動画を分析して必要な帯域幅を調整し視聴品質を最適化する「Minerva」システムをMITが開発
by FelixMittermeier
いまや世界のネット利用トラフィックのうち過半数を映像が占めており、ネットワーク機器メーカー・Ciscoの予測では2022年には82%に達するそうです。この膨大な映像配信を支えるのに適したシステムとして、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学および人工知能研究所(CSAIL)では、プレイヤーの状態とファイル特性を利用して輻輳制御を最適化する「Minerva」を開発しました。「Minerva」では、基盤となるインフラに変更を加えることなく、バッファリングとピクセル化を大幅に削減することができるとのこと。
A new tool allows multiple users in a house or network to watch video at the same time, with much less buffering and pixelation.
— MIT CSAIL (@MIT_CSAIL) 2019年8月19日
MIT's Minerva system (right), compared to a traditional congestion-control algorithm: https://t.co/IOpp2NLXbJ pic.twitter.com/RsbwPx5dKi
Better video streaming when WiFi is scarce | MIT CSAIL
https://www.csail.mit.edu/news/better-video-streaming-when-wifi-scarce
MIT CSAIL’s Minerva video protocol reduces buffering and pixelation
https://venturebeat.com/2019/08/18/mit-csails-minerva-protocol-cuts-down-on-video-buffering-and-pixelation/
映像ストリーミングサービスを利用していると、端末の違い・画面の大きさ・再生するファイルの違いなど、いろいろな要因によって「ストリーミングがスムーズかどうか」に差が出ます。実際、アクション映画やスポーツの映像は、講義やスピーチの映像よりも多くの帯域幅を必要とする傾向があります。
ところが、今のところ「スポーツだから割り当てる帯域幅を自動的に増やす」という仕組みはできておらず、スピーチ映像を見ている人がストレスなく視聴できている一方で、スポーツを見ている人はカクカクと読み込みに泣かされる、というような事例が発生します。スタンフォード大学のキース・ウィンスタイン氏はこのことを「技術的観点では公平ですが、ユーザー体験や幸福度にはつながっていません」と指摘。
MIT CSAILの開発した「Minerva」は、視聴品質がどれぐらい向上するかを判断するための分析フェイズを備えており、たとえばスピーチ映像よりもスポーツ中継に対して多くの帯域幅を割り当てることで、視聴品質を向上させてくれるとのこと。この仕組みは、単純にジャンルごとに割り当てる帯域幅を決めるものではなく、その動画のどの部分で帯域幅が必要かということも見ているので、映画のようにシーンが細かく切り替わるものでも適切な通信状況を得られ、快適にストリーミング視聴できるとのこと。
実証実験では、映像の15%~32%で再生品質が720Pから1080P相当に向上し、映像が途中停止する再バッファリングが平均して47%減少したそうです。
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