レッドブル・エアレース千葉2019予選後の記者会見レポート、室屋選手らトップパイロットが「最後の決戦」への意気込みを語る
2019年9月7日・8日と千葉県の幕張で開催されているレッドブル・エアレース千葉2019は、2003年にスタートしたレッドブル・エアレース・ワールドシリーズの最後の大会となります。7日の予選レースの終了直後に開催された記者会見では、予選を勝ち抜いた選手がシリーズ最後のレースとなる決勝にむけての意気込みを語っていました。
レッドブル・エアレース千葉2019 特設サイト
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記者会見の直前、接近している台風15号の影響で8日のスケジュールが変更となり、レッドブル・エアレース千葉2019のマスターズクラスの決勝レースは大幅に前倒しになり、チャレンジャークラスの決勝レースが中止となったことが告知されました。
【お知らせ】9月8日(日)大会プログラムは天候を考慮のうえ、安全な競技実施を最優先に時間調整させていただきます。
— レッドブル・エアレース千葉2019 (@rbar_jp) 2019年9月7日
開場は午前9時、マスタークラス競技開始は午前10時、閉場を15時とさせていただきます。https://t.co/0FbgubljMV#RedBull #airrace #レッドブルエアレース pic.twitter.com/t7kZ2yY4pN
予選後の記者会見の壇上に登ったのは、レッドブル・エアレースのレースディレクターであるジム・ディマッテオ氏
マスターズクラス予選では57秒570というタイムで5位となったチーム・ファルケンの室屋義秀選手
56秒760をたたき出してマスターズクラス予選1位に輝いたスペインのフアン・ベラルデ選手
2018年度の年間総合チャンピオンであり、2019年度シリーズでも千葉大会までに67ポイントを稼ぎ出して暫定総合1位であるレッドブル・チーム・ソンカのマルティン・ソンカ選手はマスターズクラス予選では56秒879のタイムを記録して2位。
チャレンジャークラス予選で1位となったドイツのフロリアン・バーガー選手。
以下が記者会見で行われた質疑応答です。
Q:
明日のレースのスケジュールを変更することになり、マスターズクラスの決勝レースは前倒しになり、チャレンジャークラスの決勝レースは中止となりました。どういった判断でスケジュール変更に至ったのでしょうか?
ディマッチオ氏:
質問に答える前に日本に戻ってこられたことを大変うれしく思っています。そして、ファンの皆様、関係者各位に感謝を申し上げたいと思います。いろいろな変更がありましたが、すべて対応してもらったことを感謝しています。そして、日本のファンは世界でも最高のファンだと思っています。世界中でレースを実施していますが、レッドブル・エアレースの「最後のレース」を行う場所として日本が選ばれるというのは完璧なシナリオではないでしょうか。
台風が南から日本に接近している中、「いかに安全な競技を実施できるか」ということを最優先いたしまして、実施予定よりも早めて決勝レースを行うことに決めました。これはパイロットの安全だけではなく、観客や関係各位の安全を含め、最善の形でレースを行うための判断となります。ファンの皆様に最大限にレースを楽しんでいただくための判断となりました。
Q.スポーツのイベントは天候に左右されることが多く、過去にはレッドブル・エアレースの決勝レースを行えなかったこともありました。もし8日の天候が崩れてしまった場合はどういった形で優勝者は決まるのでしょうか?
ディマッチオ氏:
すべてはオペレーションマニュアルとして合意されたものがあります。そのため、1つのレースが終わった上でそれが正式な結果として認められます。今日行われた予選のレースは正式なレースとして認められて、(8日のレースが中止となれば)これが最終結果となります。8日にレースが開かれば、その結果が認められるということになります。行き当たりばったりではなく、どんなことがあってもすべてマニュアルに従う形で判断をしてポイントをささげていくことになります。
当然、8日は最後まで飛行ができるように可能な限り準備しています。そして、最終的にはチャンピオンが決まると思います。当然自国開催である室屋選手にも頑張っていただきたいですし、予選で素晴らしい飛行を見せたベラルデ選手、年間総合優勝がかかっているソンカ選手にも頑張ってもらいたいと思います。素晴らしいレースになると思いますし、日本の素晴らしいファンの前で、この美しい幕張の前でチャンピオンが決まるはずです。
Q:
室屋義秀選手に質問です。日本人初、アジア人初の年間チャンピオンですが、8日に千葉で二度目の年間総合チャンピオンを狙うんじゃないでしょうか。室屋選手は、すべての結果をこれまでレッドブル・エアレースで出してきた選手として、千葉の地で世界チャンピオンを狙うんですが、今日のフライトはどうだったでしょうか?優勝についての意気込みを聞かせてください。
室屋選手:
(片言で)コンニチハ。
一同:
笑
室屋選手:
(以下、英語で)本日はレースに来ていただいてありがとうございます。そして、日本でも多くの方に関心をよせていただいて感謝しております。これで千葉でレッドブル・エアレースを開催するのは5度目となるのをうれしく思っております。紹介していただいたとおり、これまで2度、千葉の地で優勝しています。そして毎回地元のファンから声援をもらい、それが力になり、優勝できました。そのため、明日に向けてもいい感触です。ベストを尽くしたいと思っております。
Q:
本日の予選の飛行については、残念ながら予選でのポイント獲得はなりませんでした。8日は本当にベストを尽くして戦わなければいけないという状況となりましたが、どのように考えていますか?
室屋選手:
はい、予選の3ポイントを獲得できなかったのは悔しく思います。特に、ゲートの1番と2番の間でのスタートスピードがなかなか定まらず、ベストの状態で通過するのは非常に難しいものがありました。そして、2度目のアタックの時にシステムが非常に不安定だったところで厳しいものがありましたが、今日起こってしまったことは起こってしまったこととして、気持ちを切り替えて、明日に向かって最善を尽くしたいと思っています。優勝に向けてまだまだチャンスはあると思うので頑張ります。
Q:
最後非常にシンプルな質問です。是非日本語で答えていただきたいと思います。明日の決勝は年間最後、レッドブル・エアレースのワールドシリーズ最後の試合となります。もしファンの声援を受けながら二度目のチャンピオンシップをゲットできたらどんな気持ちになると思いますか?
室屋選手:
It's not simple question(笑)
室屋選手:
今まで十分に準備をしてきたので、ベストを尽くして彼らといいレースができたらいいなと思っています。「一番速い人が勝つ」というレースなので、その結果がどうなるかは神様にお預けして、ベストを尽くして、いいタイムを出したいと思います。
Q:
予選で1位をとったファン・ベラルデ選手、おめでとうございます。フリー・プラクティスから安定した飛行をみせていましたが、実際に自分としては感触はどうでしたか?
ベラルデ選手:
ありがとうございます。この場にいられることを非常にうれしく思っています。自分がレッドブル・エアレースに参戦してから二度目の予選でベストタイムを出せたことを大変うれしく思っています。これはひとえに自分、そしてチームのここまで行ってきた準備が非常によかった成果と思います。戦術に関してもよく練られ、自分も自信がついてきました。そのおかげで、千葉にきてミスなく飛べたと思います。チームには感謝しています。チームのおかげでよいフライトができたと考えています。
Q:
残念ながら決勝レースの結果にかかわらず、ベラルデ選手のポイント世界チャンピオンには届きません。しかし、レース次第では優勝候補のソンカ選手や室屋選手を厳しい状態に追い込むことは可能です。8日は優勝を狙っているのか、それとも心の底では世界チャンピオンを狙いたかったという気持ちはあるんでしょうか?
ベラルデ選手:
実際に予選に参加した14人の選手は激しい競争を繰り広げてきました。どの選手も勝ちたいと思って参戦していますし、1つでも良い順位を取ろうと思っています。自分もしっかりチャンピオンシップのために戦いたいと思っていますし、自分のレースに集中したいと思っています。
決勝レースはレッドブル・エアレースで優勝できる最後のチャンスだと思っています。これまで表彰台に立ったことはありますが、優勝はしたことがないので、もちろん優勝を狙っていきます。非常に厳しい天気という状況の中でも、自信を持ってレースに臨んでおります。
Q:
現世界チャンピオンでチェコ出身のソンカ選手は、予選で最速ラップを記録した選手に贈られるトロフィーを獲得されました。そして、決勝ではもっと大きいトロフィーが待っています。今日のパフォーマンスには満足していますか?決勝への意気込みを教えてください。
ソンカ選手:
(日本語で)コンニチハ(笑) 最速ラップのトロフィーを受賞できて、自分にとってもチームにとっても光栄です。自分たちが一生懸命努力してきた結果だと感じています。今日に関しては2位ということで、2ポイントを獲得できたのは大きいことだと思っています。ただ、決勝で優勝すれば25ポイントを獲得できるので、まだまだ何が起こるのかわからない状態です。自分としては今日のようにしっかり集中してがんばりたいと思います。今日は落ち着いて飛ぶことができたと思っています。
Q:
レーストラックに関して、どのように攻めていったらいいのかというテクニカルな部分について質問したいと思います。去年に比べて多少コースが変わっています。そのなかでどういうところがポイントになって、どういった戦術で臨むと速いタイムがでると考えているのでしょうか?
ソンカ選手:
「速く飛ぶコツ」というのは「いいパイロットであること」と「速い飛行機に乗ること」だということです。幕張のレーストラックは紙の上で見るよりも非常にタイトなコースです。風向きはその都度変わり、実際にトレーニングセッションから風向きがずいぶん変わっていました。レーストラックについては、1番ゲートのアプローチに入るところがその後に大きく影響すると思っています。実際に予選では、1回目のアタックで、自分なりにつかんだものがあります。
垂直方向のマニューバを含めて、幕張は非常に技術を要するコースだと思います。いかにミスなくスムーズに飛ぶか、そして飛行機のエネルギーを考慮に入れながら飛ばなければなりません。素晴らしいコースの前で、素晴らしいファンの前で、決勝では優勝を目指したいと思います。
Q:
残念ながら明日の予定されていたチャレンジャークラスの決勝は行われないことが決定され、予選の1位が優勝となり、9勝目となるバーガー選手が年間チャンピオンになります。決勝がキャンセルになってしまったものの、バーガー選手は予選では素晴らしいフライトを見せてくれました。バーガー選手が他の選手に大差をつけてリードできた理由はなんだったのでしょうか?
バーガー選手:
ありがとうございます。日本の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。日本ではレースを楽しむことができました。クリーンに、ミスなくとぶことができました。3回行われたフリープラクティス全てで1位のタイムをだせたことで、自信を持って飛ぶことができ、他の選手に2秒もの差をつけて飛ぶことができました。楽しみながら飛ぶことができたのが勝因だったのではないかと思います。
Q:
バーガー選手はチャレンジャークラスの中で一番早く結果を出した選手の一人です。もしかすると他の大会フォーマットでマスターズクラスの選手と近々戦うことにもなるでしょう。チャレンジャークラスでの成功体験を振り返ってみてどうでしょうか?自分にとって次を目指す上で非常にいいトレーニングになったと思いますか?
バーガー選手:
チャレンジャークラスは、全員が同じ飛行機で飛ぶというルールなので、マスターズクラスとはまた違うレースになります。しかし、それだけにパイロットの腕次第で勝敗が決まるのがチャレンジャークラスの面白いところだと思ってレースに臨んでいました。マスターズクラスで競うことはありませんでしたが、チャレンジャークラスで非常にいい経験ができました。
Q:
室屋選手が2017に年間総合優勝を果たした時、「県民の皆さんの力がトロフィーという形になった」と福島県民に感謝の声を伝えていました。8日の最終レースでは、これまで応援してきた福島県のファンにどういったレースを見せたいでしょうか?
室屋選手:
福島を拠点にトレーニングと準備を積み重ねています。我々チームはもちろん、県民の協力があってこういう体制が作れていると思います。明日については準備してきたものを100%出し切ればいいと思っていますし、その結果についてどうなるかはお預けをしておけばいいかなと思います。実は伝えたいことがあるかといえばないんですけど、世界一を取るためにはいろんな努力をしてきたし、コツみたいなものも掴んだ部分もあります。そういうものが必要であれば伝えていって、誰かの役に立ってもらえばいいなと思います。
Q:
4人のパイロット全員に聞きたいのですが、6日に行われたフリー・プラクティスに比べて、7日のセッションタイムは1秒近く伸びない形になっていたのが気になりました。タイムが伸びなかったというのは風なのでしょうか。それともなにか他の条件なのでしょうか?
室屋選手:
これはベラルデ選手がよくご存じだと思うので(笑)、彼に答えてもらいたいと思います。
ベラルデ選手:
いろいろな要因があったと思いますが、もちろん天気や風向きの変更があったと思います。また、予選では空気が非常に濃密ではなく、エンジンのパフォーマンスがフリー・プラクティスの時に比べてよくありませんでした。風がそれほど強くない朝でもタイムがよくなかったのは、その辺が要因だったのではないかと考えています。
Q:
ありがとうございました。
最後に壇上で、全員がスマートフォンのセルフィーモードで集合写真を撮影して、記者会見は終わりました。
・つづき
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