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Facebook主導の独自仮想通貨「Libra」を支えるパートナー企業から初の離脱企業

by Jan Tinneberg

Facebookが提唱する全く新しい仮想通貨の「Libra」は、世界人口の約31%に相当する17億人の「銀行口座を持たない人」などを救うための、新しい通貨・決済サービスになることを目指すものです。そのLibraを運営するために設立されたのが「Libra協会」なのですが、この協会の加盟企業から初の離脱社が出ました。

PayPal is the first company to drop out of the Facebook-led Libra Association | TechCrunch
https://techcrunch.com/2019/10/04/paypal-looks-is-the-first-company-to-drop-out-of-the-facebook-led-libra-association/

2019年6月、Facebookは独自の仮想通貨「Libra」を提案しました。LibraはFacebookが提案した仮想通貨ではあるものの「Facebookが単体で運営する」というものでも、Bitcoin(ビットコイン)のような「ユーザーひとりひとりが取引記録を保持する完璧な分散型通貨」でもありません。LibraはLibra協会に属するパートナー企業と完全合議制で運用することを想定した仮想通貨であり、発表時にはFacebookのほかにVisaやMasterCard、Uber、Lyft、eBay、Spotify、PayPalといった世界でも有数の企業たちが名を連ねていました。

Facebookが独自の仮想通貨「Libra」&専用ウォレットアプリ「Calibra」を発表 - GIGAZINE


ビットコインなどの仮想通貨はユーザー全体が取引記録を持つため、非常に強固なブロックチェーンを形成できます。しかし、LibraはLibra協会に加盟する企業が各処理のノードとなるだけなので、ブロックチェーンとしては分散性が低くなります。しかし、Libra専用のウォレットアプリを開発するCalibraのデビッド・マーカスCEOは、信頼出来るノードでサービスをスタートすることこそが重要であり、Libra協会への加盟企業の数もサービススタートまでには100社を超えるため、十分な分散性を確保できると述べています。

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by Tumisu

そんなLibraに対して、フランスおよびドイツというヨーロッパにおける2つの経済大国は完全にブロックする方針であることを明かしています。同時に、世界中の規制当局や中央銀行などから厳しい精査を受けているとも報じられており、Libra協会のメンバー企業である2社が撤退を検討しているのではないかとまで報道されていました。

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そしてついに、Libra協会から初の離脱企業が登場しています。海外メディアのTechCrunchが報じるところによると、Libra協会からの初の離脱社はオンライン決済サービスの「PayPal」です。TechCrunchがPayPalからメールで声明を受け取ったとのこと。

声明の中でPayPalは「我々はLibraの目指すところを支持し続け、将来的に一緒に働くための方法について継続的な対話が行えることを楽しみにしています。FacebookはPayPalにとって長きにわたる価値ある戦略的パートナーであり、今後もパートナーシップとサポートはさまざまな事業において続きます」とコメントしています。


Libra協会もPayPalの離脱について正式なコメントを発表しています。Libra協会のスポークスマンは「Libraのような野心的なプロジェクトを推進するには、特定の大胆さと不屈の精神が必要となります。Libraは物事を正しくし、財政的包摂を改善する次世代の機会です。このLibraを成立させるための旅は長く、挑戦的なものです。自らにとって利益になるようにではなく、人々の利益になるように金融システムを再構成することはとても難しいものです。しかし、Libraの使命に対するコミットメントは、我々にとって何よりも重要なものです。我々の使命にコミットしていないことは、後になって知れるよりも今すぐ知れる方が良いでしょう」と、離脱するPayPalに対してかなり皮肉にあふれたコメントを残しています。

Libra発表当初に公開されたパートナー企業一覧図には右下にPayPalのロゴがあったのですが……


記事作成時点ではパートナー企業一覧図の中から消えています。


ウォール・ストリート・ジャーナルはMastercardやVisa、その他の企業もPayPal同様にLibra協会からの離脱を検討していると報じており、Libraはサービススタート前から厳しい状況に立たされています。TechCrunchがコメントを求めたところ、Mastercardからは返答を得られなかったそうですが、Visaのアル・ケリーCEOはLibraに対する暫定的なサポートを強調する声明を出し、規制やその他の問題が妨げにならない限りは現状と同じサポートを続けるとしています。

声明の中でケリーCEOは、「Libraへの参加に関して、拘束力のない同意書に署名しました。我々は同意書に署名した企業の内の1つであり、関心を示したのは(Facebookを除いて)27社あったはずです。しかし、これは拘束力のない同意書であり、まだどの企業も正式に参加したわけではありません。我々は議論中であり、参加するかについての最終的な決定は必要な規制要件をすべて満たす能力が協会にあるかを含んだ、多くの要因によって決定されます。まだLibraは非常に早い段階にあり、最終的に参加するか否かを決定するには途方もない量のクリアしなければならない課題があります。我々が関心を表明したこと、我々の存在そのものが、協会にとっての付加的な助けになることを信じています」と述べています。

by Alina Grubnyak

なお、Libraを提唱したFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、日経新聞のインタビューで「多くの人が疑問と懸念を抱いている。前進する前に対応しなければならない」「プライバシーなど一連の問題を経験し、われわれは変わった。社会にとってセンシティブなことをするなら問題点をつぶす期間を持ちたい」と語り、当初予定されていた2020年のサービススタートよりも遅れることになったとしても、懸念される問題点を1つずつ潰していくことが重要と語っています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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