像を見た時の脳内の反応は男女間でほとんど差がないという実験結果 - GIGAZINE

クリエイティブな仕事のプロは脳の活動が普通の人とは違う - GIGAZINE

運動は脳の記憶領域を活性化させ、運動を継続すると記憶に良い影響を与えるという可能性がある - GIGAZINE

「止まっているものは見えないが、動いているものなら見える」という特殊な失明事例が報告される - GIGAZINE

なぜ脳は言語を忘れてしまうのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article A painter who is born but draws hands an….