ついに電子たばこの販売や所持がインドで違法に、違反者には禁錮刑も
by arthurhidden
インド政府は2019年9月18日、「電子たばこの販売・生産・輸出入・保管・広告を禁止する」との大統領令を発表しました。違反した者には最大で禁錮3年の禁錮刑が科されるとのことです。
Explained: What are e-cigarettes? Why did the govt ban them?
https://www.indiatoday.in/india/story/what-are-e-cigarettes-why-have-they-been-banned-1600452-2019-09-18
India bans e-cigarettes as global backlash at vaping gathers pace - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-india-ecigarettes-idUSKBN1W315Y
India bans e-cigarette sales and warns of ‘epidemic’ use among youth - The Verge
https://www.theverge.com/2019/9/18/20872967/india-e-cigarette-vaping-ban-epidemic-health-risks
Vaping ban in India: Health experts support; tobacco farmers and merchants oppose
https://www.downtoearth.org.in/news/health/vaping-ban-in-india-health-experts-support-tobacco-farmers-and-merchants-oppose-66756
水や香料などが入った液体(リキッド)をエアロゾル化させて吸引する電子たばこは、一般的なたばこと異なり一酸化炭素やタールが含まれていないことから、健康への悪影響が小さい新しいたばことして若者を中心に普及が拡大しています。
しかし、最近になり電子たばこに関連するとみられる肺疾患で死亡する事例が多数報告されたことから、専門家からは使用の停止を訴える声が挙がっていました。
電子たばこに関連するとみられる肺疾患で死亡する事例が多発、専門家は使用の停止を訴える - GIGAZINE
こうした健康被害の多発や若者の喫煙者数が急増していることを受けて、アメリカのサンフランシスコ市議会は2019年6月に「電子たばこを禁止する条例」を可決。施行から7カ月の猶予を設けて、電子たばこの販売や配布を禁止することが決定されました。
電子たばこの販売を禁止する都市が登場、メーカーは「闇市場が生まれる」と反発 - GIGAZINE
また、サンフランシスコ市に続き、2019年9月にはミシガン州やニューヨーク州も相次いで電子たばこの禁止を発表しています。
そんな中、インドのニルマラ・シタラマン財務相は2019年9月18日、首都ニューデリーで開かれた記者会見で「電子タバコの販売・生産・輸出入・保管・広告を禁止する」との大統領令を発表しました。これに違反した場合、初犯では最高で禁錮1年もしくは10万ルピー(約15万円)の罰金となり、再犯の場合は最高で禁錮3年もしくは罰金50万ルピー(約75万円)に刑が拡大されるとのこと。電子たばこの所持も禁止なので、政府は電子たばこを持っている個人に対し、すみやかに最寄りの警察署に持参するよう呼びかけています。
中国に次ぐ人口大国のインドは喫煙者数も中国に次ぐ世界第2位で、約1億600万人の喫煙者数がいるとされており、たばこに関連する疾病での死者は毎年90万人以上にものぼることが報告されています。一方で電子たばこ市場は2018年時点で5700万ドル(約61億6000万円)規模と、インドの人口や経済の規模に比べて小さいものの、2022年まで年間約60%のスピードで拡大するとの試算もあることから、電子たばこはインドで爆発的に普及するだろうと見られていました。
シタラマン財務相は記者らに対し「電子たばこはスタイリッシュな外観と豊富なフレーバーが魅力で、特に先進国の若者と子どもの間で大流行しています」と話し、インドの将来を担う若者の健康を守りたいという考えを示しました。インドでは、政府の決定に先駆けて既に州や連邦直轄領を合わせて15の地域で電子たばこが禁止されており、今回の大統領令により電子たばこ排除の動きが本格化するものと見られます。
電子たばこ禁止令を発表するシタラマン財務相。
一方で、インドでは政府の決定に反対する意見も挙がっています。というのも、電子たばこが禁止される一方で、一般的なたばこは禁止されていないためです。電子たばこの普及の進める非営利組織「Vapers India」の創設者であるSamrat Choudhery氏は「政府は元国営たばこ会社であるITCの株の28%を所有しています」と指摘。「政府は公衆衛生よりもたばこ産業の保護に関心があるようです」と述べて、電子たばこだけを禁止する政府の決定には疑問の余地があるとの見方を示しました。
今回の電子たばこ禁止令を含む行政命令は通常、インド議会の会期ではない時期の緊急措置として、形式的な大統領の署名により施行されるもの。そのため、2019年11月に予定されている議会で改めて討議される見通しで、議会の承認が下りなければ失効する可能性もあるとのことです。
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