サイエンス

人間の死体は死後1年以上にわたって動き続けることが判明

by Tom Hodgkinson

人が死ぬと体の筋肉などを動かす機能が失われ、誰かが無理やり動かさない限り、もう二度と動くことはないと思われがちです。しかし、オーストラリアの「死体農場」で死体のタイムラプスムービーを撮影した研究者が、「人間の死体は死後1年以上にわたって動き続ける」ことを発見しました。

Dead bodies move while decomposing, a significant find for death investigations - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
https://www.abc.net.au/news/2019-09-12/dead-bodies-move-while-decomposing-significant-find-for-police/11492330

Dead Bodies Keep Moving For More Than a Year After Death, Forensic Scientist Finds
https://www.sciencealert.com/the-writhing-dead-turns-out-human-corpses-move-around-quite-a-bit-as-they-decompose

オーストラリアやアメリカでは「死体農場」と呼ばれる研究施設が作られており、ドナーから提供された人間の死体を用いて、さまざまな環境下で死体がどのように変化するのかが観察されています。収集されたデータは検死や鑑識の調査精度を向上させ、警察の捜査に役立てられているとのこと。


セントラルクイーンズランド大学で医学を研究しているアリソン・ウィルソン氏は、オーストラリアの死体農場で17カ月にわたって30分間隔で死体を撮影し、タイムラプスムービーを作成しました。その結果、ウィルソン氏は17カ月の撮影期間中を通して、人間の死体は動き続けていることを発見しました。

ウィルソン氏は「死んで間もない段階では、死体はある程度動く」と予想していましたが、実に17カ月間にわたって死体が動き続けたことに驚いたそうです。「私たちは死体の腕が著しく動いていることを発見しました。最初は体の側面に並んでいた腕が、体の両側に広がっていったのです」と、ウィルソン氏は述べています。

by Juan Pablo Arenas

今回研究が行われた死体農場はシドニーの郊外にあるそうで、過去の研究ではシドニーの気候において、死体は腐敗するよりもミイラ化しやすい傾向にあることがわかっています。これまではミイラ化した死体は涼しい秋や冬に死亡したと見なされることがほとんどでしたが、暑い夏に放置された死体であっても、秋や冬に死亡した死体と同じようにミイラ化したとのこと。

ウィルソン氏は死体の腕が長期間にわたって動き続ける理由について、ミイラ化する死体においてじん帯が乾いたことにより、じん帯が収縮するためではないかと考えています。人体農場での研究により明らかになった死体に関するさまざまな事実は、犯罪の科学的捜査にとって非常に役立つ情報となります。

ニューカッスル大学で上級講師を務める犯罪学者のザンザ・マレット氏も、今回の研究結果はとてもエキサイティングなものだと認めています。これまで、他の動物や人間によって動かされていない限り、死体は死んだ時の位置から動いていないと仮定されていました。「実は死後も1年以上にわたって死体が動き続けている」というウィルソン氏の新たな発見は、犯罪捜査に新たな知見を与えるものであり、非常に重要な発見だとマレット氏は述べました。

by Nats Sitticus

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
あなたが死んだあと、体に何が起きるのか? - GIGAZINE

死ぬとどうなるかを科学的に解説するとこうなる - GIGAZINE

私たちは「死」から逃れられないのか? - GIGAZINE

死が近づいている人はどのような言葉を話すのか? - GIGAZINE

人間が死後に埋葬される「墓地」はどのように移り変わってきたのか? - GIGAZINE

「私たちは埋葬の方法を新しいものに変えるべきではないか?」という指摘 - GIGAZINE

「遺体は道路の横に埋めるべき」と公衆衛生専門家が提唱 - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.