取材

花火で物語を表現、楽しい演出で花火を存分に味わえる「男鹿日本海花火」を見てきました


日本各地に存在する花火会社にはそれぞれ特徴というものがあり、1つの花火大会を1つの会社が全て手がけているケースでは、特にその会社の個性を見ることができます。8月14日になまはげで有名な秋田県男鹿市で行われた男鹿日本海花火は、ドラネコやスマイルなどキャラクター花火・コミカルな演出や芸術的な演出を得意とする株式会社北日本花火興業が手がける花火大会です。いったいどのような特徴のある花火が見られる花火大会なのかレポートします。

男鹿日本海花火
https://oganavi.com/hanabi/


場所は、秋田県男鹿市船川港船川海岸通1にあるOGAマリンパークです。


毎年、この男鹿日本海花火を見に来ているファンから北日本花火興業へ花火大会の後、イラストが送られてきます。以下のイラストは2018年の男鹿日本海花火の後に送られてきたもの。2019年ではいったいどのような花火が見られるのでしょうか。


まずは会場へ向かいます。男鹿半島の入り口にある男鹿総合案内所の巨大ななまはげによるお出迎え。


途中にある寒風山から会場を見下ろすこともできます。ここから花火を撮影するための三脚が並べられていました。


会場近くにある道の駅おがで時間を潰し、暑さも和らいだ18時30分頃、会場へ向かいます。


この花火大会の特徴でもある独特なプログラム構成。2019年は「if もしもの世界」というテーマで、各プログラム「もしも○○だったら」というタイトルが付けられています。


会場に入るには協賛金1000円(税込)が必要です。19時頃の様子。


屋台も十分な数が用意されていましたが、それでもたくさんの人が並んでおり大盛況でした。


実際に花火を観覧した場所は、打ち上げ場所に近いマス席20000円(税込・6名まで)です。


花火大会が始まるのを待っていると、MCのチャーリー・ホイ(保泉久人)氏のアナウンスが始まりました。地震などが起こった際の避難の仕方やボランティアで参加されている人たちへの感謝など丁寧な説明の後「皆でご先祖様への供養のため手を合わせましょう」との案内とともに鎮魂の花火が上がりました。温かい雰囲気の中で花火大会の始まりを待ちます。


19時30分、花火大会が始まります。1番「もしも夏なのに雪が降ってきたら」という題名のオープニング花火では、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」が流れ、白い雪と紅と緑のクリスマスツリーの飾りを見立てたクリスマスに上げるような花火が上がりました。BGMには蝉の鳴き声も仕込んでいたりと、夏なのに冬というもしもを表現しています。


2番「もしも寒風山にUFOが現れたら」では、映画「未知との遭遇」の未確認飛行物体との交信シーンのBGMが流れ、未確認飛行物体との交信を試みます。


すると、UFOであろう型物の花火が上がった後、土星の輪が付いた花火など星々を表した花火が次々と上がり、宇宙旅行をしているような展開となりました。どうやらUFOに連れ去られてしまったようです。


3番「もしも男鹿の里山にジャマイカ人が移り住んだら」では、レゲエ調の「与作」がBGMに流れ花火が上がりました。ジャマイカ人は里山できこりとして暮らしているようです。木を切るようなシーンや、ジャマイカの海の青さや太陽などを表現した花火も上がっていました。


4番「もしもなまはげが遊園地に行ったら」では、北日本花火興業のお得意の型物花火が次々と上がります。なまはげをはじめ、ネコやブタなどたくさんのキャラクターが上がっていました。花火が終わると「なまはげ様が見えた人」とアナウンスが流れ、周辺の観覧客は「はーい」と返事をしていました。


5番「もしも砂漠に苔寺があったら」では、ゆったりとした和風のBGMの中、緑色の花火が次々と上がり一面にコケが生えているような情景を作っていました。


このようにもしもの世界を表現したプログラムが次々と進行していきます。


プログラムの途中で「この日観覧席にいるカップルでこれから告白したい人・プロポーズしたい人・日頃の感謝を伝えたい人用に3発の花火が上がるのでその間に伝えてください」と告白タイムが用意されていました。このアナウンスの途中、偶然にも夜空にはっきりと明るい流れ星が流れ会場がどよめきます。


12番「もしも男鹿のゴジラ岩から本物のゴジラが生まれたら」では、斜めに花火を打ったり、海側から陸側へ次々と花火を打ち上げることで、コジラが海から陸へ侵攻してくるシーンを表現していました。


海から陸へゴジラが侵攻してくるシーンの演出が見られる花火の様子は、以下のムービーで確認できます。

もしも男鹿のゴジラ岩から本物のゴジラが生まれたら【男鹿日本海花火2019】 - YouTube


終盤が近づくにつれ、花火も幅を大きく使いワイドになっていきます。


15番「もしも男鹿ナマハゲロックフェスにあの伝説のバンドが登場したら」では、QUEENの「I Was Born To Love You」に合わせて、400mフルワイドの花火が打ち上がります。会場を囲むように花火が設置されているので、最前列では正面だけでなく左右からも花火が打ち上がっているように見えました。


16番「もしも高校生の頃に戻れたら」フィナーレ花火となります。あいみょんの「マリーゴールド」に合わせて、ゆっくりと花火が打ち上がります。サビの部分では1番上に麦わら帽子が現れ、その下にはマリーゴールドの花がたくさん咲いている花火が上がりました。


最後の一斉打ちも決まり、普通の花火大会であればそのまま終了のアナウンスが流れて解散となるのですが、ここで会場から「アンコール」のかけ声に合わせて手拍子が始まります。「アンコール、ありがとうございます。今年もアンコールの花火を用意することができました」とアナウンスが流れると会場がどっと沸きました。アンコール花火が打ち上がるのもこの花火大会の特徴の1つです。


募金のお願いやボランティアの募集のアナウンスが終わると、いよいよ本当のフィナーレ「アンコール花火」です。ダンスアレンジされた「また逢う日まで」が流れリズムに合わせて花火が上がります。北日本花火興業の今野義和氏へのインタビューで話していた「お客様に無事帰って欲しいという願いを込めてカエル花火を上げています」の通り、カエル花火が途中何度も上がりました。


アンコール花火の様子は、以下のムービーで確認できます。

アンコール花火【男鹿日本海花火2019】 - YouTube


アンコール花火が終わると会場からは拍手が湧き上がります。


花火大会は終了となりました。会場の出口では、来年のための花火募金が行われていました。


大会終了直後、北日本花火興業の今野義和氏に「今日1番気合を入れたプログラムはどこでしたか?」と聞いたところ「全部です」とすぐに答えが返ってきました。楽しい花火を提供しようと一生懸命考えた作品なので、どれも気合の入った花火とのこと。このように、北日本花火興業の楽しい花火の演出が存分に見られる男鹿日本海花火は、花火の表現の面白さを楽しめるひと味違った花火大会でした。

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in 取材,   動画, Posted by darkhorse_logmk

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