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「Firefoxでは広告ブロッカーを制限するような変更を加える予定はない」とMozillaが明言

by Doug Belshaw

Googleは拡張機能の設定ファイルであるmanifest.jasonのバージョン3(Manifest v3)の策定を進めていて、そのなかで「広告ブロッカーの機能に制限をかけるような変更を加えている」として大きな批判を浴びていました。そんな中、Google Chromeに次いでPC用ウェブブラウザのシェア2位であるFirefoxがはたしてManifest v3に追従するかどうかが注目されていましたが、Mozillaの開発スタッフは公式ブログで「ウェブコンテンツのブロッキングについてはManifest v3に追従する予定はない」と述べています。

Mozilla’s Manifest v3 FAQ | Mozilla Add-ons Blog
https://blog.mozilla.org/addons/2019/09/03/mozillas-manifest-v3-faq/


Googleが発表した仕様案によると、Manifest v3では広告ブロックを目的としたWeb Request APIの使用が非推奨となり、より限定的な「Declarative Net Request API」と呼ばれる新しいAPIの仕様が勧められています。このAPIの変更によって、ページコンテンツに含まれる広告を除去する役目を、拡張機能である広告ブロッカーではなくブラウザであるChromeが担うことになります。

Google Developers Japan: Web Request と Declarative Net Request: Manifest v3 による拡張機能への影響について
https://developers-jp.googleblog.com/2019/07/web-request-declarative-net-request.html


Googleによれば、Web Request APIを使った処理はChromeの高速化と相性が良くない上に、ユーザーのデータが悪意のある拡張機能によって盗まれてしまう恐れがあるとのこと。実際、悪意のある拡張機能の42%でWeb Request APIが悪用されていたそうで、APIの変更はあくまでもパフォーマンスとプライバシーの向上を目的としたものとGoogleは述べています。


しかし、Declarative Net Request APIのルールは制限が強いため、「より複雑な広告除去アルゴリズムが使えなくなる」と批判が殺到。こうしたユーザーの反発に対してGoogleは「Manifest v3への移行に、広告ブロックの拡張機能を排除したり弱体化しようとしたりするような目的は一切ありません」と否定しています。

Chromeの「広告ブロック無効化計画」はまだ続行中であることが判明 - GIGAZINE


一方で、Firefoxの拡張機能は、Chromeのものと少し違うものの、互換性の観点から基本的にはManifest v2をベースに開発されています。そのため、ChromeとFirefoxの拡張機能は移植しやすいのがポイント。しかし、ChromeがManifest v3に移行してしまうと、Manifest v2とv3の間に大きな違いがあるため、ChromeとFirefoxの拡張機能で足並みが揃わなくなり、開発者は同じ内容の拡張機能をChromeとFirefoxの両方に提供するのが困難になります。

Mozillaのアドオンコミュニティマネージャーであるケイトリン・ニーマン氏は、「ブラウザ拡張機能の標準が存在しない場合、Chromeとの互換性を維持することはFirefoxの開発者とユーザーにとって重要です」と前置きをした上で、「FirefoxにはChromeのManifest v3を実装する義務はありません。Firefoxの拡張機能は、Manifest v2がいくつかの部分で理にかなっているから下地にしているだけです」と述べました。

by Iván Rivera

ニーマン氏は「Manifest v3には後方互換性がなく、開発者は拡張機能を調整する必要がある」と指摘し、特にコンテンツのブロックについては「Web Request APIを廃止する予定はありません」と明らかにしました。一方で、FirefoxがManifest v3をまったく追従しないというわけではなく、通信に関する仕様については一部Manifest v3の実装を予定しているとのこと。

ただし、ニーマン氏は「Googleが提示しているManifest v3の仕様はあくまでもドラフト(草案)であり、将来的に内容が変化する可能性もあるので、具体的に何がどのように変更されるのかを語るのは時期尚早です」と述べているため、将来的にMozillaの方針が変わることも十分考えられます。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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