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Appleが一部のペアレンタルコントロールアプリを削除した理由を説明

by Rishi Deep

Appleは2018年9月にリリースしたiOS 12から「スクリーンタイム」という、ユーザーがどのアプリをどれくらいの時間使っているかを可視化する機能を追加しています。このスクリーンタイムの「コンテンツとプライバシーの制限」を使えば、特定の端末に使用制限を設けることが可能で、いわゆる「ペアレンタルコントロール」として利用することができます。App Store上にはiOSに標準搭載されているこれらの機能とは異なるペアレンタルコントロールアプリが複数存在しており、それらに対する独自の取り組みについてAppleが公式サイト上で説明しています。

The facts about parental control apps - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2019/04/the-facts-about-parental-control-apps/

Appleは「親が子どものデバイスの使用状況を管理するためのツールを持つべきだと常々信じてきました」と、ペアレンタルコントロールについて肯定的な立場であることを示しています。そして、ペアレンタルコントロール用の機能として、iOS 12から登場した「スクリーンタイム」を開発したことを明かしました。App Store上にはスクリーンタイム以外にも、Moment Healthの「Balance Screen Time」やVerizonの「Verizon Smart Family」など、子どもを持つ親の役に立つ複数のアプリが存在している、とも記しています。

しかし、AppleはApp Store上からいくつかのペアレンタルコントロールアプリを削除しました。このことについてThe New York Timesは、「Appleは『iPhone中毒と戦うアプリ』を取り締まっている」という見出しで報じており、「Appleは保護者が自分の子どものデバイスを制御できるようにしたり、特定のアプリやアダルトコンテンツへの子どものアクセスをブロックしたりする機能を削除することを企業に強いている」と批判しています。

Apple Cracks Down on Apps That Fight iPhone Addiction - The New York Times
https://www.nytimes.com/2019/04/27/technology/apple-screen-time-trackers.html


これまでにもAppleに対しては「自社アプリのために他社アプリをApp Storeから削除している」という指摘がされてきました。

「Appleは自社アプリのために他社アプリをApp Storeから削除している」としてカスペルスキーがAppleを独占禁止法違反で訴える - GIGAZINE


この批判に対して、Appleは「(ペアレンタルコントロールアプリを削除したのは)単純にユーザーのプライバシーとセキュリティを危険にさらすものであったため」と説明しています。そして、一部のペアレンタルコントロールアプリを削除するに至った経緯を、声明の中で説明しています。

Appleは、「2018年、我々は(App Storeから削除された)ペアレンタルコントロールアプリの一部が、モバイルデバイス管理(MDM)と呼ばれる非常に侵襲的なテクノロジーを使用していることに気づきました。MDMはサードパーティーによるデバイスの制御とユーザーの所在地、アプリの使用履歴、メールアカウント情報、カメラへのアクセス許可、閲覧履歴へのアクセスなど、ユーザーにとって最も機密性の高い情報にアクセスすることを可能にするものでした。2017年初頭、非エンタープライズ開発者によるMDMの使用調査を開始し、2017年半ばには調査に基づいてガイドラインを更新しました」と記しており、今回の一部のペアレンタルコントロールアプリの削除の裏には、ユーザーの機密情報に無断でアクセスしてしまう、MDMというテクノロジーの存在があったと説明しています。MDMの登場に合わせ、AppleはApp Storeのガイドラインを更新したと説明しており、一般のデベロッパーがMDMを使用することを禁じたとしています。

続けて、なぜ企業向けにはMDMの使用を禁止しなかったのかについて、「MDMには正当な用途があります。企業が独自のデータやハードウェアをより適切に管理できるように、企業向けのデバイスにMDMをインストールするというケースがあるためです」と説明。さらにAppleは、「しかし、民間の消費者を中心とするアプリビジネスにとって、MDMをユーザーデバイスにインストールすることは、非常に危険であり、App Storeのポリシーへの明確な違反となります。アプリ自体がユーザーのデバイスに対して実行できる制御を超えて、MDMプロファイルが悪意ある目的のためにハッカーに利用される可能性があることが調査によって示されています」としています。

by Tim van der Kuip

また「親は子ども用のデバイスの使用に対する不安を、プライバシーやセキュリティに対するリスクと交換する必要はありません。また、App Storeはこのような選択を強制するプラットフォームであってはいけません。あなた(親)以外の誰も、子どもの端末を管理するための無制限のアクセス権を持つべきではありません」と記し、App Store上から一部のペアレンタルコントロールアプリが削除された理由を説明しています。

ガイドラインに違反したアプリを発見した際、Appleはアプリ開発者に対して違反内容を通達し、ガイドラインに違反していない内容に更新したアプリを30日以内に提出するよう求めるそうです。この通知内容に沿ってアプリを更新した開発者のアプリはApp Store上に残り、アプリを更新せずにガイドラインに違反したままのものはApp Store上から削除されたというわけです。

by Julian O'hayon

Appleは「開発者や起業家が自分たちのアイデアを世界中のユーザーに提供できる、安全で活気のある市場を作るためにApp Storeを構築しました」と説明しており、App Store上でアプリを配信する開発者はアプリがAppleの設けるセキュリティ・義務に関する基準を満たす必要があるとしています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by logu_ii

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