電子たばこの販売を禁止する都市が登場、メーカーは「闇市場が生まれる」と反発
by Vaping360
若者の喫煙者数が急増していることを受けて、電子たばこの販売・配布を禁止する条例をサンフランシスコ市議会が可決しました。最終承認者である市長も署名予定となっているため条約の成立は確実で、施行から7カ月経過すると市内のお店から電子たばこが姿を消すことになります。
San Francisco becomes first US city to ban sale of e-cigarettes | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2019/jun/25/san-francisco-e-cigarettes-vaping-juul-ban
アメリカでは長年にわたって喫煙する若者の数が減少し続けてきましたが、電子たばこの登場により増加に転じました。データによると、2017年に340万人だった若年喫煙者数は、2018年には490万人になったとのこと。こうした状況を受けて、サンフランシスコ市ではアメリカの都市として初めて、電子たばこの販売・流通を禁止することを決めました。
We made history today by passing legislation to prohibit the sale of e-cigarettes without FDA approval in San Francisco. Thank you to all my colleagues and co-sponsor City Attorney Dennis Herrera on this unanimous decision 11-0. pic.twitter.com/9JADm7vlOa
— Shamann Walton (@shamannwalton) June 18, 2019
条例の内容は「アメリカ食品医薬品局(FDA)の事前審査を受けていない電子たばこ製品を、サンフランシスコ市民に販売・配布することを禁ずる」というもので、店舗販売だけではなく、ネット販売での配達先をサンフランシスコ市にすることも禁じられます。FDAは、電子たばこメーカーに対して商品の市場出荷前の審査を要求しなかったので、最大手のJuul(ジュール・ラブズ)製品をはじめとした電子たばこがすべて該当することになるとのこと。
条例の立案を共同担当したシャマン・ウォルトン氏は「我々はこれまで巨大なたばこ産業と『紙巻きたばこ』の形で戦ってきましたが、これからは、電子たばこの形で再戦しなければなりません」と語っています。
ジュール・ラブズの広報担当者であるテッド・クォン氏は「電子たばこを全面的に禁止すると、禁煙して電子たばこに乗り換えた人がまたたばこに戻ってしまい、またこれから電子たばこに切り替える人の機会も奪い、若年喫煙者への対応と引き換えに闇市場を生み出すことになります」と主張。条例へは今後も反対し続けることと、21歳以上なら電子たばこを購入できるようにする対案を出すことを表明しました。なお、条例では「21歳以上の人が電子たばこを利用すること」は禁止されていません。
サンフランシスコ市の法務担当であるデニス・ヘレラ氏は「サンフランシスコ市は子どもたちを守るために行動を起こしました。連邦政府がその仕事を果たしていれば、このような一時的なモラトリアムは必要ないでしょう」とコメント。FDAの電子たばこに対する規制が不十分であったことを示唆しています。
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