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「子どもや従業員のスマートフォンを監視するアプリ」の販売を連邦取引委員会が停止

by Andi_Graf

「子どもがスマートフォンでどのようなアプリを使ったり、ウェブサイトを見たりしているのか知りたい」という親や、「従業員に貸与したスマートフォンを監視したい」という企業から、「スマートフォンを監視するアプリ」は需要があります。アメリカの連邦取引委員会(FTC)は、子どもや従業員のスマートフォンを監視するアプリを開発する企業に対して訴訟を起こし、FTCと開発元の企業は「アプリが正当な目的で使用されていると保証する措置を講じない限り、販売を禁止する」という和解案で合意しました。

FTC Brings First Case Against Developers of “Stalking” Apps | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2019/10/ftc-brings-first-case-against-developers-stalking-apps

Stalking apps: Retina-X settles charges | FTC Consumer Information
https://www.consumer.ftc.gov/blog/2019/10/stalking-apps-retina-x-settles-charges

FTCが訴えを起こしたのは3つのスマートフォン監視アプリを開発したRetina-X Studiosと、オーナーのJames N. Johns, Jr.氏。FTCの主張によると、Retina-X Studiosが開発・販売した「PhoneSheriff」「TeenShield」という2つのアプリは「子どものスマートフォンを監視する」という名目で販売され、「MobileSpy」というアプリは子どもに加えて「企業の従業員を監視する」スマートフォン監視アプリとしてリリースされました。

これらのアプリをインストールするために、購入者は監視したいスマートフォンのジェイルブレイクあるいはルート化を行い、セキュリティを弱める必要がありました。これらのアプリはスマートフォン上からアイコンを削除することが可能で、監視アプリをインストールされたスマートフォンを使っていても、自分が監視されているとは気付けないとのこと。

監視アプリはスマートフォンの通話履歴、テキストメッセージのやり取り、撮影した写真、GPSによる位置情報、ブラウザの閲覧履歴などを、ユーザーの知らないうちにアプリの購入者と共有することが可能でした。2018年にこれらのアプリが販売停止になるまで、インストール回数は1万5000回を超えたそうです。

by Pixabay

Retina-X Studiosのスマートフォン監視アプリは「子どもや従業員のスマートフォン」を監視するものだとうたっていましたが、FTCは「インストールされたアプリが適切な目的で使用されているのかどうか、Retina-X Studiosが確認するための措置は講じられていなかった」と指摘しています。

また、FTCは監視アプリをインストールするためにセキュリティを弱める必要があるため、監視対象のスマートフォンがセキュリティの脆弱性にさらされているとも主張。さらにアプリが収集したデータの保護も不適切だったとFTCは指摘しており、実際に2017年から2018年にかけて、ハッカーが2度も「PhoneSheriff」および「TeenShield」のユーザーから収集された情報にアクセスしていたとのこと。

これらの問題点から、FTCはRetina-X StudiosおよびJohns, Jr.氏に対し、「FTCが禁止する不公平で詐欺的な行為を行い、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反した」として訴訟を起こしました。「これはいわゆる『ストーキングアプリ』に対する初めての訴訟です」と、FTCの消費者保護局長を務めるAndrew Smith氏はコメントしています。

by Pixabay

FTCは訴訟の和解案として、収集する個人情報を保護するための包括的な情報セキュリティプログラムをアプリに実装し、FTCが主張する特定のセキュリティ問題に対処することをRetina-X StudiosおよびJohns, Jr.氏に要求。また、購入者が監視アプリをインストールする対象が、子どもまたは従業員だけであることを確認する手順の構築も要求しています。Retina-X StudiosおよびJohns, Jr.氏は和解案に合意したとのことです。

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in モバイル,   ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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