レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンの室屋義秀に最終戦直後インタビュー、新たな目標とは?


史上最速のモータースポーツの「Red Bull Air Race(レッドブル・エアレース)2017」最終戦インディアナポリス大会を制して、ついにワールドチャンピオンに輝いた室屋義秀選手。決勝レース直後に日本メディアのインタビューに応じ、「最終戦の戦いはどうだったのか?」「今後の目標は?」などについて話してくれました。

Red Bull Air Race
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Q:
予選・決勝で天候ががらりと変わった。天候の変化が自分にとってプラスだと感じたか?

室屋:
昨日とはコンディションが打って変わって気温も下がってきて、自分の機体にとっては風の影響よりも、気温が下がるいうことが有利なので、チームは「気温が下がれ、下がれ」と思っていました。その点では、「"風"が吹いてきた」と思いましたね。

Q:
今日、ラウンドオブ14(R14)でソンカ選手と対戦したときに、その時点で「今日は行けそうだ」という手応えはあった?

室屋:
R14はペナルティをもらっても上位に入る良いタイムだったので、(状態の悪かった昨日の予選から)機体の状態が戻っているのは実感としてありました。今日はペナルティが多発するのは予想していたので、「ペナルティをもらったとしても、とにかく最後まで飛ぼう」というのはチームの戦略担当から事前に言われていました。(R14のペナルティに関しては)タービュランスで止めようもなかったので。まあ、でも良いフライトができたなと。ソンカが飛ぶのも同じコンディションですから、何かが起きる可能性があると周回していたのです。


Q:
どの段階で勝てると感じたか?

室屋:
それ(勝てるという実感)はないです。最後までないです。R14でソンカがファステストルーザーになって、カービー(チャンブリス)とピーター(ピート・マクロード)が抜けた(脱落した)ので、ソンカと一騎打ちになりました。R8を(二人で)勝ち上がって、ファイナル4では、(室屋・ソンカが)1位・3位以下、2位・4位の組み合わせしかタイトルの可能性がありませんでした。ソンカが勝ち上がってきたのはわかっていたので、ともかく「勝ちに行け!」という感じでしたね。

Q:
大きく姿勢を崩して、態勢を立て直したときに、大きな歓声が上がっていた。

室屋:
あれはよく戻せたなと自分でも思いますね。パイロンヒットするか、(インコレクトレベルを)アウトにするか、あれはとてつもなく難しかったのです。

Q:
ファイナル4で1分3秒台という記録が出て驚いた。

室屋:
ちょっとビックリしましたね、自分も(笑) あり得ないタイムなので。それにしてもあのタイムはちょっとあり得なくて。物理的な計算上は、どこかで追い風が吹くなどいろんなことがない限りは、1秒というタイムは縮まらない。1秒というのはとてつもなく大きな数字なので。(1分)4秒を切るというのはないはずだったのです。かなり天候が荒れていて、非常に難しいコンディションでした。ペナルティに近いシーンは1カ所、2カ所あったのですが。ペナルティがなければいいなと思いながら。タイムは速いだろうなと思っていました。


Q:
R8で予選トップのマット・ホールがソンカを倒すだろうと思っていたら、パイロンヒットで敗れた。この結果は意外だったか?

室屋:
「(ソンカと)もう1回だ」、と。「面白いじゃん、もう1回勝負しようよ」という感じでしたね。最後にもう一度、決戦しようという感じではありました。ファイナル4に向けて待機しているときに、(R8から)返ってきたマットが「Soryy, Yoshi!」(笑) こっちも「OK!」と(笑) ちょっと冗談を言ってたんです。

Q:
今年は4勝してタイトルを獲った。タイトルにつながった要因とは?

室屋:
4勝というのは出来過ぎなところもあって。もう少しコンスタントに表彰台に乗れればいいかなと思っていたのですが、1位4回、3位1回で2位がなしでした。今年に限らず、機体やテクニックの熟成というのは1年ではできないので、長い間取り組んできました。エアレースは2009年からですが、飛行トレーニングは1997年くらいから20年間近い積み重ねの中で、レースのテクニックやノウハウを少しずつ積んできた成果が、今年になって出始めたのかなと思います。とはいっても順調にきたわけではないですし、いろいろな難しい状況の中で、「最終的に1歩前に出た」というだけで、本当に僅差でしたね。今日、他の誰かが勝ってもおかしくはなかったです。


Q:
必ずしも順風満帆ではなかったとはいえ、今日、エアレース・ワールドチャンピオンを獲得して、ひとつの目標は到達した。今後、新たにどんな目標を設定するのか?

室屋:
レースはまだ続けますから。これを、二度、三度と繰り返していけるのが本当に強いパイロットだと思います。ポール・ボノムが3回ワールドチャンピオンを獲ってますから。やはり、彼の技術は秀でていて、飛び抜けているところもあったので。そこに向けてまだまだ上手くなりたいな、というのはありますよね。例えば、昨日(予選レース)とか、自分が満足いくフライトができていないですし、今日でもまだ「あー!!」というのがあるので。ワールドチャンピオンを獲るためにやってきましたが、「技術を磨く」という楽しみのためにやっているところもあるので、まだまだそこは磨いていきたいなと思います。

まあ、ワールドチャンピオンを獲ったので、一応、頂点に立って、ここから教えられることもあると思います。これを機に、パイロットを目指す子どもたちも増えてくるでしょうから。今まで僕はいろんなものをいろんな人にいっぱいもらってきてここに来ているので、それを次の世代に送っていくということは使命だと思うので、だんだんとそういう活動が大きくなっていくと思います。


Q:
記者会見で佐藤琢磨選手が福島のことについて触れていた。あらためて福島への思いは?

室屋:
ふくしまスポーツアンバサダーをしていて福島で活動したいという思いはありますが、海外でレースを転戦していて、ボランティアとして身を差し出す時間がとれなくて、なかなか難しい状況です。その中で自分に何ができるのかということを考えると、今の福島の現状を正しく伝えることが大事だと思います。その上で福島に来てもらうのが大事だと僕は思っています。多分、世界の人は完全に死んでいる土地だと思っているのです。そういう風評は払拭しなければいけない。もちろん現状、放射能の高い地域があるのは事実ですが、ない地域はぜんぜんない。そういう現状を正しく伝えることが仕事かなと思っています。

その上で、エアレースを福島大会として開催できれば「Air Race Fukushima」になるわけです。結構、世界は驚くわけです。それが開催できたとしたら、人が来るわけです。世界中に放送もされる。そうすると大丈夫なんだとわかってもらえる。一例ですけれど、そういうことが自分にできる活動かなと思っていて、そういうことをしていきたいです。今、福島では子ども向けの航空教室を3年間やってきていて、航空宇宙産業集積ということを福島県もやっていますので、その入り口を作って、その先として航空部品産業も福島に進出してもらうとか、いろんな話が進み始めている。復興が終わったところから新たに未来のステージに入るところなので。未来の産業作りも含めて、航空については我々も熟知しているので、そういう牽引役になれればいいかなと考えています。入り口作りがわれわれの大きな仕事かなと思っています。

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