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大手通信キャリアが動画配信サービスの速度制限をほぼ常時行っているという研究結果

by Keegan Checks

NetflixやYouTube、Amazonプライム・ビデオといった動画配信サービスの台頭により、世界のインターネットトラフィックに占めるムービー視聴の割合は増加しています。2018年のレポートによると、実にトラフィックの過半数がムービー視聴によって占められているそうです。そんな中、アメリカの大手通信キャリアは「動画配信サービスの通信速度制限を行っている」として非難を浴びており、最近の研究ではキャリアによる速度制限が一時的なものではなく、常時行われていると明らかになりました。

A Large-Scale Analysis of Deployed Traffic Differentiation Practices - wehe.pdf
(PDFファイル)https://wehe.meddle.mobi/papers/wehe.pdf

Wireless Carrier Throttling of Online Video Is Pervasive - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-19/wireless-carrier-throttling-of-online-video-is-pervasive-study

2017年、アメリカの大手通信キャリアであるベライゾンが、「YouTubeやNetflixの通信を制限するテスト」を無断で行っていたことが判明して話題となりました。当時、ベライゾンは「新しいビデオ最適化システムの一時的なテストだった」と釈明しましたが、ネットワーク中立性を揺るがす問題だとして非難を浴びました。

ネットワーク中立性とは、インターネット上の全てのデータをコンテンツの内容によって区別することなく、インターネットサービスプロバイダが平等に扱うべきだという考え方。「ムービーだから通信速度を落とそう」「このサービスは通信速度を上げよう」などといった操作が行われてしまうと、ネットワークの中立性が損なわれてしまいます。


ところがその後も調査が続けられた結果、2018年にはベライゾンだけでなく、大手通信キャリアのAT&TなどもYouTubeやNetflixの速度制限を行っていたことが判明。一連の問題について通信キャリアは、「スマートフォンでムービーを視聴したい場合、速度を犠牲にする必要があります」と述べています。さらにムービーの通信制限は、ネットワーク中立性の侵害を規制する連邦通信委員会(FCC)が定める例外の、「合理的なネットワーク管理」に当てはまると主張しているとのこと。

YouTubeやNetflixのモバイルアプリは主要な通信キャリアから速度制限されていると判明 - GIGAZINE


そんな通信キャリアによるネットワーク中立性の侵害について研究しているノースイースタン大学マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、「Wehe」というアプリをリリース。全世界161カ国に住む12万6000人以上のスマートフォンユーザーから、Weheを通じてさまざまなウェブサービスの速度制限に関するデータを収集しています。

アメリカで2018年から2019年にかけて行われた65万回ものテストにおいて、AT&Tは全テストのうちNetflixでは70%、YouTubeでは74%の割合で速度制限を行っていたとのこと。その一方で、Amazonプライム・ビデオについては制限を行っていなかったことも明らかになりました。通信制限の対象となるサービスは各通信キャリアによって違いが見られ、T-モバイルは全テストのうち51%でAmazonプライム・ビデオを制限し、動画共有サービスのVimeoではほとんど制限を行わなかったそうです。

しかし、テストの結果を見ると半分以上の割合で動画配信サービスの速度制限を行っていることなどから、研究チームは大手通信キャリアの速度制限がネットワークに強い負荷がかかっている時だけでなく、ほぼ常時行われていると指摘。研究を行ったノースイースタン大学のDavid Choffnes氏は、「彼らは24時間365日、いつでも速度制限を行っています。ネットワークの過負荷に基づいて制限しているわけではありません」とコメントしました。

by Pixabay

今回の発表についてAT&Tの広報担当者であるJim Greer氏は、「私たちはコンテンツによる制限や差別、ネットワークパフォーマンスの低下を行っていません。ユーザーは自身でデータ通信の速度や機能について管理できます」と声明を発表しています。Greer氏によると、Weheアプリはユーザーの設定やプランに基づく通信速度低下などに対応していないため、誤った計測結果が収集されてしまったとのこと。アプリのパフォーマンス改善と問題解決に向けて、AT&TはWeheの開発者と連絡を取り合っていると説明しました。

また、研究チームも動画配信サービスごとに速度制限のレベルが違った今回の結果について、通信キャリアが「エラー」によって特定のサービスを制限できなかった可能性を指摘。システムに技術的な改善を行ったため、一部の動画配信サービスを検出できなかったのかもしれないと述べています。Choffnes氏は、「通信キャリアは全ての動画配信サービスを制限して公平性を保とうとしているのかもしれません」とコメント。

今後もChoffnes氏らの研究チームは、継続的に大手通信キャリアによる速度制限についての研究結果を発表していくとのこと。研究結果を世間に公開し続け、定期的にネットワーク中立性に関する話題を提起することで、問題が忘れ去られずに済むとの見解を示しました。

by rawpixel.com

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